写真ビギナーが買うべきカメラはどれかということと、それでもデジタルカメラがいいと思うこと
フォトグラファーなので、「カメラの使い方を教えてほしい」とか「上手に撮れるこつを教えてほしい」と言われることがあります。
「どんなカメラがいいのか」は、最近聞かれなくなりました。
たぶんみな、スマホのカメラで満足しているからだと思います。
そんななか、あえて、ビギナー向けのカメラはどういうものがいいのかについて、書いておきたくなったのでこれを書いています。
写真の色と明るさは、見た目と同じではない
見出し通りなのですが、撮影された写真の色や明るさは、人の目が見たものとはまったく違っています。
これは、「カメラの目であるレンズと、人の目との違い」、そして大きいのは、「脳内補正」だと思っています。
人の目は、見え方を自動的に調整している
人の目は、とても都合良くできています。
誰かを写真に撮るとき、その人の向こう側に太陽やライトがある、いわゆる逆光の状態でシャッターを切ると、顔が真っ暗になってしまいます。
ですが、自分がその人を見ているとき、顔が真っ暗になっているということはないでしょう。
また、明るい日向から日陰に入ったときでも、見えている景色が暗くなったりすることはないでしょう。
日向と日陰で、急に見え方が変わることはありません。
こんなふうに人の目は、明るさの差があっても、調整してくれています。
カメラのレンズは設定どおりに映す
一方で、カメラのレンズは、そこに映ったものをそのまま映します。
(基本的には、ということです。シャッタースピードや絞り、露出を調整したり、ストロボを使ったりしたらそれは変えられます。)
人の目のような自動調整機能はありません。
明るかったら明るく、暗かったら暗く映ります。
逆光だったら、後ろからの光で顔が影になるから、そこは暗く映ります。
日向できれいに撮れていたのが、同じ設定のまま日陰で撮ると、暗くなります。
逆に、日陰できれいに撮れた設定のまま、日向にカメラを持ち出すと、明るすぎて真っ白になってしまったりします。
脳内補正がある
そしてこれがいつもやっかいだなと思うのですが、人の脳は、見たものの印象を補正してきます。
簡単にいうと、カメラでそのまま撮った状態と、見た後に人が覚えている印象には差がある、ということです。
イルミネーションはキラキラに、青空はより青く、桜はピンク色に見えているのではないでしょうか。
桜の写真はわかりやすいと思います。
きれいだな、と思って写真を撮ってみたら、思ったより白かった、ということはないでしょうか?
見ているとき以上に、記憶はやっかいです笑
これらを踏まえて写真を撮ることを考えたとき、記憶の印象に近づけるには、そのまま撮った写真を加工したり、撮影するときに補正することが必要になってきます。
そのためにフォトグラファーは、露出の設定を変えたり、シャッタースピードや絞りをいじったり、ストロボやレフ板といった道具を使ったりします。
(もちろん、見た目の印象に近づけるためだけにそれらをするわけではありませんが、そこはいったん置いといて。)
明るさや色の印象のほかにも、カメラのレンズには、広角レンズだと端の方がゆがむ現象があったり、まあいろいろあります。
見たとおりの印象に近い写真を撮れるカメラはどれか
撮った写真と見た印象に違うことを分かったうえで、写真ビギナーが写真を撮るのにいいカメラはなにか、と言うと、もう今はスマホ一択だと思います。
特に「iPhone」と「Google Pixel」は、写真の詳しいことは分からないけれどきれいに撮りたいという人にはお勧めだと思います。
これ以外にも、新しいスマホで、AIが自動判定するモードがついているものはいいと思います。
例えば私はAndroidユーザーで、富士通のarrows F-52Aを使っていますが、これのカメラアプリにはAIモードが搭載されており、初期状態でそれがONになっています。
こちらの画像で比較してみました。
上の画像は、カメラアプリのAIが逆光と判断している状態です。
AIに従わずに撮影すると、こんな感じ。
AIの補正に従って撮影した結果がこちら。
光や明るさだけでなく、被写体に合わせてもきます。
スマホのカメラアプリには、こうした機能が次々に搭載されています。
カメラアプリが、撮影した映像を自動的に加工する
iPhoneのカメラについては、この記事が詳しいと思います。
私が書いたような、目で見たものに近づけるということを、iPhoneのカメラはやってます。
一部引用します。
GoogleのPixelも、iPhoneと同様に、撮影した写真に対して加工をしてきます。
ずいぶん前の記事になりますが、Googleの体験会でPixelを使ってみたときのことを書いたnoteです。
思い通りに撮りたいのなら、ふつうのカメラのほうがいい
一方で、自分で写真の色や明るさをコントロールしたいなら、やっぱりカメラだと思います。
失敗もあるけれど、設定したとおりに映ります。
そしてこれが以外と重要で、同じ設定で同じ明るさ、同じ色で撮れるというのは、仕事で撮るうえではけっこう大事です。
フォトブックを作って並べたとき、同じ場所、同じ被写体を撮っていても、AIまかせの設定では、色や明るさが違ったりすることもあるので、自分でコントロールしたいのです。
そのうえで初心者向けのカメラはなにか
そのうえで初心者が使いやすいカメラはなにかというと、ミラーレスだと思います。
ミラーレスカメラでは、レンズから入った映像が、そのときのシャッタースピードや絞り、ISO値などを含めて、どういう結果で映るのかが、リアルタイムで確認できます。
ディスプレイや電子ファインダーで見ている状態が、撮影される状態と同じなので、圧倒的に失敗が減ります。
それでもデジタルカメラがいい理由
すっかりスマホにお株を奪われている感のあるデジタルカメラですが、デジタルカメラにも、風景をきれいに撮ったり、ポートレートがきれいに撮れるモード、ペットをきれいに撮るモード、夜景をきれいに撮るモードなどが搭載されています。
でもこれは、あまり知られていないんじゃないかな、という気がしています。
またデジタルカメラは、遠くのものを大きく映す望遠機能では、スマホとは比べものにならないくらい優秀です。
新品のiPhoneは10万円以上しますが、型落ちと呼ばれる少し前の機種なら、ミラーレス一眼でレンズがセットでも、その半分くらいで買えるものもあります。
運動会でお子さんの写真をきれいに撮りたい、発表会のステージでがんばっている姿を撮りたい。
そういうことだったら、スマホよりデジタルカメラの、それも望遠レンズがついたダブルズームキットがいいと思います。
スマートフォンのカメラとデジタルカメラのお話でした。
オンラインと対面でのカメラレッスンを準備中なので、思いついたことを書いてみました。
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