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完全自動化された広告管理システムは必要か?(Eric Seufert)

デジタル広告に関するブログMobile Dev Memoを運営するEric Seufert氏さんのツイートにアタラ杉原剛さんがリツイートしている内容が興味深かったので記録しておこうと思います。

要するに生成系AIが加速度的に進化している中で、完全自動化された広告管理システムの必要性を叫ぶマーケターが増えているが、本当に必要なのか?というツイート。

Eric Seufert氏のツイート

With the prominence of Advantage+ and PMax, as well as Generative AI tools like Stable Diffusion, it's common for marketing teams to develop the ambition to build a wholly automated, end-to-end advertising system. My advice: build exoskeletons, not cyborgs (1/X).

Advantage+やPMax、Stable DiffusionのようなGenerative AIツールの隆盛により、マーケティングチームは、完全に自動化されたエンドツーエンドの広告システムを構築する野心を抱くことが一般的になっています私のアドバイスは、サイボーグではなく外骨格を構築することです。(1/X)

prominence 目立つこと
With the prominence of 〜の卓逸性で
wholly 完全に
exoskeleton 外骨格

2/ The desire to automate digital advertising is not new, but Advantage+ / PMax and text-to-image tools make it seem much more accessible now than it ever has -- deceptively so. Advertising automation appears to be as simple as connecting a few APIs.

2/ デジタル広告の自動化に対する欲求は新しいものではありませんが、Advantage+ / PMaxやテキストから画像へ変換するツールの登場により、これまで以上にアクセスが容易になったように見えます。しかし、それは誤解を招くものです。広告自動化は、いくつかのAPIを接続するだけで簡単に見えます。

decetively 我慢的に

3/ I classified the different tiers of advertising automation in this piece from 2020. At the time, I proposed that most teams were at Level 1 automation, which entailed automating tedious tasks away but leaving judgment decisions to humans.

3/ 2020年のこの記事で、私は広告自動化の異なるレベルを分類しました。当時、私はほとんどのチームがレベル1の自動化にあり、つまらないタスクを自動化する一方で、判断の決定は人間に任せることを提案しました。
(https://mobiledevmemo.com/the-four-levels-of-digital-marketing-automation/)

4/ I still think that's true, but now, more teams have the ambition to reach Level 4 -- total automation and *integration* -- than did three years ago. There are compelling reasons to not pursue this.

4/ 私はそれがまだ真実だと思っていますが、今では3年前よりもレベル4(完全自動化と*統合*)に到達する野心を持つチームが多くなっています。この追求を避ける説得力のある理由があります。


5/ First: achieving total automation would likely require giving the largest platforms control of ad creative production, which cedes brand management to them. And the platforms would optimize for short-term objectives, potentially ignoring brand standards.

5/ 第1に、完全自動化を達成するには、広告クリエイティブ制作の最大プラットフォームに制御を与える必要があるため、ブランドマネジメントを彼らに譲ることになります。そして、プラットフォームは短期的な目標に最適化され、ブランドスタンダードを無視する可能性があります。

cede 譲る

6/ Second: media spend represents the single largest expense for many direct response advertisers. Can this really be entrusted with a totally automated system that might encounter unexpected edge cases or be afflicted with bugs? Is that an acceptable risk?

6/ 第2に、メディア費用は、多くの直接反応型広告主にとって最も大きな費用です。予期しないエッジケースに遭遇したり、バグに悩まされる可能性のある完全自動化システムに本当にこれを任せることができるでしょうか?それは受け入れ可能なリスクですか?

edge case
値が限界ギリギリなどで、特別な問題を含む可能性がある状況。

be afflicted with
〈肉体的に〉苦しむ,〈病気に〉悩む

7/ And third, would most advertisers really benefit from total automation vs. having additional efficiency unlocked from their team members via tools? Investments into these systems, from experience, follow the Pareto rule.

7/ 第3に、ほとんどの広告主が本当に完全自動化からの恩恵を受けられるのか、チームメンバーからツールを通じて追加の効率性を開放することと比較して?経験から言うと、これらのシステムへの投資はパレートの法則(※)に従います。


※パレートの法則 | 用語解説 | 野村総合研究所https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ha/pareto_princ

8/ Exoskeletons, not cyborgs: it’s often more economical and efficient to build tools that unlock additional productivity from members of a team than to build tools that are designed to entirely replace them.

8/ 外骨格、サイボーグではなく:チームメンバーの追加生産性を開放するツールを構築することが、彼らを完全に置き換えることを目的としたツールを構築するよりも経済的かつ効率的であることがしばしばあります。

9/ Stanislav Petrov, an officer in the Soviet Air Defence Forces, likely averted World War 3 when he ignored an alert from the nuclear attack warning system that he oversaw. Humanity is lucky that he did. The stakes are lower with advertising automation, but the lesson resonates.

9/ ソビエト空軍の将校であったスタニスラフ・ペトロフは、彼が監督していた核攻撃警報システムからの警告を無視したことで、おそらく第三次世界大戦を回避した.人類は幸運でした。広告の自動化によりリスクは低くなりますが、この教訓は共感を呼びます。

本件に対するアタラ杉原剛さんのリツイート

疎結合とは、プログラムの部品(モジュールやクラスなど)が互いに独立しており、変更があった際に他の部品に影響を与えにくい状態のこと。これによって、プログラムの保守性や拡張性が向上し、全体として品質の高いプログラムを作成できる。

感想

そもそも、日本国内に完全自動化を求めるマーケターがどれくらいいるのか?は気になりました。

広告管理プラットフォームに事業データを渡すことは確かにリスクが気になります。

クリエイティブレギュレーション含めたブランド毀損の懸念は大きいですし、顧客データを預けることのセキュリティリスクに対してどう受け身をとるか?難しいところ。

踏まえて、完全自動化は広告運用イメージがつかない、というのが正直な感想。

事業側の1st party dataは広告管理システム側に積極的に渡して、ターゲティング及びビッティング予測精度は上げてほしいものの、どこまでデータを渡していくか?に関しては慎重に進めないといけないのかなと思いました。

生成系AIツールに関しては、Chat GPTを活用した競合調査やクリエイティブ案ブレスト等が有用性高そうだなと思っており、引き続き自由研究をしてみようと思います。

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