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笑芸人VOL.10~13(白夜書房)/高田文夫責任編集。

 昨日、ようやく揃った「笑芸人」のバックナンバー紹介をしようとしたら、あまりに長くなってしまったので、急遽4号ずつ3回にわたってすることにしました。
内容がメチャクチャ充実してますから、4号ずつにしても、労力はそれなりに使いますね。

それに井上まさよし(雅義)さんや水道橋博士、いとうせいこうさんの連載について触れたら、それこそ絶対に終わりません。。
と、前置きが既に長くなりそうなので、これから本編へ。もう少しお付き合いください。

・高田文夫責任編集「笑芸人 VOL.10~13」(白夜書房)


 まずはVOL.10のメイン特集は「落語大好き」ですね。
古今東西の名人を取り上げていますから、個人的には落語家というよりタレントとして認識していたり、写真でしか見たことがないという人もいますからね。
落語はCDが大量に出ていますから、名人のものは是非聴いてみたいんですけど。。やはり音楽を優先してしまいます。

 春風亭小朝さんのロングインタビューから始まりますが、小朝さんも分析肌なんですねー。かなり整理された内容で、芸事の伝承について考えるにはよろしいのではないでしょうか。

 続いては、各界の落語ファンのベスト五席アンケートを紹介していますね。
風間杜夫さん、小宮孝泰さん(コント赤信号)、坂崎幸之助さん(THE ALFEE)、なぎら健壱さんにペットサウンズ・レコードの森勉(!)さんといった方々が答えているのが印象的です。
世代的にはやはりちょっと上の方々が多いですね、これは前回山下達郎さんのところで書いた通りに落語(に限らず演芸全般)が生活に密着していたのはあの世代(私より一回り位上)までなのでしょうか。

 続く高田文夫さんの落語大好き私的50年史と落語番組放送史は資料としても重要ですね。
他にも落語四協会の座談会や上方落語について触れている部分も重要です。細かく書くと終わらないので、これまた探して読んでね。

 立川談志さんの高座生活50周年特集も資料性が高い内容ですよ。
談志さんと立川志の輔さんの師弟対談、年表(虚々実々とあるのが非常にらしいというか)、立川志らくさんによる談志さんの文章の分析もまた面白いです。
この号についてはこんな感じで、次行きます。


 VOL.11のメイン特集は榎本健一さんの生誕100年ということで「浅草笑芸パラダイス」というお題です。
こうして、色々な写真を見ると、エノケンさんと水道橋博士はやっぱり似てるなと思います。
それはともかく、冒頭の小林のり一さんによるエノケン資料館が素晴らしい。あ、小林のり一さんは三木のり平さんのご子息で、別名は持続院法一という方なのであります。
ちなみにドルフィンソングの三木ふとしさんとは関係がない模様です。
内藤陳さんと前田隣によるエノケンさんのエピソードもいいですね。お二方ともエノケン劇団の一期生だったとは!

 浅草ということで、引き続きは萩本欽一さんインタビュー、聞き手はTAKE2の東貴博さん。この記事にある笑魂伝承って、アントニオ猪木さんと橋本真也さんの闘魂伝承に引っかけてあるのは言うまでもないかと。
もちろん、内容は興味深いものになってます。

 永六輔さんインタビューは「笑芸人」特別記者の浅草キッドが担当してます。
実はこの日が初対面だったんですね。言うまでもなく、これまた必読の内容です。
今年の8月18日には浅草花やしきで、水道橋博士生誕祭が行われることを頭に置いて読むべきでしょう。

他にもなぎら健壱さんインタビュー、浅草ゆかりの方々(この時点では土橋正幸さんはまだご存命だったのか!)も色々と話していて、非常に深い内容です。

 もう一つの特集は「冗談音楽カーニバル」でテツandトモ、はなわさん、(まだトリオ時代の)ポカスカジャンに横山ホットブラザーズがインタビューに答えていたり、グループ魂が公開質問状に回答しています。
そして、レコメンドとして紹介されている中にマキタスポーツさんと寒空はだかさんが!素晴らしい素晴らし過ぎます。
ということで、この号についてはおしまい。


 VOL.12のメイン特集は「喜劇映画バンザイ」ですね。
冒頭は映画「ゲロッパ」公開時期ということで井筒和幸監督と高田文夫さんの対談です。引き続いては井筒監督インタビューとかなり濃い内容になってます。
井筒監督を「虎ノ門」や「ウィークエンドシャッフル」でしか知らない人は必読。

 高平哲郎さん(!)による「不完全版『戦後日本喜劇映画案内』-観ておいて損のない日本映画112本-」も力作です。

 更に引き続いては「ゲロッパ」主役の西田敏行さんインタビュー。3月11日にこのことを書いているのも、我ながら偶然にも程があると思うのでした。

とにかくこの特集、メチャクチャ充実してますから、とにかく読むしかないと思うのです。こればっか。

 「春風亭柳昇師を偲んで」に春風亭昇太さんが寄せた文章がまた素晴らしい。貴重な写真も多数掲載されています。

 「大西ユカリと新世界」の特集もいいですね。「ラジオビバリーヒルズ」のリスナーだった時期なので、懐かしさが先立ってしまいますわ。
ちょっとあっさり目ですが、この号はおしまい。

 
 VOL.13からはCDが付録になってますね。それによって、定価が一気に上がっているかも。。それはともかく。
メイン特集は「新作落語ブームが来た!」ですね。
中村勘九郎さん(先代の、まだ勘三郎襲名前だったのね)インタビューから始まります。こうしたインタビューはどういったつながりがあるかわからないと、ピンとこないですよね。VOL.11の浅草ゆかりの方々を思い浮かべながら読むと更に深く理解できるはずです。

 続いてはSWA(創作話芸協会~協会はアソシエーションと読む)の座談会。今見るとすごい顔ぶれですなぁ。TBSラジオリスナーなら特に。
三遊亭円丈さんのインタビューがないのは「笑点」というか円楽党に忖度したから?違うか。

 「新作落語戦後史年表」と「新作落語年譜」もとにかく力作。構成はベン村さ来さん。

 立川志の輔さん、立川志らくさんに桂三枝(現在は文枝)さんに笑福亭鶴瓶さんインタビューもとにかく深いです。こればっかですみません。
ここで、立川流と上方の新作と、他の協会での新作の位置付けの違いをわかった上で読むと、また違うことを強調しておきます。

 後半には「笑芸アーカイブス2003」と「芸春グラフ [名人篇 あの日あの時]」。
時間が経過しても、何度読んでも面白い雑誌がずっと好きでして、そう評価するには個人的な趣味もありますが、エバーグリーンな内容ということが大きいと思います。
雑誌以外にも、書籍だったり、音楽だったりにどれだけエバーグリーンな作品に出会うということが大事だと思います。
好き嫌いを判断するには焦らず、じっくりと味わう必要があります。
そのことは常に頭のどこかに置いておくべきでしょうね。
そんなのは必要ないとする人たちには抵抗するしかないと考えております。
と、理屈っぽい考えを述べて今日は終わります。

 明日は今日の続きの「笑芸人 VOL.14~17」を振り返る予定です。実は音楽関係の記事の数倍時間をかけて書いてますが、その割にクオリティが高くないような。。でも、書くんだよ!


 ではまたー。

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