見出し画像

正解がわからない豚肉と紅ショウガの天ぷら

2023年4月12日の夕飯。

仕事をしていたら、息子からLINE。
筍が届いたよ、と。
毎年、父が送ってくれる。朝堀の筍は茹でるのが大変だけど、美味しい。
帰ってから茹でるのはひと仕事。茹でるのか!でも今日茹でるしかない、そう思いながら帰ったら。

水煮だった。

筍を茹でるあの作業、嫌いではないけれど大変なのと、毎回、鍋を3つ使うことになってコンロがすべて塞がるので、時間のない平日の夜にはちょっとつらい。
でも、美味しい筍のためなら頑張れる。

うちの定番は筍ご飯、天ぷら、メンマ。天ぷらを念頭に買い物をする。
茄子はあった、あとはボリュームを出すために、豚肉と紅ショウガの天ぷらを作ることにする。
揚げるのがちょっと手間で時間がかかるけど、今日は帰りが早い。
もやしとニラがあるから、あとは野菜炒めでもいいなと思いながら、野菜売り場を見ると、昨日、別のスーパーではもうなかった新タマネギがまだあった。

割引シールの貼られた、お刺身用と書かれたわかめを買う。
タマネギと合わせてサラダにしよう。

在庫がわからないので、天ぷら粉も。
こつのいらないもの。
この粉を作った人は天才。

帰宅したら、珍しく誰もまだ。
ひと休みして、洗濯物をお風呂場からおろして(この時期は黄砂対策)、お風呂を洗って先に入ることにする。

筍は水を入れた袋にひとつずつ入れて、ボウルに入れて野菜室へ。
お湯を張るあいだにご飯をセット。
いちばん筍が好きな娘が遅そうなので、今日はふつうにご飯を炊く。

お風呂を出て洗濯物を畳んだら、野菜を出す。
筍、明日にしようかというと、夫が、今日は筍、っていうから、会社出るときから筍のつもりで帰ってきた、と言うので、小さいのがあったのでそれを揚げることにする。

サラダから作るつもりで、冷蔵庫の材料を見ながら迷う。
油揚げの賞味期限が昨日だった。一日だし、と、三枚、グリルに入れて焼き始める。
三つ葉もそろそろ使ってしまわないと、と思って刻んだけれど、油揚げと合うか自信がなくなり、かき揚げにするかと思ってもう一度、チルドの引き出しを見たら、やっぱりちくわが残っていたけれど、こちらは封を切ってあって、賞味期限から三日も経っていた。もったいないけれどあきらめる。

なすとピーマンを揚げることにして、カット。
ザルに入れる。

天ぷらって、少しずついろんな食材があったほうがうれしいけれど、家で作るとなると、同じものをたくさん揚げることになることが多い。
かいそろえて作るというより、余ったものがあるときに、冷蔵庫の掃除で作ったほうがいいものだなと、毎回思うのに、茄子を大量に揚げたりしている。
今日は自重して茄子は2本だけ、ピーマンも3つにした。4つ合ったから使い切りたかったけれど。残すことも勉強かもしれない。

筍は小さいのを、先の柔らかいところは落として、残りを縦に割って薄めに切る。
先の部分は週末に梅和えを作るので取っておく。
自分で茹でるときは、姫皮で作るお楽しみ。

三つ葉のかき揚げの相手に、にんじんを千切りに。
ちくわが入ったほうがおいしいけれど、しかたない。

サラダの野菜は新タマネギ。
わかめを洗ってボウルに。
ずぼらなことをしてトレイで洗おうとしたら、こぼれてしまい、あきらめてザルを使う。
洗ってガラスボウルに入れたところへ、タマネギ。

焼き上がった油揚げも刻んで。
今日のはカリカリ。

豚肉の天ぷらの準備。

豚肉は切り落としでじゅうぶん。
切り落としというには立派だったので、包丁を入れる。
適当に切って、水気を切った紅ショウガをどっさり合わせる。

最後に天ぷら粉。
表記のとおりに計量して水溶きする。

いつも思うけれど、天ぷらを家庭料理にした人を、ちょっと呪っている。
こんなに専門技術が必要なものを、一般家庭で作って食べるというのは無理がある。
揚げる技術はもちろん、揚げたてをおいしいうちにと思ったら、揚げる人は最後のひとつを揚げ終るまで食べられないのだから。

今日はまだ、紫蘇の天ぷらがないからいい。

そんなことを思いながら油を足そうとしたら、手が滑って、ふたを開けかけたボトルを落としてしまった。
足元に、油跳ねを少しでもふせぐために新聞紙を敷いていたので、たいはんはそこにこぼれたけれど、右足にかかって、履いていたパンツもべたべたに。

夫に手伝ってもらって床を拭いて、自分の足はキッチンペーパーを踏みながらお風呂場へ移動。
足を洗って、パンツを洗って、天ぷら再開。

最初に野菜を揚げていく。肉はあと。

なすを入れる。
なすの衣を切っていると、いつまでも落ちてくるなぁ、と思う。
適当なところで入れるしかないのだけれど、切りどころがわからない。

色をきれいに揚げるのに、皮から入れるのを忘れてしまって、全部入れてから思い出した。
3対1で皮からが多かった。実から入れてしまった二つは先に裏返してみた。

ピーマン。
たぶん天ぷらにするのは初めてかもしれない。
半割にしたけれど、失敗だったかも、と入れ始めてから思う。
外側を下にして入れたら、内側の真ん中にてんぷら粉がたまってしまった。
かといって、反対から入れるのも違う気がする。

油が浅いので、いったん全部つけるわけにもいかず、途中から、なんとなく内側にも油が入るように入れてみたけれど、あまりうまくいかなかった。

そして、ひっくり返すまではよかったものの、取り出すときに衣がはがれる。
なすも気を付けないとはがれることがあるけれど、ピーマンの難易度はそれより上。

小さいボウルを出して、溶いておいたてんぷら粉を取り分ける。
青のりを多めに。
そこへ筍の薄切りを入れて混ぜる。
ようするに磯部揚げ。


筍はこの揚げ方が一番好きかも。家族もみんな好き。
これを塩でいただく。

天ぷらの日は、ざるとボウルがたくさん要る。
揚げたものも、ボウルに乗せたざるに一度あげて油を切るので。

筍を揚げ終ったら、もうひとつボウルがいるな、と思って、筍でつかった磯部揚げのボウルを洗ったけれど、てんぷら粉のボウルが使いまわしできることに気が付いて、そちらを使う。
まだ残っているてんぷら粉を、一度豚肉のボウルに入れる。
やっぱり足りないので、全部入れてしまって、新しく少しだけてんぷら粉を溶いて、三つ葉とニンジンを入れる。

規定量だとやはり緩め。
少し粉を足して混ぜる。

かき揚げは本当に難しい。
これもなかなかうまくいかない。
今日はどうだろう。

三つ葉とニンジンを箸でまとめて入れてみた。
触ってはいけない。
見ているとひっくり返したくなるので、いくつか入れておいて、使ったざるやボウルがあいたのを洗って時間を過ごす。
手がふさがっていれば、触ることはない。

ひっくり返してみると、今日はわりとうまくいった。

最後の一つだけが、ずいぶん大きく、分厚くなってしまった。
あとで息子が食べるとき、でかいな、と言いながらかじっていた。

最後は豚肉と紅ショウガ。

実はこれをどこかで食べたことがない。
たぶん、田辺聖子さんの小説か何かで読んだような気がするのだけど、まったく思い出せない。
天ぷらだったか、串揚げだったか。

関西には串揚げに紅ショウガがあるけれど、それとも違うもの。

ボウルで豚肉と紅ショウガを混ぜたところに、てんぷら粉を溶いて入れる。
量は適当だけれど、まあ、まといつけばよい。

塊になると中がべたついておいしくないので、できるだけ薄く、カリッと揚げたい。
油に落としたあと、箸で広げたりしながら揚げていく。
一つずつはあまり大きくしたくないので、全部揚げるにはけっこう時間がかかる。

カリッとしたいけれど、久しぶりでなかなかそうならないので、温度を上げるといいかも、と思って190度にしたらいい感じになった。
最後は200度まで上げる。

カリカリした食感と紅しょうがの辛みがおいしい。

材料の割合も、揚げ具合も、揚げるときのかたちも、どれも正解がわからないけれど、うちの人気メニューになった。
そんなに昔から作ってるわけではないのだけど、子供が大きくなると、レシピの幅が広がるので、チャレンジできる範囲が広くなる。
そんななかで試して定番入りしたメニューのひとつ。

少し残ったのを冷蔵庫に入れておいたら、この日夕飯がいらなかった娘が食べたようで、朝、なくなっていた。

また作ろう。

写真や記事を楽しんでいただけたら嬉しいです。記事や写真を気に入っていただけたら、スキ(左下の♥)を押していただけると励みになります。