2022ファジアーノ岡山にフォーカス41『Rodo to J1 22~23補強ポイント』Part8(4-4-2考察編)

 本日は、4濱田 水輝と、16河野 諒祐の更新が発表された。チームの精神的支柱の1人と、チームアシスト王の契約更新は、大きな意味を持つ。先日には、サイドアタッカーの9ハン・イグォンとの契約更新も発表されて、鹿島から世代別代表候補の山田 大樹(たいき)の育成型期限付き移籍の加入も発表された。着実にチームの骨格ができつつある。

 一方で、悲しいお知らせもあった。SBながらパス交換で崩す組み立ての巧かった攻撃的SBとして左右のWBやIHも任されるなど、マルチに活躍した24成瀬 竣平との育成型期限付き移籍期間満了が発表された。彼の持っているものを考えると、出場機会を求めてという部分も大きく、これは致し方ない。

 また、昨季出場機会が、限られていた28疋田 優人の愛媛FCへの期限付き移籍も合わせて発表された。奇しくも21シーズンに劇的なミドルシュートでの得点を決めた愛媛FCへの期限付き移籍であった。以前の岡山は、有望な選手も出場機会が無い中でも岡山で経験を積ませることが多かったが、近年は、他クラブに出場機会を求めて、期限付き移籍するケースが増えてきたように思う。選手を大事にするフロントとサポーターの方針もあるが、やはり選手にも愛されていることを感じる一つの証ともいえる。

 本日は、4-4-2編を考察する。お気づきかと思いますが、ファジアーノ岡山が、22シーズンに採用した順に進めている。23シーズンの陣容が少しずつ変化する中で、私の考察も少しずつ変化している。クロニクルと、同時作成しているため、少し遅くなったが、Part8もよろしくお願いいたします。

22/12/09(金)情報まで。
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1、フォーメーション分析

フォーメーション分析
1、4-1-2-3:適性(6位)伸び代(2位)
2、4-2-3-1:適性(5位)伸び代(5位)
3、4-4-2:適性(3位)伸び代(4位)
4、3-1-4-2:適性(1位)伸び代(3位)
5、3-4-2-1:適性(4位)伸び代(6位)
6、3-3-1-3:適性(2位)伸び代(1位)

 22シーズンのファジアーノ岡山における4-4-2というフォーメーションは、実は、試合途中から採用していることが多かった。記録やデータサイトを見ただけでは、違うフォーメーションだが、実は比較的に多くの試合の勝利の方程式と採用された形である。

適性(3位)

 22シーズンの岡山は、強力なストライカーである7チアゴ・アウベスと、15ミッチェル・デュークというタイプの違う2選手がいた。シーズンを通して、この2選手をどう起用していくのかというのは、1つのテーマではあったが、やはりこの2選手の2トップにする形が一番破壊力があった。Part6と7で考察した4-1-2-3と4-2-3-1でも共存が難しく、適性だけを考えると、こちらの形の方がしっくりくる。また、SBとSHの関係も良好で、ダブルボランチの形も非常に安定していて、バランスに優れる。

伸び代(4位)

 安定感が高く、バランスが良いだけに伸びしろは、そこまで高いとは言えないものの採用し続けることで、着実にチーム強化でき、様々な選手の良さが光る形である。これで勝てれば、シンプルに強いが、近年のJ2で勝ち続けるには、やや守備が弱い部分もある。バランスが取れている分、個性も出しづらく、木山マジックと言われる名采配を魅せた木山 隆之 監督にとってもやや物足りない形に感じるかもしれない。

2、22シーズンの挑戦

 バランスがとれた形ではあるが、実は序盤から中盤戦にかけての決戦システムである。何故、この形が決戦システムなのか。採用理由から入っていく。

採用理由

 序盤戦は、引き分けが多くなり、4-1-2-3の良さを出せないだけではなく、7チアゴ・アウベスと15ミッチェル・デュークの共存が、4-1-2-3でも厳しくなった。そこで採用したのが、4-2-3-1だが、両ストライカーの共存の答えは、このシステムにあった。運動量に問題のあった7チアゴ・アウベスだが、試合途中から、もしくは、試合頭から2トップで試合に入る中で、時間限定での2トップで、猛攻を仕掛けて、決勝点決めてしまおう。逃げ切りをしてしまおう。そういった狙いをもったシステムである。

 4-4-2の攻守のバランスの良さというよりは、チームの攻撃の最高値を時間限定でぶつけるのが、このシステムの狙いである。筆者は、チアゴタイムというファジ造語で、この時間を表現した。それだけ、7チアゴ・アウベスと15ミッチェル・デューク の2トップの爆発力は、すさまじかったのだ。

断念理由

 やはり、4-2-3-1と同じ理由で、木山 隆之監督の思い描くダブルボランチ像と既存選手のプレースタイルがマッチしなかったことにある。有馬ファジの時は、ある程度、バランスを重視して、攻撃を吸収してカウンタ―を狙って行く形も採用していたが、木山ファジは、どちらかと言えば、自分達から前に出て、ボールを奪う、攻撃参加する。この2つのポイントを強くしたサッカーをしたいというのが、強く伝わって来た。

 そのために攻撃的なSBと攻撃的なボランチが必要であり、このタイプの3選手に負荷がかかってしまった。この3選手とは、左右SBの41徳元 悠平と16河野 諒祐、ボランチの27河井 陽介である。チームとして機能はしていたが、41徳元 悠平と27河井 陽介は、怪我で離脱することとなってしまった。しばらくは、左右のSBができる24成瀬 竣平を補強して、既存戦力で戦っていたが、上位6チーム内の維持や1位と2位に組み込むためには、やはり、この形での木山ファジの戦い方で、この編成では厳しかった。

3、補強経過とポイント

全体の補強ポイント
GK:絶対的守護神の確保(堀田が期限付き→完全移籍)。
DF(CB):後で備えるタイプのCB(鈴木を獲得)。
DF(SB):方向性に沿ったタイプのSB(高木を獲得報道)。
MF(DH):得点に絡めるタイプのDH。
MF(SH):FWよりの武器を持ったSH。
MF(OH):正確無比のプレーができるOH。
FW:(WG):1対1で勝負できるドリブラー。
FW:(CF):足の速いストライカー。

4-4-2図式整理

4-4-2の2022選手分布と2023補強ポイント

ポジション別の補強ポイント

補強ポイント(GK)

 絶対的な守護神である35堀田 大暉(だいき)を期限付き移籍から完全移籍に移行し、チーム内競争を促せる若手の有望株である山田大樹(たいき)、精神的支柱である13金山 隼樹(じゅんき)と契約更新し、将来の正守護神候補の31谷口 璃成と契約更新して、4人体制の盤石のGK陣を揃えることができた。

補強ポイント(DF)

 16河野 諒祐と契約更新したものの4バック採用する上では、まだまだSBの人数が足りない。左SBの高木 友也の獲得報道があるものの公式リリースはまだである。26本山 遥と34輪笠 祐士がSBもできるので、そこに転換することで、今後の補強次第では、十分4バックの可能性もある。ただ、3バックで腹を括るのであれば、本職がSBの選手は少なくなる可能性もある。オプションに留めるのであれば、中盤や前線の選手層を厚くするのも考えらえれる選択肢の1つだ。

 CBは、23ヨルディ・バイスと4濱田 水輝と更新。2選手ともリーダーリップのある選手で、新加入のCBである鈴木 喜丈もMF登録ではあるもののCBと公言したので、足下に優れるタイプであることは間違いない。5柳 育崇との契約更新や3阿部 海人との契約の行方には、注目だが、期限付き移籍中のの杉山 耕二をどうするのかというのもまた気になる所ではある。

 配置転換や可変式を含めて、まだ4バックは3バックかはまだ見えてこないが、現象どちらでもそれなりにやれそうな手堅いストーブリーグの進行で、来季への期待感は、大きく膨らんでいる。

補強ポイント(MF)

 現状の更新は、34輪笠 祐士のみではあり、主軸の更新をまずは、念頭に考えて行きたい。また、そこに加えて、ダブルボランチを採用するためには、得点により絡める攻撃的なボランチの獲得は、必須といえる。22佐野 航大という声もでているが、正直GKとCB以外であれば、どこでもこなせる攻撃のセンスを持っているので、今後の動向次第となるだろう。

 何れにせよ、もう少し動きを見た上で、どういったタイプの選手を獲得して、中盤のクオリティを高めて行くのか。また、どういったフォーメーションを軸に戦って行くのか。メンバーをは変わっても前から行くスタイルに対して、木山監督の意向をより汲んだ編成で、どれだけチーム力を押し上げることができるのか。今季も4-4-2を採用することがあるのであれば、中盤のバランスの良い編成ができるかどうかは、キーとなるだろう。

補強ポイント(FW)

 強力2トップを慰留する事ができるか。活躍具合から多くの好条件のオファーが転がり込んでいることが予想される。資金力では、J1のクラブやJ2のビッククラブに対抗するのは、難しいが、最後まで可能性を信じて待ちたい。

 昨シーズンに上積みするためには、足の速いストライカーの獲得ができると大きい。2トップであれば、特に有効で、ポストプレーや競り勝った際の背後やロングパス1本でという展開も可能となる。得点面だけではなく、雉プレスの破壊力もより上がるので、各クラブ欲しいタイプではあるものの可能であれば、獲得を目指して欲しい。

4、総括

 少しずつではあるが、チームの骨格が見えつつある。私の中で、最もスタンダードな基本形は4-4-2であると考えている。それだけにサッカーの強さの指標の総合力がそのまま強さに繋がるシステムであると思っている。

 しかし、近年では、Jリーグ全体のレベルも上がっており、昨季は、J2のヴァンフォーレ甲府が、天皇杯のタイトルを手にした。ワールドカップでは、優勝した経験のあるドイツとスペインに勝利し、首位通過でベスト16を達成した。

 そう考えると、4-4-2で安定的に勝っていくのは、なかなか難しい。そこで、J2全体の戦術レベルは極めて高くなり、個に頼り切らない組織的なサッカーを展開して、内容に富んだサッカーが展開されるようになった。

 その結果、4-4-2を採用するチームが減っただけではなく、同じシステムでも全く別のサッカーを展開するチームが増えている。その状況下で、4-4-2をベースにどこまで戦えるのか。

 岡山でも王道か独自路線か、一つの形としてはありだが、慎重にシステムを決める必要はあるだろう。

 それでもサッカーは、選手をベースにチームを作って行く必要がある。ここまで手堅くチーム編成が進められている事を考えても、木山 隆之 監督の頭の中には、ある程度23シーズンを戦うビジョンができている筈である。

 もし、4-4-2を採用するのであれば、左右のSBの拡充、得点に絡めるボランチ、1ランク押し上げられる2列目、足の速いストライカーなどの選手を補強していく必要がある。

補強優先度

左右のSB>得点に絡めるボランチ>足の速いストライカー>>>>1ランク押し上げられる2列目

 最後まで読んで下さい有難うございました。Part9では、いよいよ3バックで、メインシステムである3-1-4-2編を予定しています。次回もよろしくお願いいたします。

文章・図=杉野 雅昭
text・figure=Masaaki Sugino

4-1-2-3編は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n8b7ee800fa78

4-2-3-1編は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nb91f911826b4

3-1-4-2編は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nff4820a85cce

全体の詳細な補強ポイントは、Part5を確認下さい。

Part5は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nba18b52c99ad#cb6ba3bb-3af4-4b1c-ac71-46ff38eba154

ファジ造語

木山マジック
 あらゆる選択肢と可能性にセオリーや絶対はない。挑戦から修正、そして正解に近づいて行く中で、サッカーの完成度、総合力を高めていく。チームとしての戦術の幅は広がり、対応できないサッカーにより近づく。徹底した個人戦術と、組織的に戦術を兼備。予測不可かつ大胆な起用や策は、実は最適格。正攻法もしっかり採用し、その本質を見抜く慧眼と決断する豪胆さを持った勝負師でありながらリアリスト。その一手で、勝利を手繰り寄せる。

チアゴ・タイム
 7チアゴ・アウベスのプレーの一つ一つにサッカーを楽しむという遊び心があり、そこに技術が伴った左足の凄さを称えて「悪魔の左足」と、呼ばれている。その左足を活かして、何処からでも何時でも狙っていて、7チアゴ・アウベスが出場している時間帯は、岡山の大きな得点源と言える。

雉プレス(ファジアーノプレス)
 90分間のフルタイムの間、岡山式のハイプレスを続けること。2トップ、2列目、アンカーの7選手が積極的に、前からプレスをかけて、相手の組み立てを大きく牽制し、ボールを奪えれば、強力な2トップと2列目の選手が襲いかかる。そのプレス網を抜けても最終ラインの選手が、前に出て対応し、プレスバックで、自由を与えない攻守一体の岡山式プレス。

筆者紹介

杉野 雅昭
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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