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プログラミング教育と大学進学率

日本でも必修科が始まったプログラミング教育。他の国ではどんな効果があったのでしょうか。大学レベルのコンピュータサイエンスの授業を高校生が受講することが、生徒の大学進学実績に与えた影響を検証した論文をご紹介します。

調査デザイン

米国の2つの大規模学区(89の高校、2年間で59,592人の卒業生)にて「AP Computer Science.Principles」という新しいコンピュータサイエンスのAPコースを試験的に実施。導入した地区とそうでない地区の大学進学実績を比較。

結論

大学への入学率が24%から34%へ増加した。

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Computer Science Aの影響はヒスパニック系およびアフリカ系アメリカ人の学生により大きかった。
→プログラミング教育が学業や大学進学率に正の影響をもたらす可能性がある。

留意点・限界

ランダム化実験ではないのでプログラミングが大学進学率向上の直接的な原因であると結論づけることはできません。

エビデンスレベル:観察

編集後記

コンピューターサイエンス系の学部は就職に有利ですが、女性や有色人種などマイノリティが少ないことが各地で問題になっています。特にマイノリティの高校生にとって、コンピューターサイエンスのプログラムを受けることが大学進学機会を増やすというのは教育機会格差是正のヒントになりそうです。

文責 識名由佳

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過去記事のまとめはこちら

Salehi, S., Wang, K. D., Toorawa, R., & Wieman, C. (2020). Can Majoring in Computer Science Improve General Problem-solving Skills? Proceedings of the 51st ACM Technical Symposium on Computer Science Education, 156–161. https://doi.org/10.1145/3328778.3366808

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