『命懸けの虚構〜聞書・百瀬博教一代』#17
裕次郎との別れ
博教は自分が下獄する前に、どうしても裕次郎に会いたかった。
会って一言でもお詫びが言いたかったのだ。
昭和43年の12月の末、「週刊平凡」の編集長・木滑良久氏のはからいでハワイヘ旅立つ前の裕次郎と羽田空港の一階食堂で会った。
もちろん、博教は全国指名手配の逃亡者なので、公の席で彼を見送ることは出来なかった。
事あれば裕次郎の身を護ろうと思って持っていた「道具」だったが、それが裕次郎をはじめ周りの人達にまで迷惑をかけてしまい、いつか直接、詫びを言いたかっ