デザイナーとして2度目のノベルジャム「2018秋」に参加します
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デザイナーとして2度目のノベルジャム「2018秋」に参加します

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ノベルジャム2018秋に、前回に続いてデザイナーとして参加する運びとなりました。初めてお会いするであろう著者と編集者の皆様に、今回何をやりたいのかも含めて自己紹介をいたします。というかさせてください。

何者か

名前はsugiuraです(TwitterではS太郎と名乗っています)。広告制作プロダクションからマーケティングプロダクション、プロモーション会社のクリエイティブ部門を経て、今はとあるデザイン会社の役員兼ディレクターみたいなことをやっていますが、自ら手を動かすデザイナーとしてもとりあえず現役です。本を読むのは好きです。かなり好きです。

なぜ2回も出ようと思ったのか

自分は出版業界は門外漢のいち商業デザイナーです。デザイナーではありますがいわゆる「作家性」からは少し距離のある所が仕事場で、デザイン着手以前の企画領域で考える仕事が割と多かったりします。デザイン業務を「設計」と「表現」に分けるとするならば、どちらかというと設計側です。
なので前回は「そのようなデザイナーのやり方で小説の表紙書影が作れるのか」がテーマでした。結果、山田章博賞受賞という望外の僥倖にあずかったわけですが、心残りもありました。

いくぶんか「狂気」が足りなかった

そんな職域の制作者の常で、表現の衝動よりも企画の整合性や調和に重きを置きます。早い話が理屈っぽいのです。
もちろん敢えてそのようにした、すなわち受注産業としてのグラフィックデザインの、その制作過程のありようと同じく、課題に対する解決の提示、という枠組みから答えを出しに行ったのが前回の私でした。ホームランではなく確実にヒットを狙った、という野球メタファーは加齢臭がしてアレなんですが、ともあれ「外さない事」をまずもって必要な要件としました。それ自体後悔をするものではありませんし、何よりチームを組んだ著者さんの素晴らしい作品に牽引され、デザインすることができました。
しかし何かが足りなかった。足りなかったのはパッション、とか、ソウル、あるいは幾分かの狂気と言っても良いかもしれない。前回のパフォーマンスはその時点では納得のいくものでしたが、一方で作品を生み出す衝動の力の、その問答無用の熱に応えられたか、という点で心もとなく、それがずっと小骨のように引っかかっていたのでした。

制作者としてこのような事を本来言ってはいけないのは承知しています。100%の完璧を渡すのが仕事ですから。しかし、まだ何かできるんじゃないか、という自問を誤魔化す事はもはやできず、それは今年の8月に、独立作家同盟のデザイナーズイベント「本とデザイナー」に出させていただいたのを契機に、もうどうしようもなくスパークしてしまったのです。
特にイベントに登壇された町田覚さんの逸話。ご自身がデザインした森山大道の写真集に自分の写真を載せた、という、普通のデザイナーではちょっとありえない、伝説レベルの話に衝撃を受けました。小頭のいいデザインなどそもそもノベルジャムには求められていない。異なるジャンルのクリエイティブが素手で殴りあう先の未知こそが、ノベルジャムの目指しているものだと、そのとき心底思ったのです。

今回何がやりたいか

とはいえ自分が今まで作ってきたスタイルを否定することはできません。付け焼き刃で変わるようなものでもないでしょう。けれどデザインに入る、その入り口は変えられる。
つまり「課題に対する解決の提示」というアプローチ自体は間違っていない。それを前提とするならば見直すべきは「何を持って課題とするか」であるはずです。
前回、表現課題としたのは「作品世界の手触り、風合いの可視化」と「タイトルのメッセージ化」で、どちらも無事解決に至りましたが、そこには「作品の中身を上手に説明する」という無意識の前提がありました。今回はその前提を、できれば超えていきたいと望んでいます。
作品世界の枠内での表現は安全ではありますが、それはいわば「猫に猫」であり※、上手な足し算にはなり得ても掛け算には至りません。だから今回は主役である小説作品を補強するだけでなく、異なる価値による掛け算的な作品の拡張を目指したい。
著者さんに対して誠に傲慢な考え方なのは自覚していますが、これを目指さないことには小骨が取れないので仕方がないのです。同じチームになった著者さんと編集者さんには、誠に恐縮ではありますがお付き合いいただける事を願っています。

※猫に猫=クリエイティブ界隈(自分の周りだけかもしれないけど)の慣用句で、「猫の写真に猫ってコピー書いても何も言ってないよね」から、説明的、飛躍が足りない、まんまだね、いやその通りなんだけどさ、の意です。

自分に何ができて何ができないか

第3回となる2018秋では、ほとんどの著者さんが初出場と聞きました。参加される方のキャリアとその文章、noteやブログなど拝読するに前回にましてすこぶるキャラが濃く、すげえすげえと一人盛り上がっているわけですが、どなたとチームを同じくするのか、またチーム分けの方法もわかりません。わかりませんが、わからないのは皆同じですので、デザイナーとして自分に何ができて何ができないのか、今のうちにお知らせしておこうと思います。

●できること
作品のストロングポイントを掴み、ビジュアルに翻訳します。タイポグラフィ、フォトコラージュ、幾何的な構成、等の手法を使うことが多いと思います。既に存在するものに別の意味を加え気づきを作る、そのようなコンセプトめいたアプローチも行いますので、小説の装丁でいうと特に「言葉(タイトル)との関係」が私の場合デザインのキモになると思います。広告コピーとビジュアル表現の関係に近い捉え方になると思うのでこの点、様々に議論できる編集さんとご一緒できれば喜びです。

●できないこと
イラストは、少なくとも商用レベルでは描けません(すみません)。


ノベルジャムでのデザインは(印税配分があるとはいえ)ギャラを頂いて取り組む実案件=商売ではありません。いわば遊びです。でも遊びであればこそ、いっちょ本気でチャレンジしたいと願っています。こんな自分に2回目のチャンスをくださった運営の方には感謝しかありません。

そのようなわけで本番まで3週間を切りました。
やおら自ら追い込んでしまった気もしますが、とにもかくにも楽しみです。
参加者の皆様、運営の皆様、どうぞよろしくお願いします。

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sugiura.s
デザイン会社の中間管理職