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2023ファジアーノ岡山にフォーカス6『 選手名鑑23~Next challenge~(MF編-中編⑨22佐野 航大) 』


⑨『 羅針盤の先にあるものは~幕開け~ 』
佐野 航大(22~23シーズン)
岡山(22番)

 世代別代表を経験し、自信を深めたと同時に、自信の課題も感じたという22佐野 航大。彼が足りないと感じたのは、フィジカルの部分であるとインタビューで答えていた。

 日本人選手の若い選手が、この部分で苦しむ事が多かったが、ハーフの選手や練習方の進化により、18歳前後の若い選手が、海外でのプレーを選択する日も増えてきた。ただ、それでも個人差はあり、基礎技術はしっかりしていても、今でもフィジカルの部分で、海外の同世代の選手と比べて、遅れをとっている選手も少なくない。

 岡山サポーターが、普段みているJ2も、色々なタイプの選手が増えてきたが、そういった環境の中で、自身の武器と課題を正しく認識し、自身の成長に繋げる事ができる選手がどれだけいるだろうか。岡山が、チームとして苦しんでいる事もあるが、その点に関しての22佐野 航大は、自身の力不足である点を正確に認識できていて、自身の成長のために、日々トレーニングに打ち込んでいる。

 彼の成長は、そういった意識の高さだけではない。物怖じしない陽気で前向きな性格は、奇麗な右肩上がりの成長曲線に繋がっている。世代別の代表の試合のPK戦でも、佐野 航大自身のPKを止められて代表が敗れたにも関わらず、試合後には、既に笑顔であった。責任や実力不足を痛感しつつも、自身のプレーへの自信は揺るがない。諦めてごまかす笑顔ではなく、次は止められない様に、どうしようかと考えた時の意欲、練習や試合への楽しみが、そうした表情になったのかもしれない。

 勝利への意識が足りないと言われれば、それまでであるが、彼の場合は、こういった壁に直面した時に、どう乗り越えて行くのか。課題に向き合う楽しさを知っている。意外性や正確性といった武器もあるが、彼のプレーは、基本的に似たプレーが多く、そこで勝負できている点から、やはり自己分析が的確である選手のようだ。

 逆に、潜在能力の高い18櫻川 ソロモンが、判定に不満があったりする部分もあるかもしれないが、岡山サポーター目線では、そこで勝負して欲しいというプレーができていないシーンも多く、彼の不調や停滞している事に比べて、22佐野 航大が、安定して高いパフォーマンスで試合でプレーできているのは、その辺りにありそうだ。

 そうを考えると、22佐野 航大は、常に成長曲線が、右肩上がり選手で、その存在は、成長の「象徴」であり、岡山の「至宝」とも言える存在だ。そして、多くのサポーターにとって、22佐野 航大は「J1→欧州→代表」といった感じにステップアップし、遅かれ早かれ岡山を巣立って行く選手であると既に感じている(悟っている)方は、多いのではないだろうか?

 私自身も、22佐野 航大には、岡山で、10番を背負ってプレーして欲しいという気持ちも強いが、川又 堅碁という元岡山のFWが、代表でプレーしたように、佐野 航大もそこに続いて欲しい。そういった夢のある選手だ。

 彼が、口にするフィジカルが、少しでも改善すれば、どういった選手になれるのか?スピード面が改善すれば、意外性のあるプレーで裏を突いた時に、独走できるシーンや裏抜けでそのままゴールに迫るシーンが増える。当たりに強くなれば、対人守備やドリブルでも倒れない強さを手にできる。キック力が、向上すれば、シュートの振りが早くなることと、球足が早くなることで決定力が上がり、パスでの選択肢も増える。

 フィジカルで圧倒できなくても周りのレベルに近づく事で、アイデアやテクニックでより勝負できるようになる。彼が、この課題にどう向き合い、自身の武器も同時に磨き、新たな22佐野 航大として、歩んでいくのか。

 23シーズン内で、厳しくなりつつある「頂」への挑戦。22佐野 航大の成長速度が少しでも早くなれば、それは、岡山の勢いにも繋がる。岡山出身という事もあり、ファジアーノ岡山への愛着とJ2屈指の実力(将来性)兼ね備えた岡山の至宝。J1での10番の佐野 航大がみたい。もはや、22佐野 航大の活躍なくして、今季の「頂」への夢は語れない。

 それが、22佐野 航大という名前の選手で、その存在は「希望」であり「太陽」でもある。本当に、スタジアムやダゾーンで彼を観る事ができる喜び、いつか世界に羽ばたいていく、そういった確信があるからこそ、彼のプレーを目にしっかり焼き付けておきたい。

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino


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