誠樹ナオ『薬膳の料理人〜番外編 武官東水の恋〜』第三話

大晦日を前に、一兵卒の武官東水は上級女官の翠蓮に淡い好意を抱いていた。なぜか彼女も東水を憎からず思っている──？そんな中、薬膳料理人の芦燕が年末の餃子パーティーの準備をすることになり、東水も手伝いに駆り出されるが。

転がるように走りこんできた女児を抱き上げて、翠蓮殿は悪戯っぽく微笑んだ。

「東水様、ご紹介しますわね。姪の白蓮（パイレン）です」
「姪……え、姪！？」

　白蓮と呼ばれた女児はツンツンと頬を突かれてくすぐったいのか、身を捩って笑った。その様子はいかにも実の母娘のようで、後宮勤めで会えない間を感じさせない絆が見える。