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短編小説から見る社会

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菅原ゼミで読んだ短編小説の書評を順次掲載していきます。書評は全てゼミ生が書いています。授業期間中の毎週末ごろ更新です。  ※ネタバレありですので気になる方はお気をつけください。
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#レ・コスミコミケ

イタロ・カルヴィーノ「恐龍族」書評(2)

イタロ・カルヴィーノ「恐龍族」書評(2)

「恐龍族」書評、2人目は佐野稜典さんです。

イタロ・カルヴィーノ「恐龍族」(『レ・コスミコミケ』収録)

評者:佐野稜典

 この作品は短編集『レ・コスミコミケ』に収録されている十二編の短編のうちの一つである。これらの短編はそれぞれ独立した内容になっているが、共通してQfwfqという存在が描かれている。そして今回の短編「恐竜族」にも冒頭に自身が恐竜であった過去を話す語り手として登場している。今回

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イタロ・カルヴィーノ「恐龍族」書評(1)

イタロ・カルヴィーノ「恐龍族」書評(1)

先週の4回生ゼミではイタロ・カルヴィーノ「恐龍族」を読みました。二人の評者のうち、まず成山美優さんの書評を紹介します。

イタロ・カルヴィーノ「恐龍族」(『レ・コスミコミケ』収録)

評者:成山美優

 この物語は、Qfwqfという人物が昔話を語るようにして話が展開されていく。恐龍族の生き残りである彼の昔話が、壮大なスケールでテンポよく進んでいく様子にどんどん引き込まれていった。
 荒涼たる高原の

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