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BBHFがリリースした2つの作品。1つの車の異なる軸の車輪を同時に動かすために

BBHFというロックバンドが先日「Family」という新作をリリースした。


最近とてもハマっているアーティストのうちの1組。

2016年に活動を終了したGalileo Galileiのメンバーを中心に2018年に結成(言うなら"再結成"に近い)した4人組バンド。

当初はBird Bear Hear and Fishというバンド名で1stアルバムをリリースしたが、今年の7月にBBHFに改名。


それと同時にリリースされた「Mirror Mirror」という作品と今作の「Family」は対になる作品になっている。


、、、みたいな説明説明した文章は割とどうでもよくて、とにかくオススメだからそれぞれ聴いてみて欲しいってわけです。笑




この2枚をざっくり分けるなら「打ち込み」と「生音」みたいなことになると思う。ざっくり過ぎて申し訳ない。


「Mirror Mirror」の楽曲は1音1音がシャープでミニマムな構成。打ち込みと言ったように生楽器以外の音も使われている。これまた凄いチープな言葉で言うなら"現代的"な音楽。


一方の「Family」は生楽器中心の構成。スタイリッシュでありながら音に奥行きを感じる。人と人とが有機的に繋がって伝わって届いていくような楽曲が並んだ。


それぞれのコンセプトを明確にするためにリリースの仕方も工夫されている。機械的な要素の強い「Mirror Mirror」はダウンロードやストリーミング配信のみのデジタルリリースのみ。タイトルの通り人とのリアルな繋がりを表現した「Family」は配信に加えてCDや7インチでもリリースされた。


こんな書き方をすると「Family」の方が良い作品っぽく映るかもしれないけど、自分はどっちの曲も同じぐらい好き。

デジタル感が強いと言いつつ「Mirror Mirror」の曲も歌も凄く人間味がある。

「友達へ」では心を許した人達とその時その場の喜びを共有する楽しさが歌われている、一方でその裏には1人になった時のギャップ、自分の中に様々な顔を持っていることへの悩みにも入り込むような楽曲だ。



「Family」の楽曲も所謂バンドサウンドというわけでは全くなく、最近のヒップホップやR&Bからのリズム、ビート感が生楽器の演奏に反映されていて「今の時代にロックバンドの最新型を鳴らすならこうだ」といった印象を感じた。

「真夜中のダンス」では「今の自分が音楽を求める理由ってこういうことだな」って内容が歌われている。

他にも「なにもしらない」「シンプル」「あこがれ」といった、タイトルからも伝わってくるように、分かりやすくて力強い楽曲が並んでいる。

かと言って背中を押してくれるわけでも、勢いよく走り出すわけでもなく、この先を自然体で歩いていくような気持ちになれる。


BBHFの音楽から感じるのは、ロックバンドとしての新しさと普遍の追求、1人でいる時の心地よさと悩み、誰かといる時のそれ、そして仲間と何かを成し遂げることに対する憧れ。

自分も「Mirror Mirror」のような、いわゆるバンド感のあるサウンドとは異なる新しい音楽への関心もあるし、「Family」で表現したバンド的な音楽の良さも追求したい。


音楽を好きになるポイントは音楽ごとに違うし、その時の気分によって音楽に求めるポイントも変わってくる。

音楽的なジャンルとは別に、聴く人それぞれの中にも好きな音楽を振り分けるジャンル的なものがいくつかあって、それらを共存させていくことが大事なんだと感じさせられた。


1つのバンドを動かす車輪の軸は決して1つじゃない。

楽曲の良さはもちろんのこと、それと同じぐらいに、1つのバンドでいくつかのコンセプトを同時に提示していくBBHFというバンドの歩み方に今後も注目していきたい。

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