見出し画像

初めて参加したイベントで撃沈して凹んだ話

いきなり創業400年の酒蔵代表になった元普通の主婦、宮崎朋香です。
急死した弟が必死で復活させた酒を守るため、山口県山口市の商店街の酒蔵で代表をしています。

noteでは、いきなり社長にならざるをえなかった時のドタバタした話や、お酒造りの話、山口のいいところ、趣味の話などを書いていきます。

今回のお話は、この会社を継ぐ事になって1ヶ月目、はじめて参加した日本酒イベントで撃沈して凹んだ話です。弟が急死し、継ぐことが決まりはじめて会社に出勤したのが2018年3月2日。そしてその1ヶ月後の2018年4月に、新酒発表会があるということで日本酒イベントに初出展しました。

この仕事に就いて1ヶ月。死にものぐるいで経理の仕事を覚えたり、税務署に経理の報告にいったり、飲食店さんへの配達をしたりしていました。引継ぎもほとんどなく分からないことだらけの業務の中、日本酒イベントも何をすればいいのか全くわからず、とりあえずこんな感じかなとその時できる限りの準備をして会場に向かいました。

初イベントは、山口県内の新酒お披露目会で、県内の酒蔵さんのブースがズラリという状況です!その中の1つのブースをいただき、展示と日本酒試飲の準備を始めました。

お客様が来られるまでの間に飾り付けをしようと思うのですが「もうまったく何もわからん!!」状態でした。隣の金光酒造さんに聞きながら見よう見まねでバタバタと展示準備をおこないました。実際に日本酒イベントの現場に行ったこともなかったので「もっとこんなの用意すればよかったね」と一緒にいったスタッフと反省の嵐でした。

そして、実際にお客様が来る時間に!各酒蔵のブースにたくさんの方が来てくださいます。

「とりあえず立ってて、うちのお酒を飲んでもらえばいいだろう…」と安易に考えてたらまさかの質問が!!!
「このお酒の精米歩合は?」
「酒度は?」
「どんな造りをしているの?」
(そんな、お酒の中身のことなんて知らない…!!)

今思えば基本中の基本なのに、その当時はいきなり社長業務に目の前のことをこなすことで精一杯。そこまで頭が回っておらず、恥ずかしながらいただいた質問に何も答えられなかったんです。
すみません。会社に帰ってきたばっかりでよくわからなくて」
「そんなのもわからないの?」

質問をしてくれたお客様は呆れた目。山口県中の酒蔵が集まる日本酒イベントなので、お客様は直に造り手の方にお酒のことを聞きたいのも分かる。その気持ちは十分分かるのですが、
本当に何一つ日本酒のことが分からなかったのです。

分からない事が多すぎて、いま自分が何が分かって何が分かっていないかも整理がつかないような状態。それがお客様を前にして出てしまったから本当に困りました。そしてそんな初歩的なこともできない、分からない自分に泣きそうでした。

そんなこんなでバタバタの初めての日本酒イベント。お隣の金光酒造さんの助けがなかったら私とスタッフは会場でリアルに泣いていたと思います。(当時、お隣の金光酒造さんのスタッフさん、助けてくれて本当に本当にありがとうございます)

当時、お隣の金光酒造さんのスタッフさん助けてくれてありがとうございます


山口県の新酒発表会なので山口県の県知事さんも山城屋酒造のブースにいらしてくれたのですがあたふたとしていて、今思い返すと何を話したのか全く覚えていません。それだけ、緊張していっぱいいっぱいでした。

県知事さんとお話して緊張しまくった

酒蔵に生まれて、親や弟がすぐそばで日本酒を造っているのを見ていたのに。急死した弟が最後の最後までお酒のことを考えて必死で復活させたことを知っていたのに。もっと語れるものがあったんじゃないかと、何も話せなかった自分が悔しくて、情けなくて、家に帰って泣きました。

もうこんな思いはしたくない。400年続いた酒蔵を守ると決めたからには見てるだけではなく自分で体験して、経験した生の情報をお客様に伝えるようになろう!そこから、酒造りにもはいりましたし、お酒だけではなく米造りは田植えから収穫まで全部自分で体験するようになりました。

山口県産は盆地で気温差が大きく「夏は暑く・冬は寒い」という気候です。造り手側は大変ですが、日本酒造りには最適な天候なんです。暑い中での田植えや稲刈りはとても厳しいですが、寒い時期は温度管理がしやすく菌の繁殖がしにくいという環境の中で、山城屋酒造のお酒は作られています。

山口市阿東徳佐の契約農家が栽培する化学肥料不使用の山田錦と、山口市三大名水「柳の水」のふもとの山口大神宮の伏流水を使っています。山口の日本酒の魅力を伝えたいという想いから、山口の米と水にこだわり、山口テロワールを大事に田植えから酒造りをしています。これは、山城屋酒造が田植えから米造りを農家さんと一緒にすることになったきっかけの出来事です。

とはいえ、普通の主婦がいきなり酒蔵社長になってまだこの時は1ヶ月目。まだまだ大変な事件ばかりが続きます。「いきなり社長になってから現在までのドタバタ奮闘記」は、こちらのマガジンに書いてあるのでよろしければぜひ読んでください。

山城屋のお酒があなたの笑顔のきっかけになりますように。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?