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Mindfulness-based stress reduction for healthy individuals: meta-analysis


目的

  • 大衆を対象とする取り組みの検討を目的とする

  • ハラスメント・職場いじめ・長時間労働・その他職務関連ストレスがこじれるものについては別途検討

Abstruct

日臨床集団を対象とするマインドフルネスストレスリダクション (MBSR) の研究についてその効果が明らかにされていないため、その有効性、作用機序、モデレータを明らかにする。2014年9月19日までに入手可能な英語ジャーナルに掲載された非臨床群を対象とするストレスまたは不安を対象にMBSRの介入を行った定量研究を対象とした。29件の研究の効果量は、hedge's g =.55, 95%CI = .44, .66, p<.00001で中程度の効果があることが示された。また、19週間の追跡調査で効果が維持された。モデレータ分析から、ストレスに大きな効果、不安・うつ・苦痛・生活の質に中程度の効果、燃え尽き症候群に小さな効果が示された。また、マインドフルネス及びセルフコンパッションの変化がストレスリダクションと共変関係にあった。
ただし、研究計画、プロトコル、評価による異質性は高かった。

Introduction

  • (ストレスの生物学的な影響を通じた身体の変化については割愛するし、一般的に言われるストレスの定義ではなく、バイオロジカルな影響をもってストレスと定義されていることは繰り返し指摘する)

  • マインドフルネスの介入研究が多くなっているが操作的定義のコンセンサスはなく、最も使用されているのはJon Kabat-Zinnによる非批判的な態度で意図的に現在の経験に注意を払うことで得られる今現在の瞬間の意識であるとされる (Kabat-Zinn, 2023)

  • マインドフルネスにより、慢性疼痛、疲労 (Suraway et al., 2005)、ストレス (Astin, 1997; Chang et al., 2004)、がん、心臓病、2型糖尿病、乾癬、不眠症 (Yook et a., 2008)などへ有効だと示唆されている

  • MBSRは、ストレス、うつ、不安の軽減が実証されたトレーニングである (Grossman et a., 2004; Hofmann et al., 2010)

  • MBSRは状況や思考を批判団的、非反応的、需要的な方法で観察するよう求める

  • ボディスキャン、座禅、ヨガなどの正式なマインドフルネス実践のトレーニングを提供する (以前記したように、ヨガや座禅が有益な構成要素とはなっていない)

  • 感情反応を減らし、認知的再評価を高めてストレスの多い思考や出来事と個人の関係を変えるよう目指す (Teasdale et al., 1995)

  • 標準セットは、毎週2.5時間のグループセッションを8週間、そして6時間の週日のリトリートが含まれる (これが標準セットである)

  • MBSRはもともと慢性疼痛のために開発されたが (!!!!)、がん、医療従事者、学生、大学医学部生など臨床及び非臨床集団での結果が報告されている (Eberth & Sedlmeier, 2012)

  • これらの先行するメタ分析は、対象件数が少ない、プリズマガイドラインに準じていない、定性的レビューで定量化されていないという問題がそれぞれ指摘される

  • そこで本研究は以下を目的とする

(1)健康な個人を対象とする心理学的特徴 (不安、抑うつ、ストレス、苦痛、燃え尽き症候群) へのMBSRの効果量を定量化する
(2)MBSRにおけるマインドフルネス・セルフコンパッションの役割を明らかにする
(3)モデレータを調査する

Method

検出力分析

平均サンプルサイズが1グループ25名、効果量が小から中程度の0.3、研究間の異質性が大きいと仮定すると、検出力を80%にするにはMBSRとアクティブインターベンションを比較した15件の研究が必要であり、検出力を90%とするには18-19件の研究が必要となる (Borenstein et al., 2021)

包含基準

  • 健康な成人 (18歳以上) 

  • MBSR

  • 介入を評価していない・定性的なデザイン・ストレスや不安の測定がない・ほかのストレスリダクションを行っている・効果量の算出に不十分なデータの場合は除外

情報源

  • Medline, CINAHL, AltHealthWatchそれぞれで最初の入手可能日から2014年9月19日までの論文

  • 包含基準と除外基準を満たす英語論文はすべて分析対象

研究の選択基準

  • 適格性評価は、第一著者により非盲検の標準化された方法で実施

  • 第二著者によりレビュー

  • レビュー担当者間の意見の相違は話し合いで解消

  • いくつかは原著者に連絡して説明を求めたり、効果量計算のための欠落データの要求を行った

  • 一つのケースは原著者から必要なデータが得られず除外

データ収集の手続き

電子データ抽出シートで抽出 (つまり、各研究から抽出すべきデータをまとめた表のようなものに従ってもれなく収集したということ)

データ項目

  • 各研究からは、主として以下のデータを収集

  • (1) 試験の特徴 (発表年、研究デザイン、ランダム化、盲検化、セラピストの資格、参加者数、アウトカム測定法、追跡期間 (週数)

  • (2) 介入の特徴 (対象集団、治療期間 (時間)、在宅診療時間、治療環境

  • (3) 対象研究の比較グループの特徴 (参加者数、対照群の種類、治療期間)

  • (4) 参加者の特徴 (平均年齢、性別の割合、脱落率) 

個々の研究におけるバイアスリスク

  • データ選択のバイアスを抑制する為、利用可能なすべての心理学的な結果 (不安、うつ、ストレス、苦痛、燃え尽き症候群) とクオリティオブライフに関するデータを含める

  • 作用機序に関するデータも含める (マインドフルネス、セルフコンパッション、スピリチュアリティ・共感)

  • 利用可能であればフォローアップデータも含める

  • マインドフルネス関連の研究の質の評価スコア

  • 治療が標準プロトコルに準拠しているか (修正版、簡易版、電話/ウェブの利用がないこと)

  • フォローアップ時の尺度の実施

  • 尺度は信頼性・妥当性を検証済みである

  • セラピスト・ファシリテータのトレーニング

  • セラピスト・ファシリテーターの実践・訓練経験

  • 対象研究の場合は、無作為割り当ての有無、両群の治療時間の均質性、評価者・実験者の盲検化ける、参加者の研究仮説盲検化

  • すべての評価項目について真偽のバイナリ

  • 研究デザインでは、事前事後研究は0、ウエイトリストや脱落対照は1、アクティブコントロールは2

  • 非盲検は0、単盲検は1、二重盲検は2

  • 評定者で評価を一致させた

要約の指標

メタ分析は平均値の標準化差の算出で実施
Microsoft Excel2010とComprehensive Meta-Analysis ver2.2.057 (Borenstein et al., 2005)

結果の統合

  • 効果量は、平均値と標準偏差で計算

  • 他は、F,p,t,x2を使用

  • グループ内分析では治療前後のそっくてい相関を利用できない場合は保守的な推定値 (r=.7)を使用

  • 全ての研究につきHedge's g、95%CI、z-value及びp-valueを算出

  • 研究グループの平均効果量はランダム効果モデルに基づき、全グループについてhedge's g、95%CI、p-valueを算出

  • 研究の異質性は、I2とx2 (Q)で評価し、I2は観測分散への異質性の割合を測定

  • I2が25%の場合は低い、50%は中程度、75%は高いとみなしうる (Higgins et al., 2003)

研究間でのバイアス評価

  • fail-safe Nの計算 (Rosenthal, 1993)

  • ファネルプロットの作成

追加分析

  • メタ回帰分析の実施

  • モデレータと効果量の関係を明らかにする

  • プリポスト法の研究を対象に、(1) 研究のクオリティ、(2) 治療期間、(3) 在宅治療期間、(4) 参加者の平均年齢、(5) 出版年数、(6) セラピストのトレーニング/経験

  • また、マインドフルネスと思いやりの結果野組み合わせ変化と治療的変化の関係のメタ回帰分析も実施

Results

研究の選択

対象研究の特徴

  • 対象者は、生徒 (n=10)、ヘルスケアのプロ (n=9)、看護師 (n=3)、一般人口 (n=4)、MBSRグループ (n=3)、妊婦 (n=1)

  • 大部分は平均年齢36.80歳の女性 (82.68%)

  • 脱落率は小-中程度 (16.99%)

結果の統合

  • ヘテロジェネイティが大きい

  • 特に、セラピスト・ファシリテータの訓練及び経験による効果の差が大きい

  • また、MBSRプロトコルに遵守したほうが、修正版よりも効果が大きい

研究間のバイアスリスク

(説明が面倒なのだが) フェイルセーフ法及びトリム・アンド・フィル法により、効果サイズの推定 (少なくともプレポスト法による群内効果及び群間効果のいずれも効果が0ではないというもの) は頑健であることを示唆している

追加分析

  • マインドフルネスとコンパッションの効果量変化は、臨床効果量変化と相関している (n=13,beta=.35, se=.17,p<.05)

  • その他、効果は非常に小さいが、治療時間が長くなるほど、在宅診療があるほど効果が強まる

Discussion

(マインドフルネス・セルフコンパッションの改善とアウトカムの共変については、先行研究と一致しているとしか記載されていない)
(結局のところ何が何だかよくわからない)

Reference

  1. Astin, J. A. (1997). Stress reduction through mindfulness meditation: Effects on psychological symptomatology, sense of control, and spiritual experiences. Psychotherapy and psychosomatics, 66(2), 97-106.

  2. Borenstein M, Hedges L, Higgins J, Rothstein H. Comprehensive meta-analysis. 2nd ed. Englewood, NJ: Biostat; 2005.

  3. Borenstein, M., Hedges, L. V., Higgins, J. P., & Rothstein, H. R. (2021). Introduction to meta-analysis. John Wiley & Sons.

  4. Chang, V. Y., Palesh, O., Caldwell, R., Glasgow, N., Abramson, M., Luskin, F., ... & Koopman, C. (2004). The effects of a mindfulness‐based stress reduction program on stress, mindfulness self‐efficacy, and positive states of mind. Stress and Health: Journal of the International Society for the Investigation of Stress, 20(3), 141-147.

  5. Eberth, J., & Sedlmeier, P. (2012). The effects of mindfulness meditation: a meta-analysis. Mindfulness, 3(3), 174-189.

  6. Grossman, P., Niemann, L., Schmidt, S., & Walach, H. (2004). Mindfulness-based stress reduction and health benefits: A meta-analysis. Journal of psychosomatic research, 57(1), 35-43.

  7. Higgins JP, Thompson SG, Deeks JJ, Altman DG. Measuring inconsistency in metaanalyses. Br Med J 2003;327:557–60.

  8. Hofmann, S. G., Sawyer, A. T., Witt, A. A., & Oh, D. (2010). The effect of mindfulness-based therapy on anxiety and depression: A meta-analytic review. Journal of consulting and clinical psychology, 78(2), 169.

  9. Kabat-Zinn, J. (2023). Wherever you go, there you are: Mindfulness meditation in everyday life. Hachette UK.

  10. Khoury, B., Sharma, M., Rush, S. E., & Fournier, C. (2015). Mindfulness-based stress reduction for healthy individuals: A meta-analysis. Journal of psychosomatic research, 78(6), 519-528.

  11. Rosenthal R. Meta-analytic procedures for social research. Newbury Park: CA: Sage; 1993.

  12. Surawy, C., Roberts, J., & Silver, A. (2005). The effect of mindfulness training on mood and measures of fatigue, activity, and quality of life in patients with chronic fatigue syndrome on a hospital waiting list: a series of exploratory studies. Behavioural and Cognitive Psychotherapy, 33(1), 103-109.

  13. Teasdale, J. D., Segal, Z., & Williams, J. M. G. (1995). How does cognitive therapy prevent depressive relapse and why should attentional control (mindfulness) training help?. Behaviour Research and therapy, 33(1), 25-39.

  14. Yook K, Lee S-H, Ryu M, Kim K-H, Choi TK, Suh SY, et al. Usefulness of mindfulnessbased cognitive therapy for treating insomnia in patients with anxiety disorders: a pilot study. J Nerv Ment Dis 2008;196:501–3.



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