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インドの"シリコンバレー"で働くエンジニアの今_2023年2月

2023/1/23 - 2/3で、インドのエンジニア動向を調査するため、バンガロールに行ってきました。

インドが開発拠点としてなぜ注目されているのか、インドのエンジニアについての出張での学びをまとめました。

以下の内容は、デスクトップリサーチ、現地ヒアリング、弊社のデータベースを参考に記載しています。感覚や実態と異なるという声ございましたら、ぜひ参考にさせていただきます。

なぜインドは注目されているのか

インドは人口世界一!?

  • 14億人超の人口を抱えるインドは今年、人口で中国を抜き、世界一になる見通し

  • 2050年にはインドが16億人を超え、中国は13億人強に減る見込みと言われている

GDP成長が著しいインド

  • 2050年までにインドは米国を抜き世界第2位のGDPになると言われている

  • 主要先進国・新興国の中でも高い経済成長率7%前後の継続が予測

  • 一方で1人あたりGDPはまだ2000ドル台。2025年には3000ドル台になると言われているが、中国やロシア、ブラジルなどと比べても大幅に低い水準にあり、経済成長期はまだ初期段階といえる

ちなみに、インドの平均年齢は2022年時点、27.9歳です。一方、日本は48歳です。インドに詳しい方と東京でランチをした時に言われたことをいまだに覚えています。

河島さん、周りを見てください。見た感じ、私たちが一番歳下ですよね。インド行ったとき周り見渡してみてください。全員自分より若いですよ

なかなか考えさせられる一言でした。

生産年齢人口の増加を背景に、急速な経済発展が続くインドは、今や世界中の投資家やビジネスパーソンを魅了する国としても知られつつあります。

インドのエンジニア事情

インド出身のエンジニア数が世界一になる

  • インドのエンジニアは、4 - 5百万人程度と言われているが、実際はもっといるとも言われている。

  • アメリカのエンジニアの数が4百万人台であることを考えると、インドのエンジニアと同等程度もしくは、既に越している可能性

米IT大手で存在感増すインド出身CEO

  • 2020年の日経記事ではありますが、IT大手のCEOにインド出身者が多い

  • たとえば、Google, Microsoft, IBM, AdobeなどのCEOがインド出身

  • 背景として、IIT(インド工科大学)など世界のトップクラス理数系大学を目指して、多くの学生がエンジニアを目指している競争環境。トップの学生がアメリカを目指している米国への移民の多さ

国連によると、米国で暮らすインド出身者の数は2019年時点で266万人に達したといい、45万人だった1990年から6倍近くに増えた。シリコンバレーの調査団体がまとめた最新統計によると同地域で38%を占める「外国生まれ」の住民のうち14%(全体の約5%)がインド出身

日本経済新聞2020年3月3日

私自身2017年にIndeedに駐在をしていた頃、サンフランシスコの開発拠点で仕事をしていたが、ほとんどのエンジニアがインドと中国出身のエンジニアであったことを覚えている。

インドといえば優秀な技術者が多いみたいなイメージを持っている方も少なくないと思います。

バンガロールに開発拠点を置く『インド・シフト』

  • 武鑓行雄氏著の『インド・シフト』を読むと、「インドのシリコンバレー」と呼ばれる都市・バンガロールに、なぜ世界トップ企業の重要拠点が次々に設置されていのか背景がわかる

  • インドIT業界はもともと米企業のシステム開発の下流工程を低価格で手がける「オフショア拠点」として発達。

  • 最新技術に触れ、かつ国全体として高い競争下で技術力を磨いていき、今では一番開発拠点が置かれる国にまで進化している

インドでエンジニアの採用は難しい?

インドのエンジニア年収事情

  • インドのエンジニアは国内国外にわたり活躍し、エンジニアの年収はバンガロールを中心にどんどん上がっている

  • 全体で見ればまだまだ1 - 2百万ルピー(2 - 3百万円)であるものの、外資テック系やインドユニコーンであれば3 - 4百万ルピー(日本円で5 - 6百万円程度)は最低もらっている。シニアエンジニアであればもっと高い

知っておくべきは、大手テック系で経験のあるエンジニアの年収は早いスピードで上がっているということ。

インフレもあり、毎年10%程度年収が上がっているとも聞きます。

インドのエンジニアが転職時に気にすること

  • 日々インド出身エンジニアと接する中で見えてきたこととしては、第一に給与、次いでカルチャー(開発体験)を重視しているエンジニアが多いということ

  • 20代はとくに国外に出ることに積極的で、移住先としては、アメリカ・ヨーロッパ・シンガポール・日本の順に人気の様子

インドのエンジニアは英語で仕事ができるため、採用したいとなると世界中の企業がライバルになります。

お金だけではないですが、最低限の年収バーがあり、その次にカルチャーは得られる経験などのマッチングになっていくと感じます。

加熱するエンジニアの採用競争

  • トップエンジニアは米IT大手を中心に世界中で働いている

  • IITなどインドトップ工科大学は世界中の企業が欲しがっている

  • 近年はリモートでの雇用も増えていることなどの状況もあり、より一層インドにおける採用状況が熾烈を極めている

上記のとおり、世界中の企業との採用競争により、インド出身エンジニアの年収は上がっています。

また、リモートにより、インドに生活しながら、高い年収を国外からもらう方が増えてきています。

30 - 50%程度年収が上がる程度では、移住して働くよりも、国内で就職したほうがよいと考えているエンジニアが増えてきています。

インドのエンジニアの採用はなぜ難しいか

  • 少なくとも5 - 6百万人のエンジニアがインドにはいて、毎年バンガロールの一都市だけでも10万人以上の学生がエンジニアリングに関する学部や大学院を卒業している

  • この中のトップ数パーセントは米国に移住もしくは欧米のテック企業の案件を受託し、高い年収を実現している

  • 一方で、多くのエンジニアはまだそのような状況でなく、インド国内では急激に増えすぎたエンジニアが就職難という状況にも陥っている

インドで内製開発拠点を作っている企業の方々にヒアリングしてわかったことがあります。

トップエンジニアの一本釣りも狙いつつ、数としては”ミドルエンジニア”層に対して採用活動を行っています。理由は上記の通り、トップエンジニアの年収帯が高まっており、採用が難しいためです。

意識的にミドル層の中からいかに“優秀”なエンジニアを探すことに経営者や人事は苦戦しています。

皆口を揃えていうことはインドの人材は“玉石混交”

優秀な人はいるが、膨大な数の応募からスキルマッチしており、自社で働きたいと思う人を見つけないといけない。

インターンシップの求人を開けて数日で数千の応募が来るなど人事からすると頭が痛い状況になっています。

スクリーニングを効率的に行い、自社にとって“優秀”なエンジニアにどう会えるかが採用の鍵になっています。

日本企業はどうエンジニア組織を海外でつくる?

  • 前提としては、エンジニア採用は、自社が目指す目的のために適切な開発力を得ることなどそもそも解決したい目的が背景にあり、グローバル開発組織を作ることの検討はあくまで選択肢のひとつ

  • 知っておくべきこととしては、英語話者に採用枠を広げると母集団は20倍以上(日本のソフトウェアエンジニアは120万人程度)に広がるため、日本では採用が難しい技術力を持ったエンジニアにリーチできる

グルーバル開発組織をつくる先進企業から学ぶ

  • 弊社のクライアントアンケートによると7割近くの企業がエンジニア採用目標が未達

  • 経営陣が意思を持って2,3年かけてグローバル化に挑戦する企業が増えている

  • LINE・メルカリ・マネーフォワード・ラクスルといった上場ベンチャーだけでなく、オーティファイ・キャディ・delyなどスタートアップ企業も開発チームのグローバル化に舵を切っている

なお、トップ画像はバンガロールにある楽天のビルになります。楽天社は早くからインドに開発拠点をつくり、今では、こちらに2000人以上のエンジニアが就労しているとのことです。

中長期を見据え採用ターゲットを整理する

  • 国別におけるマーケットの理解に合わせたターゲットに向けて採用戦略を取る必要がある

  • 新卒であれば、インド工科大学(IIT)である必要はあるのか。近年は、IIT以外からの採用も人気になってきている。また大学のレベルもIITの中でも幅広く、インド大学=IITというイメージを捨てる

  • 中途であれば、どういった経験を持っているエンジニアの方を採用ターゲットとして考えるか。米IT大手企業、外資またはインド国内スタートアップ、ITコンサルや受託企業など採用ターゲット層を整理する

中長期的な事業成長を考えた時に開発力がボトルネックにならないように、採用・自社組織の開発生産性に目を向けていくこと。

また、国内だけでなく、世界を見た組織作りに今から投資していくことは価値に繋がっていくと思います。

どういった層(新卒や中途)にどういうオファーをすると良いのか、世界に目を向け、まずはどういった世界のエンジニアが自社にマッチするのか考え始めても良いかもしれません。

グローバル化に向けた3つのステップ

  1. 日本からスモールチームでまず始める

  2. 開発拠点を海外につくる

  3. 覚悟をもって全社で取り組む

業務委託やオフショア開発などリモートでまず小さな開発案件からはじめ、本腰を入れるタイミングで、開発拠点を海外につくる。など、アプローチはさまざまですが、一番大切なのは、経営者がグローバル化に舵を取る覚悟だと思います。

以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

インドのエンジニアに興味を持った方へ

ファインディでは、外国人エンジニアに特化した人材紹介サービス”Findy Global"を昨年よりローンチしております。

ソースプログラムなどのバージョン管理ができるWebサービス GitHubを解析し、独自のアルゴリズムでエンジニアのスキルレベルを見える化しています。

弊社のデータによると、インドからの登録割合が日本国外からでは一番多く、またスキル偏差値が高く、かつ登録層の多くが20代といった結果が出ています。

ファインディのサービスを通して、一定以上スキルを持ったグローバルエンジニアの採用をしていみたい、今回の河島の出張の話が聞いてみたい、今後のエンジニア組織について相談がしたいなど、エンジニア採用から組織作りまでお気軽にご連絡いただければと思います。

私のtwitterにDMも大歓迎です。ご連絡お待ちしております。

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