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獲物の分け前~NOBODY『From A Window』編。

 昨日に引き続きまして、NOBODYのTDKレコード時代のカタログ再発第2弾から、今日取り上げるのはアルバム『From A Window』です。
このアルバムの画像を見ると、他のオリジナル・アルバム再発とは違った部分があります。
お気づきでしょうか?

 正解はこのアルバムには2011Remixの表示がないことです。
つまりこのアルバムのマルチトラックは現在存在しない模様ということになります。
Remixもしくはリミックスとは簡単に説明しますと、「色々な音が入ったテープのバランスをまた変えること」程度に理解してくれたらありがたいですね。

 テープ自体が安価なものではなく、かつ場所を取ってしまうということで、昔のテープは破棄されたり、消去されて使用されたりする会社もあったのです。
TDKレコードは前回の記事で書いた通り、販売元の会社が変わったことが複数回あったりしたので、紛失する可能性が高かったということですね。
それではアルバムについて行ってみよー。

・NOBODY『From A Window』(WQCQ-873/ワーナーミュージック タワーレコード)

 このアルバムのオリジナル盤が発売されたのは1985年11月5日にアナログ~LPがまずリリースされ、CDは少し遅れた11月21日でした。
初めて聴いた時の印象はホーン・セクションやストリングスが大幅に導入されたので、よりバンドっぽさが薄れたのがちょっと悲しかった記憶があります。
今回の再発で改めて聴いてみると、ソングライター・チームとしての作品のクォリティは上がっているし、ヴォーカル・スタイルを変えた作品もあるので、作品の幅がおもいっきり拡がったんだなと実感しました。
ホーン・セクションの編曲は村岡建さんで、楽曲の迫力をアップさせているとテンションが上がりましたね。
ストリングスの編曲は羽田健太郎さんでした。羽田さんはピアニストとして、スタジオ・ワークやテレビの「ニュースステーション」に出演したり、オフ・コースのライヴ・アルバム『秋ゆく街で』に参加している人という認識がありました。
ストリングスが導入されたのはどちらかといえば、クラシカルな仕上がりになって曲の迫力を弱めているのではないか?とか疑問に思いましたね。すみません。。

 そんなこんなでアルバムのA面はそこそこ聴いたけど、B面はリアルタイムではそんなに聴いてないです。。
まー、私が浪人していた時期だったので、音楽を余裕を持って聴いている場合ではなかったという。。
ただ、予備校の近くに有名な大型電器店、しかもレコードの在庫が大量にあるお店がありまして、勉強そっちのけでコンスタントに買っていましたけど。。

 今回の再発を聴いての感想としては、リミックスじゃなくて、リマスターでこんなに印象が変わってしまうのか!ということです。
簡単にリマスタリングについて説明すると、色々な音のバランスを変えることはできないので、こもっている音をクリアにしたり、低音や高音部を調整して、全体の印象を変える程度に思ってください。

 今回も解説を担当している山田順一さんの解説のメール・インタビューによりますと、相沢行夫さんの回答として「当時はアナログとCDの過渡期で(略)エンジニアもよくわかってなかったんじゃないかな」とあります。
ちなみに私がCDの再生機器として、CDラジカセを購入したのが1986年春でした。
1986年にようやくLPの売り上げとCDの売り上げが接近したという記憶がありますね。

 当時のCDのソフトのマスタリングについては単にアナログをデジタルに変換したものが多かったのと、音声レベルが高過ぎるとスピーカーを壊してしまうということで抑え目のアイテムが多かったのでした。。
初期にプレスされたCDはそんなこんなでレベルが低めで、音がいいとはお世辞にも言えないアイテムだった記憶があります。

 あと、NOBODYの所属はTDKレコードということで、ミュージック・テープにはAD(TDKのカセットのクォリティ~スタンダードより1つ上のクォリティ)を使用していたことを付け加えておきますね。

 このCDのライナーでは村岡さんや羽田さんとのエピソードが紹介されていて、ついつい爆笑してしまいました。
内容に関してライナーを担当した山田さんとメンバーの相沢さんと木原さんとの関係も成熟してきたように思ったので、東芝時代のライナーも山田さんに是非やってもらいたいですね。

 順調ならTDK以降の東芝EMIやハミングバード時代の作品をリリースする予定もあるようですから楽しみです。
明日はベスト・アルバム『NOBODY COLLECTION 1982-1985(2023 EDITION)』についての記事を書く予定です。お楽しみに。

 ではまたー。

 

 


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