理想を失わず着実に歩んでいる「世界一の海の向こう」へ- 2010年代の音楽を振り返る(3)

最近のnoteは2010年代の「個人的名盤」を各年1枚ずつ取り上げて振り返るべく書いています。


2010年の1枚はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「マジックディスク」


2011年の1枚はthe HIATUSの「A World Of Pandemonium」をチョイス。


この順番でいったら今回は2012年の作品なんだけど、候補のアルバムが2枚あって決めきれないので、先に2013年に進むことにしました。


noteマガジンでもお世話になっているふじもとさんによる10年代の音楽シーンに関する記事。ここで2013年は「ロックフェスが一般化」した年と説明されている。本当にそう思う。


また個人的に2013年は大学生活がスタートした年。当時周りで特に流行っていたのはONE OK ROCKとこのバンドだった。


[ALEXANDROS]の4枚目のアルバム「Me No Do Karate」

当時はギリギリ[Champagne]だった。そのバンド名のカッコ良さとシャンペ好きな人達のイケてる感じに触発されてYouTubeでMVを検索したのが最初の出会い。



「Starrrrrrr」や「Kick&Spin」など、今なおバンド屈指のキラーチューンが序盤に揃う攻撃的なラインナップに、18歳そこそこの自分は完全にやられてしまったのだ。


個人的に今までのバンドの作品で中で1番でっかい規模が似合うロックアルバムだと思う。

そして、これからシーンを駆け上がっていくギラついた感じは今聴いても色褪せていない。


その第一歩としてバンドはこのアルバムを掲げて、ロックスターとして日の丸の下で演奏した。

自分が初めて武道館で観たロックバンドのライブ。暗転して「Rise」のイントロが流れた時の高揚感から、アルバムのラストナンバー「Plus Altra」を演奏し終えた洋平さんが[Champagne]のバックフラッグに別れを告げるまで、ほんの一瞬の出来事だった。

そして余韻に浸る間もなく始まったアンコールで、バンドは[Alexandros]へと進化を遂げた。


その後のバンドは、あの大ヒット曲を据えてメジャーに殴り込んだ新たなファーストアルバム「ALXD」

お茶の間にも届くポップナンバーの一方でジャンルごちゃ混ぜの楽曲を詰め込んだ「EXIST!」

ついに海外に渡り現地での生活の空気感を含ませた「Sleeples in Brooklyn」の3枚のアルバムをリリース。


日本に戻って来た今年は、海を渡った経験を踏まえた上で改めて従来のバンドらしいロックサウンドを鳴らした「月色ホライズン」や、聴きやすさはそのままに「Sleepless〜」で見せた世界志向のサウンドに再接近した「あまりにも素敵な夜だから」などのシングル曲が印象的だ。


近年はこの時代を代表するロックバンドとしてのイメージが強い[ALEXANDROS]だが、2013年に初めて武道館に立ってからスタジアムライブを行うまでに5年、アリーナツアーを回るのには6年かかった。学生からサラリーマン時代を経てデビューしたことも含め、足元を見ながら確実に着実に進化する道を選んでいるように見える。


それは、彼らが掲げる「世界一」というあまりにも大きな野望を叶えるためだ。

その目標に向かって、バンドが鳴らす音楽も真っ当に進化している。

それでも、自分がイメージする世界一の海の向こうの[ALEXANDROS]は、オーセンティックなロックンロールをだだっ広いスケールで鳴らしている気がする。


昨年マリンスタジアムで聴いた「Forever Young」が最高過ぎた。

今の[ALEXANDROS]を進化させていった先で、世界に届けて欲しいアルバム。ついでにジャパニーズカラテとカラアゲとアッチムイテホイも普及させてくれ。

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