2024 ファジアーノ岡山 にフォーカス6『 ≫≫赤き結束の絆~一歩~≪≪ 』J2 第2節(A)vs いわきFC



1、引き分けの捉え方~運命の神風~


 この試合を語る上で、風上かどうかへの言及は避けては通れない。勝てなかった原因は、ストレートに言ってしまえば、決定機を3度も外してしまった19岩渕 弘人 選手と、後半に対応を誤った18田上 大地 選手の“ドグソ(得点になる可能性が高いプレーを防いだファールはペナルティが重くなるイメージ)”で退場。そして、最後のプレーで、妥当なプレーでもファールを吹かれそうな対応をしてしまった88柳 貴博 選手の守備の対応の3選手の責任は重いという見方もできる。

 しかしながら、サッカーは、チームスポーツで、個人の責任だけではなく、チームとして何に問題があったのかという視点を持つことで、また結論もまた変わって来る。実際に、19岩渕 弘人 選手は、ほぼアシストに近いCKで蹴り、先制点を演出。18田上 大地 選手もラッキーな形ではあるが、先制ゴールを決めている。そして、88柳 貴博 選手も90分間でみれば、攻守での活躍は、脅威的なものであった。

 この試合の風上か風下かの影響による前後半の違いと同じぐらい明暗がくっきりしてしまった極端なゲームとなってしまった。上記であげた三名は、きつく言えば、勝ち点2を失う原因を作った選手。良くとらえれば、勝ち点1に繋げたこの試合の主役ともいえる選手でもある。

 そして、今回のアンケートでも上記の3名の2名をMIPに挙げたいぐらいの活躍であったが、ここまでの説明の視点がある以上、こういったノミネート選手になってしまった事が、ファジアーノ岡山ファミリーにとって、負けに等しい引き分けというかショッキング失点での幕切れのゲームとなってしまったより印象付けてしまう部分はあるだろう。

 いつもであれば、アンケートを最後に紹介していくところではあるが、今回は、最初に紹介しておこうと思う。上記以外の選択肢になっている通り、上記の3選手を推す越えや、左WBの17末吉 塁 選手や24藤田 息吹 選手を推す声があっても不思議ではないが、非常にその辺りが、非常に難しい試合になったかなと思います。

 今回のレビューでは、スギさん的に、どう捉えたのか。率直に悔しいですが、非常に前向きに考えています。ファジの勝利に命をかけて応援しているから、昇格できなくて、悔しくて眠れないぐらい、直情的な情熱的な熱さではなく、私のスタンス的には、チームとしてのプレーの凄さや成長している姿、前進していと感じるからこそ、長期的視点で、信頼は揺るがないという包み込むような熱さが、私の熱さであり、チームの消滅とかでない限り、私のファジアーノ岡山への愛や情熱は、冷めることはないだろう。

 だからこそ、私は、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦相手へのリスペクトを欠かさず、サッカーの本質とか魅力とか、未熟なりに私の言葉で、発信することで、共有して、サッカーを愛する人達との輪を広げていきたい。

 そして、監督も選手もスタッフさんもサポーターさんもみんな同じ人間である。失敗もあれば、成功もある。この試合の風上と風下の違いぐらい、そこに落差があっても特別なことではないでしょう。

 私は、ファジアーノ岡山ファミリーの1人として、微力ではありますが、このレビューを読み終えた時に、この試合前と同じぐらい、そして、前半に先制した時と同じぐらい、チームの凄さに感動して、チームを前向きに後押しできるような熱いレビューを目指して、同時に、冷静に”忖度のない“現実的視点でも試合を振り返りたいと思い、今回のレビューを書き上げました。

 前置きが長くなってしまいましたが、よろしくお願いします。

基本情報図:2024 J2 第2節(A)いわきFC vs ファジアーノ岡山

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2、予兆と伏線~連関~


 この試合の入りは、実は、非常に印象の悪いスタートであった。後に蹴って、前に蹴りだそうというキックが、いわきFCのハイプレスにいきなり引っ掛かってしまったのだ。少なくともこのハイプレスのスピードは、昨年のホーム千葉戦ぐらいの圧力があるのではないかという不安と、18田上 大地 選手のキックだった事で、一抹の不安を覚えた。

 開幕戦を見た時に、長短のパスを交えて、プレスをしっかり回避できるはずだという認識を改めるぐらいのインパクトのあるプレーに、私には感じられた。少なくとも18田上 大地 選手としても、当然いわきの選手に当たると思っていれば、違う選択肢を選んでいたはずなので、スタートとはいえ、”想定以上“のハイプレスであったことが分かる。

 幸いにも失点に繋がらないプレーであったことで、巧くチームとしても消化できて、次のプレーへと切り替えもできたはずである。ただ、こういった想定を越えるいわきFCのスプリント力やスピードというのは、岡山を苦しめ続けた。

 19岩渕 弘人 選手の決定機逸機にしても想定を越えるGK21立川 虎太朗 選手の抜群の反応でのセーブや高速の帰陣によるシュートブロックに合って防がれた。3度目のゴール前でのシーンは、力んでGKの正面に飛んでしまった。この3度目も前の2プレーを決めていれば、もう少し2本目に防がれたシーンのように落ち着いて、コースを狙って蹴れたかもしれない。

 このようにサッカーというスポーツは、1つ1つのプレーの積み重ねが、全てリンクしている。前半に終了間際のセットプレーで、18田上 大地 選手のプレーで先制できたが、結果的に、1点しか獲れなかったことで、岡山としては、18田上 大地 選手自身も天国から地獄に落ちるような急転直下の反転があるとは、誰も夢にも思わなかった。

 同時に長くサッカーを観てきている方からすれば、風上と風下の影響を知っているだけに、キックオフ前から気にしていている人もいたかもしれないし、1点しか獲れなかったこと気にしていた方もいるかもしれない。

 私自身は、前者で、いわき相手に風は嫌だなと思いつつ、99ルカオ 選手のフィジカルを活かして、余裕ができたら25吉尾 虹樹 選手のデビュー戦になるかもと想像しながら、不安と期待の入り混じるハーフタイムの時を過ごして、後半の始まりとの時を待った。


3、その時スコアは動いた~繰返~


 ミラーゲームの中で、続いた両チームの攻防。風上であった前半に、もっと攻勢に出たかった岡山であったが、カウンターを受けていた事で、守備の時間が長くなった事で、攻撃の時間。ここで言うとゴール前でシュートを狙う時間は思った程作れてなかった中でも、DF陣の体を張った守備が光っていた。

 なかでも43鈴木 喜丈 選手の体を投げ出して、体を張る守備というのは、チームを助けていた。前後半を通じて、これだけ攻撃に転じることができなかったのは、いわきFCでの攻守の圧力が、岡山に刺さり続けていた事を意味している。

 ただ、それでも予測とプレー強度を合わさった集中した守備で防いでいたが、一瞬の隙というのはまさしくこういったシーン。43鈴木 喜丈 選手のクリアが中に飛んでしまったところで、18田上 大地 選手がクリアしようとするが、難しいバウンドのため、それが出来なかった。そのため、いわきFCの15加瀬 直輝 選手の前で頭でコントロールされて一方前に出られてしまう。

 あまりの危険なシーン(決定機)のために、18田上 大地 選手は溜まらず、手でユニフォームを掴んで引っ張てしまった。その結果、15加瀬 直輝 選手を倒してしまう。これは、当然ドグソ(得点に繋がる可能性の高い決定機を防いだファールにはレッドカードなどの重たい判定がでる)に当て嵌まるので、18田上 大地 選手は、退場となる。

 DF選手として、前を向かれそうとなった時には、本能的に前に出ようとするのを防ごうとしてしまう事が多い。2023シーズンの第24節の藤枝戦で、チアゴ・アウベス 選手が、倒されて負傷退場したシーンがそういったシーンの1つである。

 開幕戦は、巧く連携できていたようで、やはり新加入の選手が多いチーム。こういった細かい部分で、声出しができるかどうか。また手を伸ばすのを我慢して、49スベンド・ブローダーセン 選手やフォローに来ていた4阿部 海大 選手に託すという選択もあったはずだ。

 しかしながら、前半の風上で得たのは1点のみ。ここで同点に追いつかれてしまうという事が、18田上 大地 選手の心を恐怖や不安が、一時的に支配してしまった。もし、19岩渕 弘人 選手が、1点でも決めていれば、同じプレーを選択肢しただろうか。1つのチャンスを逃す事で、1つのピンチでのプレー選択への影響も出る。

 43鈴木 喜丈 選手の中へのクリアにしても前半でも再三体を張って防いでいた。それが、中への危険なクリアになってしまったことで、こういった結果に繋がってしまった。岡山としては、サッカーの怖さ。いわきFCからすれば、希望が生まれるプレーとなった。これが、サッカーなんだと強く感じた。

 ただ、この試合には、5柳 育崇 選手が、控えている。18田上 大地 選手が、退場してまで守った1点。チームとしてもここは、絶対死守しないといけない。5柳 育崇 選手が、チームを再度引き締める。

 ここで、もちろん4バックにして、戦うという選択肢もあったが、チームとしての守りの形を継続する道を選んでの選択。当然、風下も影響して、攻撃の人数が足りなくなる。そのため、ずっといわきFCの攻撃が続く展開となる。

 岡山もプレー強度を高めるために、15本山 遥 選手と10田中 雄大 選手を投入した。9グレイソン 選手を残したのは、状況によっては、追加点という希望的予測もあったが、しばらく試合が経緯して無理と判断して、99ルカオ 選手と42高橋 諒 選手を投入する。

 これは、追加点を奪うというよりは、サイドの深い位置に運んでラインの押し上げと時間稼ぎがメインの狙いである。当然、チャンスがあれば、得点を狙う意図はあったと思うが、あったらラッキーぐらいという感じがチームのプレーの選択からも感じられる。

 また、この試合は、珍しく攻守の対応の主導権を握れていなかった17末吉 塁 選手が、イエローカードが貰っている事もあり、2人目の退場を避けたいという意図もあり、42高橋 諒 選手の選択となったと思うが、時間を稼ぐという点は、非常に的確な状況判断のプレーが光った。

 5柳 育崇 選手が、ロングパスに対して、空中戦に競りに行って、4阿部 海大 選手と43鈴木 喜丈 選手が、カバーして、15本山 遥 選手と24藤田 息吹 選手で、セカンドボールを回収することで、どんどんサイド攻撃とロングパスの連続で、攻勢を仕掛けるいわきFCの猛攻を防ぎ続ける岡山。

 49スベンド・ブローダーセン 選手が、実際にセーブするシーンはなく、 チームとしては、守れていた。退場直後の選手交代や戦い方を含めて、完璧なリカバリーで、勝利まであと一歩という所だった。ここを防いで、クリアすればという場面でのスペースへのロングパスにいわきFCの6坂岸 寛太 選手が、神トラップで収める。

 ここで、88柳 貴博 選手が、体を当ててから自由を奪い行く守備の仕方を選択。当然いわきFCの6坂岸 寛太 選手が、倒れてしまえば、ファールでFKを与えてしまうリスクもある。当然、1対1で待つ対応を選択すれば、1対1からクロスを許してしまったり、パス交換でより危険な位置への進入を許してしまう可能性もある。

 18田上 大地 選手にしても88柳 貴博 選手にしても、ここで自分が突破を許してしまえば、チームとしての失点のリスクが高くなってしまう。そういった責任感が、リスクな選択を選ぶ事となってしまった。もし、このFKで、岡山が守れて、試合に勝つことができれば、18田上 大地 選手も救われた部分もあったかもしれないが、昇格を目指すチーム、頂を目指すチーム岡山にとって、勝ち点2が目の前で失ってしまった。いわきFCに執念に捥ぎ取られた勝ち点2のダメージはかなり大きい。

 それにしてもスタメンの選手だけではなく、リザーブ選手の迷いのなく、やり切るプレー、全力プレーは、90分間ずっと凄かった。風下でのいわきFCの粘りが、後半の同点ゴールに繋がったとすれば、いわきFCにとっては、勝ちたかった部分はあったとしても気持ちの上で、勝ったような気持ちになれる会心の引き分け。逆に岡山にとっては、負けたような悪夢の引き分けと言えるだろう。

 そして、このFK。右サイド言えば、2023シーズンの東京V戦で7チアゴ・アウベス 選手が退場した時も同じ右サイドで与えたFKから失点しまった。そう考えれば、ここで、ファールをする意味、危険性を当時経験していれば、88柳 貴博 選手も慎重な対応をしたかもしれない。

 しかしながら、試合後の88柳 貴博 選手の表情を観ても自身のプレーを悔やんでいることは間違いないのではないかというぐらい暗かった。東京V戦と違い。この試合では、しっかり勝ち点1を持ち帰った。負けていない。そういった前向きな姿勢で、自身のプレーの1つ1つのプレーを責めずに、選手の健闘を称え、萎縮しないように、上手く受け入れることができるかが、重要であり、少し心配である。

 過度な責任や重圧は、選手の萎縮に繋がる。23シーズンも櫻川 ソロモン 選手が、もし開幕の時のように自信を持ってシーズンを戦うことができていれば、また違った未来が23シーズンにあったかもしれない。岡山のサポーターの1人として、レビュアーとして、私ができる事は、ファジアーノ岡山ファミリーの誰の責任でもないということを言葉にすることだけだ。

 チームとして、いわきFCのアウェイで、勝ち点3掴むことは力不足だったかもしれないが、勝ち点1を1人少なくてもATを含めて、30分近く守れる力と結束が、岡山にあった。1人のサポーターとして、そこは誇りに思うし、岡山はもっと強くなれる。ここから気持ちを切り替えて、きっと前を向いてくれるはずだ。


4、奇跡のスタンダード~いわきFC~


 長らくJ2を戦って来たファジアーノ岡山のサポーターの1人として、多くのクラブを観てきた。そして、年々レベルが上がるJ2リーグ。その中で、J1昇格未経験のクラブが、J1に上がる道もまた険しくなっている。それは、岡山の選手がこれだけ強くなって勝てない事もそうであるし、圧倒的な優勝候補と言われるクラブでも苦しんでいる姿を観てきている岡山のサポーターだからこそ強く感じる。

 そんな中で、選手編成の予算を考えたクラブ規模の中で、奇跡を起こせる可能性を秘めているクラブがあるとすれば、いわきFCかもしれない。今季の新加入選手の内の期限付き移籍選手の潜在能力を考えても、岡山を悪夢に陥れたスピードで経験豊富な18田上 大地 選手からレッドカードを引き出した15加瀬 直輝 選手。

 そして、最後の劇的同点ゴールに繋がる神トラップでマイボールを維持して、言葉通り、望みを繋いだ「望みトラップ」した6坂岸 寛太 選手。対応したのは、実力はJ1級のの88柳 貴博 選手だ。18田上 大地 選手も88柳 貴博 選手の二人ともJ1で戦える実力のある選手だ。その二人を持ってしても、こうしたプレーを選択してしまう。

 そういった状況を作り出せるプレーを可能としたのは、巧さだけではない。18田上 大地 選手より前に出れるスピードと強さを持った15加瀬 直輝 選手。トラップできるテクニックを活かすためにもそのボールに追いつかなければならない。あそこで追いつけて、その無理な態勢でもしっかり収める態勢を作る体幹の強さも求められる。

 この2つのプレーは、一見すると、岡山の選手のは判断が悪かったと言われればそれまでだが、2人の経験則を越えるプレーだからこそ、判断を迷わせ、劇的な同点ゴールというクライマックスへとリンクしたのだ。

 このレビューで繰り返してきたが、1つ1つのプレーは、全て繋がっている。1つのプレーだけで、局面やスコアを動かすことは難しいかもしれないが、積み重ねる事で、実を結ぶことがある。それを目の前で、見せつけられてしまった。

 よくよく考えると、いわきFCのクラブの歴史は、まだまだ浅い。流石にクラブの母体として大きくなることは難しいかもしれないが、下部組織を含めて、クラブとしての可能性が広がる事で、いわきFCというクラブの経済規模を遥に上回るクラブから勝ち点を奪って、強くなっていく可能性が一番あるのではないかと感じる。

 J2で、戦う上で、1つのスタイルを極める中で、選手を集めたり、意思統一できるものがあってもいわきFCには、サッカーに適した、1人の1人の選手に適したフィジカル理論がある。もし、これが、1つの形として完成形と近づいた時に、奇跡をJ1昇格を起こせる可能性を秘めているかもしれない。

 今日の試合で、岡山の勝ち点3を阻止した2つのビックプレーは、何気ないプレーに見えるが、J2の中でJ1を目指すという暗闇の中で、見つけた1筋の光のように。大袈裟かもしれないが感じた。

 昨年の町田のように、戦力を整えれば、昇格できると感じた一方で、いわきFCのように、1つをチームとしてではなく、クラブとして極める事で、強くなる。

「フィジカルは嘘をつかない」というクラブ強化方針の下で、更なる高みを目指す。

 奇跡のスタンダードの1つがいわきFCにはある。

いわきFCアカデミーシステムPDF

https://iwakifc.com/wp-content/themes/iwakifc-wp/assets/pdf/190519_iwakiFC-Academy-system.pdf


5、現実と前進~ファジアーノ岡山~


 岡山にとって、ダメージの大きい引き分けとなった。勝ち点2を失った結果というよりは、あの時の想いをもう2度しない。そういった覚悟の持った編成であることは、今季のストーブリーグから感じる所であった。

 最終ラインの守備強度であったり、サイドでの主導権を握る部分。ハイプレスに対してもロングパスでの抜け道を作る上での前線の起点。前から抑えに行って、事故的な失点を防ぎ、勝ち切れるチームとなる。そういったクラブの覚悟というのは、言葉以上に事実の方が雄弁である。

 ただ、その覚悟のチームを持ってしても後発クラブでありながら、岡山は県とスポーツともに、総合的に大きく成長していくビジョンのクラブだが、いわきFCは、いわきFCとして、人で成長していくというビジョンを持ったクラブに、岡山は、この内容をアウェイの試合であったとしてもいわきFCに許してしまった。

 ラスト1プレーという所で、同点ゴールという結果を突き付けられたファジアーノ岡山であったが、開幕2連勝するためには、足りない部分もあった。その部分について、主張や提言ではなく、気になったポイントを何点かあげたい。あくまで、客観的な視点を持ちつつも主観であることも前置きしておきたいが、チームとしても分析して行く中で、そう感じた部分もあるかもしれないので、そこをスタメンからメンバー選考を含めて、どう判断するか。私としては、批判とか正解ではなく、どこを”重視“するかという視点であることを、繰り返すことで強調しておきたい。


・中盤の守備強度


 まずは、ボランチの守備強度の部分である。24藤田 息吹 選手に関しては、この試合で先に予測してプレーに関与したり、数的有利の状況を作り出すという意味でフォローするプレーでの貢献度は高かった。

 一方で、サイドのスペースやDFとの1対1を回避するための防波堤としてどこまで機能していたかと言わると、フィジカルを重視するいわきFCの前に後手を踏むことがどうしても多くなっていたように感じた。

 この試合のように、14田部井 涼 選手と組んで、主導権を握りに行く事も1つの選択だと思うが、そこで止めるという選択肢をスタートから持つかどうか。15本山 遥 選手が、リザーブに控えていることからも、前半は主導権を握って、先制点を奪って、最後は、そこのとこの強度を上げて勝ち切るという有力なゲームプランとなっているように感じる。

 ただ、対戦相手に応じては、中盤で強く守れる20井川 空 選手の起用を本気で考えて行くのか。それとも有力な選択肢として持つのか。6輪笠 祐士 選手の復帰で、攻守両面のバランスは良くなりそうだが、この辺りチームとして、どこまで被守備機会を受け入れる事を良しとするのか。そこに変化があるかは、非常に気になる所ではあります。この点は、ここまでも触れてきているので、継続して注視していきたい。


・千葉のようなプレス対策


 ここまでも少し触れましたが、本当に千葉のハイプレスをしっかり跳ね返せるのか。ここは、選手変更で変化を加える事が難しいので、DFラインとして練習から、どうリスク管理するのか。現状は、9グレイソン 選手という前線の起点というかもはや”戦術”と言えるかもしれない回避策があるものの、部分的にプレスというか推進力のあるチームと対峙するとここまで、シュートを打たれてしまう。

 そういった事が分かった試合でもあるのではないかと思う。岡山は、後半ほぼ形を作れなかったが、風下の前半でもいわきFCは、しっかりシュートまで行けていた。この試合で、49スベンド・ブローダーセン 選手がセーブするという守備機会がないほど、失点したシーン以外では、非常に集中した守備がこそできていたが、風上のチームらしく、相手の攻撃を抑えるという事が、前半できなかった点をどう判断するかも気になる所である。

 第2節で、この部分に対する課題というか、1つのテーマが早くも出てきたので、23シーズンのあの東京V戦以降の手を使うのを億劫になるプレーのように、プレーの選択が萎縮しないように強制力や強迫性がある意味合いではなく、改善や変更、改良、工夫といったできることをやる。やり切る。そういったレベルで、チームとして準備していかないと、山形や清水、甲府といった前からの圧力のあるチームの圧力に屈するという事は、十分考えられる。

 ここで、18田上 大地 選手が退場して、引き分けになってしまったという事実こそ重いが、「今年も」とか「やっぱり」とか、過剰に後を向く必要はないですし、いわきFCにある程度、やりたいサッカーを展開されてしまったとしても49スベンド・ブローダーセン選手が、セーブできる可能性のあるシュートは、DFで防げていた。

 ここをファジアーノ岡山としての拠り所に、より強くより堅くより前により速くより高くより巧いファジアーノ岡山をホームで再び見せてくれると信じて、まずは、ルヴァンカップの結果を見守り、ホーム山口戦を迎えて欲しいと心より願うばかりである。

 今日は、悪い所が、どうしても目立ってしまう結果となってしまったが、いわきFCというクラブが、どういったチームかクラブか考えた時に、岡山の課題としていた部分が、生じやすい相手であった部分も大きく、ラスト1プレーで、勝利という所まで後一歩だと前向きに消化したい。受け入れていきたいゲームであると感じる。

 幸いな事に木山 隆之 監督もまだ2節という事もあるし、思いのほか冷静に結果を受け止めることができていたし、どちらかと言えば、選手の方が一番心配であるし、我々サポーターもダメージが大きいかもしれない。

 1人のレビュアーとして、微力ではあるが、現実に厳しく言及した中でも前向きに、ポジティブにという心という名の魂を言霊として、文字に籠めて作成した。

 少しでも皆さんの心が、前を向ける処方箋になっていれば、書き手としては嬉しい。今季は、クラブもスタッフもチームもサポーターも総力を上げて、昇格を目指している。長いシーズンを戦う中で、ダメージを負う試合があるかもしれない。でも1人1人のできる事をやり遂げて、勝利という結果を掴んで、みんで昇格したい。

 1人1人ではできない事でも、1人でも多く集まる事でできる事は増えるかもしれない。それは、全て同じことである。18田上 大地 選手の退場をピッチの選手とベンチの選手、サポーターで、フォローして勝ち点3に後少しの所まで戦えた。下を向かず、数だけじゃない。強さだけじゃない。ファジアーノ岡山にはファジアーノ岡山の良さがある。

 私に言われるまでもない心強い方もいると思いますが、少なかれず、ショックを受けた方もいるかもしれない。だからこそ私は、下を向かず、前を向こう。結果に誇りを持って欲しいと強く語りかけたり。

 また、スタジアムで、一緒にココロヒトツニ戦いましょう。

 ここまで読んで下さい有難うございました。

 最後にファジアーノ岡山公式HPより副キャプテン「14田部井 涼 選手」のコメントを引用して終えたい。

『 14田部井 涼選手 』
前半は行ったり来たりする展開が多かった中で1点取れたのは良かった。
ただ、後半はチームとして押し込まれる時間が多く、チーム全体として変えていかなければならない部分なので、まずはその課題にしっかり向き合うことと、最後の失点は守れた部分なので、しっかり映像を確認して、また次に生かしたい。
風の影響はもちろんあるが、自分たちのサッカーを表現できるような積み重ねがあればできたし、まだまだ足りないと自分自身で感じたので、そこは個人としてもチームとしても改善していきたい。
今日の試合は1人少なくなり難しい状況だったが、それでも勝ちたかった。ただ、引き分けたからこそ、今見えてる課題にチーム全体が鋭くなることで、シーズンを通して負けずに勝ち続けられるチームが作れると思う。
チームとして今年昇格という目標を見据えているので、そこに対して自分ができることをピッチ内外でしっかりやっていくことが、大事だと思っている。

ファジアーノ岡山公式HP
J2第2節 いわきFC戦 監督・選手コメント
より一部引用
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202403031700/

文章・図=杉野 雅昭
text・figure=Masaaki Sugino

データでフォーカスの記事もよろしくお願いします。


筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知なので、軽く目にすることこそあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで、サポーターとの交流や魅力を語り合うことが好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。


6、アディショナルタイム(ファジ造語24)


『 ≫≫力を出し切る三原則≪≪ 』
「決め切る・勝ち切る・逃げ切る」という課題と語ったGMの服部 健二 氏の言葉から想起した「力を出し切る三原則」という2024シーズン第一弾のファジ造語とさせていただいた。来季を観て行く上で、勝利するために、チームがどう強くなったのか、是非、結果から「力を出し切る三原則」をクリアできているか注目したいですね。

『 ≫≫虹色の右足≪≪ 』
24シーズンがルーキーイヤーとなる24番吉尾 虹樹 選手の右足から放たれるパスやクロス、シュート、プレースキックの全てが、高精度であることをより魅力的に伝えるファジ造語。24吉尾選手の名前の「虹樹」の「虹」があり、「虹色の右足」に相応しい選手であると思います。プロとして経験を積む中で、「虹色の右足」は、大樹のようにチームを支えることができる可能性を秘めていることも間違いないでしょう。

『 ≫≫木山マジック≪≪ 』
固定概念を作らない木山 隆之 監督の自由で大胆な決断により、チームを勝利に導くことができる試合采配や選手起用を指すファジ造語。誰にも思いつかない自由な発想と大体な一手で勝利を手繰り寄せてきた将棋で一時代を築いた羽生 善治先生の一手が「羽生マジック」と呼ばれていたが、そこに由来して、「木山マジック」と命名した。22シーズンは、サポーター間でも浸透した。24シーズンでも聞きたいワードですよね。

『 ≫≫剛よく剛を制す≪≪ 』
「サッカーにおいても剛強なものが、剛強な力によって、無慈悲にも剛強なものを押さえつけてしまうという弱肉強食の世界である」という意味の造語」本来は「柔よく剛を制す=柔軟性のあるものが、そのしなやかさによって、かえって剛強なものを押さえつけることができる」という意味の造語だが、99ルカオ選手のフィジカルが、あまりに凄すぎるので、諺(ことわざ)を弄ることでその強さを表現したファジ造語。

『 ≫≫木山曲線≪≪ 』
将棋の藤井八冠が、AI評価値で、一度リードしたらそのまま最後まで右肩上がりで完勝してしまう強さを表現して「藤井曲線」と言われていました。まさしく、開幕戦の木山ファジの勝ち方のようで、そこを可能にした選手起用やチーム作り、ゲームプランから木山マジックの進化系であり、90分間でほぼ圧倒して勝った時の勝利を表現するファジ造語。

『 ≫≫三本の矢24ve≪≪ 』
以前、ファジ造語として紹介していたが、24シーズンでの三本の矢は、11人で繰り出される隙が無い攻撃(途切れずらい攻撃)の事を指す。木山ファジの特色である選手の個性を引き出すサッカーの下で、3Dアタック×3=「縦×横×高さ」×「速さ・強さ・巧さ」×「パス×ドリブル×シュート」が、その方程式の下で、異次元の破壊力を生み出させる攻撃。まさしく、三本の矢に相応しい攻撃を表現したファジ造語。


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