革命前夜《翠曜日》vol.15
翠曜日
金木犀の香りがすると、すごい嬉しいの!!!
はぁあああって気持ち!
星野源のANNを聴いていて、源さんが(絶対に目をくしゃくしゃにしながら)心から嬉しそうに言っていた。もうまさにそうなの。本当に、あの匂いのために深呼吸をしてしまう。
毎回毎回、「うわ!いい匂い!なにこれ!」「あ、金木犀か。そうだそうだ」という思考回路を飽きもせず辿っている。そのくらいに、感覚がもつスピードは速い。
『革命前夜』という作品を読み終えた。私の読書時間は大抵が電車での通学中で、イヤホンで音楽を聴きながら読書をしている。この話は「音楽」がテーマだ。文章は常に音が鳴っているどころか、具体的な曲名もたくさん出てくる。あまりクラシックに精通していないので、頭の中に音楽が鳴ってくれないのが悔しくて。ポップスの再生を停止し、バッハの平均律クラヴィーアやゴルトベルク変奏曲を検索して、音色に身を任せる。シュウやクリスタに聴こえている音に少しでも近づいて、DDRの住人になりたかった。
読んだことのないひとは、何を言っているかわからないよね。
紹介します。
『革命前夜』(須賀しのぶ作)は、昭和が終わりを告げた時期に、東ドイツにピアノ留学に行った青年の物語です。彼がDDR(東ドイツを指す)で生活する中で、衝撃的なバイオリニスト、天才オルガニストなど…それぞれの持つ「音」と出逢いながら、自由を求める人々と、時代の理不尽に揉まれる姿が描かれています。
昭和天皇が崩御した1989年は、ベルリンの壁崩壊、天安門事件、さらにはアパルトヘイトの撤廃などが起きた時代です。歴史の教科書ではたった一行にしか過ぎない出来事ですが、これらが如何に激動に満ちていたかが感じられて、「本を読むとは、こういうことだな」と感じました。知識が並べられたような難しい文章じゃないんです。なんせ、音楽の話。「湿気を帯びたピアノの音」を想像したことはありますか。聴覚が刺激される文章というのは、それだけでとっても凄いもので、更に「感情を揺さぶる音」までも言葉に落とし込んでしまう須賀さんって、何者…となっている今日この頃です。
激動の時代の、灰色の空気を読む上で、今の情勢を考えずにはいられなかったし、今読んでよかったと思いました。
というより、この本を読んでいたからこそ、今の世界情勢について、ぐっと近距離で見ようと思えている気がする。
私がこの本を読んでいたのは、2023年の10月です。(タイムリーに読んでくださっている方は、何を改まって。と思うかもしれません)
ニュースを見ていますか。パレスチナ問題に動きがあり、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによって、大規模な奇襲がしかけられました。おいおい、読むのが疲れそうな話が始まったぞ。でもちょっとだけ付き合って、私も全然詳しくないけど、浅い知識でお送りするね。(みんなちゃんと自分で調べておくれ)
揉め始めたきっかけとして、最初の最初から話せば2000年前に遡る必要が出てくる。その辺をふっとばすと、始まりはイギリスの悪事がきっかけと言えます。第一次世界大戦期の「三枚舌外交」というフレーズは聞いたことあるのではないでしょうか。あろうことかイギリスは、アラブ人と、ユダヤ人と、秘密裡に協力していたフランス、3方向に対して、同じ土地のイギリスとの分割を約束をしました。無事に勝利をおさめたイギリスは、アラブ人ともユダヤ人とも約束を破って結局自分たちで委任統治するようになりました。第二次世界大戦が終わると、「ちゃんと土地は返そう」ムーブになったので、イギリスは土地を手放しますが、その時にイスラエル(🇮🇱)という国が建国されます。今回の問題でいうと、ハマスに攻撃された側です。イスラエル国民はユダヤ人で、ホロコーストで迫害された背景への同情もあり、うまれたての国連による決議のもとで、国が出来上がりました。しかし、その土地に長らく根付いていたのはアラブ人でした。建国の翌日(翌日だよ?)には既に揉めごとの嵐だったようで、アラブ諸国がイスラエルに攻め込む第1次中東戦争が始まってしまいます。この中東戦争は第4次まで続き、結果はイスラエルがどんどん優勢になっていき、アラブ人は負けてしまいました。
非常にまずかったのが第3次中東戦争。ここで『イスラエルは、戦争前まで認められていた休戦ラインを越えて、国際法上、認められていないところまで占領したのです。この時イスラエルは事実上「パレスチナ」と呼ばれていた土地のすべてを、統治下に置くことになったのです。』(引用:NHK)第二次世界大戦の被害者だったユダヤ人たちも、異なる時代の視点から見ると、加害者としての側面も持っていたのです。
追い出されたパレスチナの元々の住人(アラブ人)が住むことを許された地域の一部が、ガザ地区です。許された、という呑気なワードから牧場並みの人口密度を想像しては行けません、調べたところによると、種子島規模に200万人!これは長野県の人口くらい。(イメージ湧く?微妙?笑笑 でも、種子島サイズに長野県の人口って、まともな生活ができないだろうなという想像はつくよね。)
こんな状況ゆえ、パレスチナ難民と呼ばれる人たちがたくさんいるのです。
途中でオスロ合意など、平和に行こう!という取り決めも行われていたはずなのに、蓋を開けてみればなにも解決していない。
それどころか、ヨルダン川西岸には【壁】がつくられる始末。イスラエルが、アラブ人のパレスチナ軍からの攻撃を防ぐ目的で建てられました。
ハマスがガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾を撃ち、イスラエルが報復として空爆する…を繰り返しているのが現状というわけです。
革命前夜の舞台、20世紀末のドイツの激動を自分なりに受け取った私が、多少なりともこのニュースに食いつくのは、自由を求めた人々の叫びがむかしごとではなく今目の前で起きていることに、改めて衝撃をうけたからです。
この辺の地域への関心は、今現在私がアラビア語を学んでみている…ということも関係あると思います。これは割と単純に、言語への興味で始めました。
歴史はいまも刻まれている…というと大袈裟に聞こえるけれど、大袈裟に聞こえたのなら、平和の中に生きているからだと思います。
コロナ禍を過ごした日々は、これ多分歴史に残るな…と生きていて始めて感じました。
ちょっとだけ、視野の広い翠曜日。
私のための文章だけど、公開するからには…と思ってじっくり書いていたら、あーあまた過ぎた。
私の言ってること、関心のきっかけになれば嬉しい。だから知識として鵜呑みにしないで!
watashi,責任,torenai….
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