2021ファジアーノ岡山にフォーカス49 「シーズン総括(DF編)」

 表記上は有料ですが、全文無料公開。もしよければ、スキやフォロー、購読などをして頂けると嬉しいです。選手の表記は、見易さの観点から省略させていただいく場合もありますが、○○(選手)の意識で、全ての選手や監督、読者の方々に最大限のリスペクトをもって、文章にさせていただいています。そして、目標としているスタイルは、客観的視点で発信していくこと、前向きになれる批評。厳しく褒めていくスタイル。

1、2021シーズン出場記録(DF登録選手)

シーズン終了時点に公式HPに掲載されている選手のDF登録の選手

DF登録選手の出場記録
2廣木 雄磨(左右SB:10試合0得点)
4濱田 水輝(CB:29試合0得点)
5井上 黎生人(CB:42試合0得点)
8田中 裕介(CB・右SB・CH:8試合0得点)
16河野 諒祐(右SB・右SH:42試合1得点)
22安部 崇士(CB:24試合1得点)
24下口 稚葉(左右SB・CB・右SH・CH:9試合1得点)
33阿部 海斗(CB・右SB:16試合0得点)
39増谷 幸祐(右SB・CB:0試合0得点)
41徳元 悠平(左SH・左SB:39試合0得点)

2、各選手個別評価

背番号・選手名(ポジション):貢献度(高:A~E:低)

※既に年を跨ぎ、総括としては遅れているので、途中から文章を簡略しています※

2廣木 雄磨(左右SB):D
出場記録(10試合0得点)

 昨シーズンは、怪我でシーズンを棒に振り、今季にかけるものは大きかった筈だが、今季も開幕前に怪我でチームを離脱すると、シーズン中盤まで復帰することはできなかった。復帰後は、スタメン出場の試合で、ミスの少ないプレーの選択で、チームを落ち着かせることが出来ていた中で、再び怪我で、長期離脱となった。終盤戦に、再び戻って来ると、チームとしての形ができていたことで、終盤の守備の安定や、運動量を維持するための交代という役割に終わり、出場機会は限られた。ただ、チームとして安定感が求められる状態であれば、チームの隙を埋める、隙を作らせない、バランスを保つ。そういった良さが出たシーズンともなった。

4濱田 水輝(CB):C
出場記録(29試合0得点)

 序盤のキャプテンとして、DFリーダーとして、岡山の堅守を支えた。空中戦の強さや対人守備の強さで、相手のエースを抑えることで、前半戦では、スタートからチームの堅守を支えた。怪我で離脱していた期間に、チームとしての守備のスタイルに変化が生まれ、よりボールを持つスタイルになっていたことから、リザーブスタートとなる試合が多くなった中で、3バック(勝利の方程式)を採用する際の4バックから5バックへと移行する際の役割へとシフトした。

 22安部 崇士のターンオーバーした試合の際も右CBではなく、慣れない左CBでの出場となっていた。守備の軸が、4濱田 水輝から5井上 黎生人へと移ったとその時には、強く感じた。ただ、1点差の最少点差のリードを守りって切って逃げ切った勝利した試合のほとんどの試合で4濱田 水輝が途中出場しており、最低でも引き分けにできたのも4濱田 水輝の守備での存在感が大きかったからである。チームとしてできることをやれば、出場時間に限らず、勝利に貢献でき、チームとしての強さを感じた起用法の変化でもあった。今季は、形こそ変えたが、年間通して出場した試合では、大きく守備の安定に貢献し、キャプテンとして、勝利に貢献してくれた選手。

5井上 黎生人(CB):A
出場記録(42試合0得点)

 他の選手がどうかは、未確認で申し訳ないですが、GKでも難しい全試合フル出場を達成。41節時点で、警告が3枚で、一枚でもイエローカードを貰ってしまうと、出場停止になる可能性があった中で、長崎という個に優れるチームに対して、守備の正当なチャレンジで、最終節へ出場することができた。そして、千葉というフィジカルコンタクトに優れるチームに対して3失点こそしたが、球際での強さや、駆け引きの部分でも負けることなく、42試合3780分を戦い抜いた。怪我しないタフさももちろんあるが、14上門 知樹と同様に、インテリジェンスに優れる状況判断能力の高さで、危険なプレーというのが少なく、正しい守備のチャレンジを体現し続けた。具体的には、シュート・ドリブル・パス・クロス・フリーランといったアクションへのコースへの読みから生まれる守備ブロック。そのアクションの中でボール奪取後に、しっかりマイボールにする判断も正確で、まさに攻守共にDFリーダーへと成長し、活躍したシーズンとなった。

8田中 裕介(CB・右SB・CH):E
出場記録(8試合0得点)

 今季は、怪我の影響と5井上 黎生人の台頭もあり、出場機会は限られた。そして、ほぼ途中交代で、その内容も3バックでの勝利の方程式のためにCBや右SB、そして、終盤戦では、CHへの挑戦があった。期待された活躍はできたとは言えないシーズン。終盤戦にみせたCHでは、強さと巧さという武器が発揮されて可能性も感じた。CBでありながら、技術に優れるという有馬ファジに求められるサッカーを体現できた選手で、リーダーシップもあっただけに、もっと見たかったというのが、正直な所であった。そして、彼の持っている力を考えると、リザーブメンバーとしてや短い出場時間ではなく、スタメンでの長いプレー時間での活躍が期待される選手であり、契約満了となってしまったが、新天地では主軸として活躍にして欲しいと心より願う。3年間有難うございました。

16河野 諒祐(左右SB・右SH):A
出場記録(42試合1得点)

 攻撃的SBの一言では表現できない圧巻のプレーで、全試合出場。加入当初は、守備に不安のある選手だと感じていたが、有馬 賢二監督が、チームとして巧く工夫することで、守備の軽さが、失点に繋がった。もしくは、危険なシーンを作られたというシーンは、ほぼなかった。むしろ、良い判断からの守備が目立ったほどである。序盤戦こそ7白井 永地や26パウリーニョと連携を駆使した崩しが、メインであったが、終盤戦の右サイドのスペース(エリア)は、ほぼ1人でプレーしていた。上がったスペースを26パウリーニョと7白井 永地で、埋める事があったが、豊富な運動量での上下動や、元FWとしての技術と速さで、クロスまでいくだけにではなく、時にはゴール前に飛び込み得点を狙う。これぞ、サイドアタッカーというプレーを体現してくれた選手であった。運動量な豊富な選手や、守備の巧い選手や、ドリブルの得意な選手こそいたが、これぞ攻撃的SBと言える活躍を魅せた初めての選手である。16河野 諒祐のプレー自体が、もはや右サイド攻撃のチーム戦術とも言える完成度の域までに到達し、SBが好きなサポーターやサッカー好きの方を唸らせる堂々たるプレーを年間通して体現してくれた。来季は、アシストやゴールといった結果も今季以上に記録して欲しい。

22安部 崇士(CB):A
出場記録(24試合1得点)

 シーズン途中に育成期限付き移籍加入。加入直後にスタメンに定着すると、その後は、不動のCBとして、出場を重ねた。CBとして、対人守備や空中戦の強さだけではなく、レフティとしてのビルドアップや、ボール運ぶ推進力、セットプレーでの存在感。攻守共に終盤戦の岡山の好調を支えた選手と1人。

24下口 稚葉(左右SB・CB・右SH・CH):D
出場記録(9試合1得点)

 岡山での初ゴールを決めることができたシーズンで、主軸選手に怪我が出た時期に主にスタメン選手として出場。今季は、左右SBや右SHに加えて、CHにも挑戦して、プレーの幅を広げることもできた。そして、ムラのあったプレーの安定感や判断の質も向上し、成長を感じた一年となった。一方で、豊富な運動量や技術を攻守でのハイパフォーマンスに繋げられるかが、今後の課題。

33阿部 海斗(CB・右SB):D
出場記録(16試合0得点)

 下口選手同様に、主軸選手に怪我の選手が重なった時期に、スタメンを含めて、出場機会を掴んだ。4バックでの左CBや3バックでの右CB、そして、右SBとDFとして、チーム状況に応じたポジションでの出場となった。スピードやテクニックといった良さが目立った一方で、CBとしての安定感や粘り強さの部分での成長が求められる内容であり、そこが来季への課題。

39増谷 幸祐(右SB・CB):――
出場記録(0試合0得点)

 怪我からの再起を誓ったシーズンではあったが、今季は最後までピッチに立つ事ができなかった。増谷選手自身としても辛いシーズンとなったが、サポーターとしてもあのSBとしての力強い守備や、精度の高い右足でのクロスが見る事ができなかったのは残念であった。鳥取での新天地で、その輝きを取り戻してくれると嬉しい。

41徳元 悠平(左SH・左SB):B
出場記録(39試合0得点)

 豊富な運動量と安定した守備を武器に不動の左SBのレフティであったが、11宮崎 智彦の加入により、SHへとコンバートされた。よりアシストやゴールが増えるかと思われたが、SBと違い寄せが厳しくなる中で、なかなかゴールに直接絡めなかった。その中で、フリーランの質や、連係プレー、守備の巧さを遺憾なく発揮し、不動の左SHとして、今季も40試合に迫る試合に出場した。

3、DF総括

総合評価:A

 新しいDFスタイル。これが今季の岡山を読み解く上で、大きな意味を持ってくる。空中戦が強い、1対1が強い。こういった部分では、正直上位に届かなかったかもしれない。しかし、選手の持ち味を最大限発揮していくことで、攻守一体で考えた守備スタイルの構築は、有馬ファジで、しっかりオーガナイズされていた。

 DFラインの中で、強く意識していたのは、スペースやコースを空けないというポジショニングや距離感。GKとMF、時にはFWの選手と危機察知への意識を高く持ち、パスを出されてもラストパスだけは出させない。裏を取らせない。シュートを打たれてもDFとしてブロックしていく。ここの意識が年間通して非常に良かった。

 守護神が13金山 隼樹と31梅田 透吾へと移った時には、DFラインの真ん中に31梅田 透吾が入る事で、安定したビルトアップやボール奪取後へのマイボールにする技術が非常に洗練された。特に22安部 崇士や11宮崎 智彦の両選手が加わったDFラインは、まさにファジ史上最高の基礎技術の高いDFラインを構築できたことで、ビルトアップで奪われる事はほぼなかった。

 この攻守一体の守備組織を構築して行く中で、自陣で相手選手に危険な形で持たせるというシーンは、シーズンが進むほど減少し、最終的にはほぼなかったシーズンであり、有馬ファジの武器の1つであった。来季の木山監督が、CB2選手が変わった中で、どういった守備組織を構築していくのかは、楽しみの1つと言っても良い点で、注目したい。

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino

自己紹介
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。

読んで欲しい試合レビュー
2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」

URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907

読んで欲しいまとめ
2022ファジアーノ岡山 にフォーカス2
「木山隆之新監督についての情報まとめ」

URL:https://note.com/suginote/n/na7a6e0f1028


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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。