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週1回1時間より、毎日10分のほうがいい

ここ半年強くらい、アシュタンガヨガというヨガを練習しています。

アシュタンガヨガとは、ヨガの流派の一つです。
こんな感じです。
(これは練習用動画ではないので決して真似されないように・・・)

ヨガの中ではハードな部類に入るので、ヨガのイメージとだいぶ違う印象を持たれた方もいるかもしれません。今日は、このヨガを通じて感じたことを書いていきたいと思います。

以前は辛すぎて無理だった

アシュタンガヨガは、運動量が多めなのと、最初から最後までポーズの順番が決まっていることが特徴です。いわゆるパワーヨガの元になっており、トレーニングっぽい感じもあります。

どれくらいハードかというと、私の場合、初めの頃はヨガマット上の範囲で動いているだけなのに汗がぼたぼた落ちて、その日は昼寝をしないと持たず、翌日は筋肉痛で動けないくらいでした。

元々ヨガを始めたのは10年前で、アシュタンガヨガは5年ほど前に少しやっていた期間があります。ですが、辛すぎてやめてしまいました。

私は週1回スタジオに通ってクラスを受けていたのですが、相当にツラい。たしかに、終わったら体が心地いいですし、筋肉痛があると「やった感」も出ます。でも、スタジオに行く前は憂鬱でしたし、周りの上手な方と比較してうまくポーズが取れないことが嫌になったりもしました。

2年くらいは根性で何とかやりましたが、ある日ポキっと心が折れて、やめてしまいました。2年続けても、期待していたダイエットやポーズの向上効果がそこまでではなかったのです。スタジオに行く前の憂鬱な気持ちを根性で振り払う労力と対価が見合わないと感じてしまいました。

その後もヨガは続けましたが、「自分にはハードなヨガは向いてないのでリラックス系でいこう」と思うようになりました。


10分間の「太陽礼拝」だけを2年やった

その後、アシュタンガヨガとは関係なく、ヨガそのものをさらに深めたいと思い、インストラクターの勉強を始めました。そのときの先生が、

「毎日少しでもヨガをやってください」

という方針で教えてくださったのです。知識だけでなく、カラダの感覚で体感しないと意味がないという考え方の先生でした。

当時、私がヨガをするのは週1くらいでした。そこで、せっかくお金を払って勉強しているのだから先生の言うことを素直に聞いてみよう思い、「太陽礼拝」というフローを毎朝やってみることにしました。

太陽礼拝とは、アシュタンガヨガの最初にも出てくるポーズのフローで、ポーズに入る準備運動のようなものです。ヨガをやっていれば知っている人も多いと思います。

この太陽礼拝、シンプルな動きですが、やってみると体がぽかぽかして、うっすら汗をかくこともあります。

太陽礼拝は、アシュタンガヨガのプログラムの中では10分程度です。

これだけを、毎朝(二日酔いの日だけは除いて笑)、2年間続けました。いや、正しくは「続きました」と言うべきかもしれません

ハードなヨガが苦手な私でも、毎朝10分ならできました。寝起きの頭がすっきりして体も温まるというメリットを感じていたこともあり、「起きたら太陽礼拝したい」というポジティブな気持ちで続けることができました。

そして、体重が5kg以上落ちました。

週1回汗だくでアシュタンガヨガをやってもダイエットにならなかったのに、毎朝10分の太陽礼拝でなぜ減量したのか。

これは科学的な根拠の全くない、個人的な感覚ですが、毎日体を動かす習慣によって、ちょっとした体の変化に敏感になったからじゃないかな、と思います。

食べ過ぎが続くと太陽礼拝のときに体が重いのです。逆に「少し足りないかな」くらいで夕食を済ませた日は、翌朝の太陽礼拝で気持ちよく動けます。

このように「食事制限している」という意識は全くなく、食べ過ぎが自然に減ったことで、何のストレスもなく減量につながったのだと推測しています。


「続ける」を最優先にルールを決めた

本当に、以前根性でアシュタンガヨガに通っていたのは何だったんだろう、と思います・・・。

でも、アシュタンガヨガに意味がないというつもりは全くありません。

太陽礼拝を続けていた私は、ある日ふと、アシュタンガヨガを通しでやってみました。すると、以前は辛くて仕方なかったのが、なんと、1時間強のプログラムをほとんどストレスなくできたのです。

これも推測になってしまいますが、減量して身軽になったのと、太陽礼拝で基礎的な体の動かし方が身に付き、体力も以前よりは増したおかげだと思います。

おそらく、アシュタンガヨガのプログラムの中でも、太陽礼拝はその後の動きにつながるような様々な効果を期待して設計されているのでしょう。やはり基礎の繰り返しは大事です。

コロナで在宅時間が増えたため、1日1時間強のプログラムを目標にしたら、意外と続きました。そこから習慣化して、今に至ります。

以前はアシュタンガヨガの練習自体がハードでストレスのあるものだったので、今は、とにかくストレスを感じずに続けることを最優先しています。

そこで、大まかに2つのルールを設けました。(※あくまで個人的な判断であり、専門家としての指導を意図するものではありません)

ルール①:できないポーズは無理をしない

派手なポーズが成功したらうれしいです。でも、気合を入れてやっとできるレベルの動きは、毎日は続きません。そのせいで体を痛めて練習を休まなければいけなくなったら最悪です。

ヨガのいいところは、常に動きと呼吸がセットになっていることです。私は呼吸をバロメーターにして、「深い呼吸ができなくなるポーズはまだ自分には早い」と判断しています。その場合は軽減ポーズで対処したり、飛ばしたりして調整します。

逆に「決してラクではないが深い呼吸はできる」という場合はやります。「無理をしない」は「サボる」ではありません。このラインを見極めるために、「深い呼吸ができるか」という基準はとても役に立ちます。「サボる」にならないギリギリのラインを積み重ねることで、少しずつカラダが鍛えられていると思います。

なお、冒頭で最初の頃は筋肉痛になっていたと書きましたが、今は筋肉痛になるほどの動きも「無理」の範囲と判断しています。一時的には達成感があったとしても、毎日続かないからです。何より、ヨガで日常生活に支障が出るのは、今の私のライフスタイルにおいては本末転倒です。

ルール②:途中でやめてもいい

物理的に体が疲労していたり、仕事など他に気がかりなことがあったりすると、気持ち的にヨガをする気にならないこともあります。なので、

・しんどかったら途中でやめていい
・何なら太陽礼拝だけ10分やるのでもいい
・それでも時間が取れなかったらやらなくていい

というルールにしました。

すると、「やらなければ」というプレッシャーがなくなり、かえって続けることができました。「週に1回絶対1時間」よりも「毎日やる。でも途中でやめていい」の方が、気持ちのハードルが下がり、しかも実践の回数は増えるのです

さらに、期待値を下げておくと、実践できたときの自己肯定感が上がります。「週に1回絶対1時間」と思って5分しかできなかったらヘコみますが、「途中でやめていい」と思って5分でもできたときは、気持ちの面でのマイナスはゼロです。むしろ「今日も実践できた」というプラスの方が大きいです。

毎日欠かさず早朝に練習する本格的なプラクティショナーの方には怒られてしまうかもしれませんが、今の自分の生活の中で続けるには、この形が最適だと感じています。


続けていたらヨガの効果がどうでもよくなった

毎日続けると、できる動きは増えます。でも、そんなに毎日進歩があるわけではありませんし、いきなり体が引き締まることもありません。「あれ、今日はいつもより動きやすいな」といった感覚の違いが徐々に訪れて、ゆっくり進歩していくものです。

毎日淡々と続けていると、成果がどうでもよくなってきます。やったこと自体が気持ちいいですし、自然な習慣になっていくので、特別なことを期待しなくなります。

例えるなら「歯磨き」のようなものです。歯磨きをして達成感や成果を感じる人はいません。でも、毎日続けることで歯が悪くなるのを自然に防ぐことができます

ヨガのような健康維持のための運動習慣も、たぶん歯磨きと同じ方法が向いています。自然な生活習慣になってきて、たまに鏡を見ると、少し体が引き締まっていてうれしくなったりします。

生活習慣を変えることの効果は、少しずつしか出ないものだと思います。集中的にダイエットなどをしても、元の生活習慣に戻れば元通りです。

だから、「淡々と続ける ⇒ 成果がどうでもよくなる」のサイクルに入ってしまえば、あとは無理なく自然に成果が出る状態に入るのだと思います。そのためには、先ほど書いたように「いかに無理をしないか」が鍵になります。

逆に、たまにしかやらないと、非日常の活動なので成果を期待してしまいます。でも、たまにしかやっていないので成果は出ません。そうすると、初めは根性で何とかなっても、どこかで嫌になって続かなくなると思います。


「その人にとっての進歩」であればよい

週1回でヒイヒイ言っていた頃から見れば、今ほぼ毎日練習できているのは、すごい進歩です。

一方で、練習すればするほど、体の使えていない部分やポーズの深まっていない部分がどんどん出てきます。

そもそも、アシュタンガヨガは10年練習して初心者と言われています。5年だって、10年だって、初心者であり別に偉くない。その先何年練習しても、終わりはないのでしょう。

だから、過去の自分と比べて進歩していたらOKだと思うことにしました。

長年にわたって毎日練習している人は、本当にすごいです。でも、週1練習する人の方が劣っていると考える必要はないと思います。

偉いのは、週1しか練習できなかった人が週2練習できたときです。1年続いた練習を、さらにもう1年続けられたときです。もちろん10年練習した人はめちゃくちゃすごいですが、比較する意味がないと思います。

要するに、人と比べるのではなく、過去の自分と比較すべきです。ヨガの練習を一定期間集中して行ったことで、私はこのことを体感を伴って理解できたように思います。

これは、他の生活習慣にも通じると思います。朝8時にしか起きられなかった人が7時に起きられるようになったら、素晴らしいことです。それを毎朝6時に起きることが習慣になっている人と比較してヘコんでも、意味がありません。

また、人材育成にも通じる部分があるかもしれません。求められる成果を出していることは前提です。でも、成果が伸び悩んでいるときやそもそも何が成果かわからないときには、日常の習慣やスタンスを進歩させることができたらOKとする考え方もあるでしょう。(もちろん、甘えにならないためのバランスは重要です)

ヨガの練習を通じて「その人にとっての進歩」という視点を発見したのは、意外な収穫でした。まだ半年そこらのお付き合いですが、これからも「続ける」を最優先に、嫌にならないようにやってみようと思います。10年続けたときにどんな世界が見えるのか、とても楽しみです。


最後に、アシュタンガヨガは順番が決まっているため一人でも練習しやすいですが、運動量が多いため、怪我をしやすいヨガでもあります。ハイになって無理もしやすいです。慣れていない人が形だけ真似ようとするのも危ないです。

なので、このnoteを読んでアシュタンガヨガに興味を持ってくださった方がいれば、初めはスタジオに通って、経験の長い先生から直接習うことを強くお勧めします。

また、読みやすさのためにあえてヨガの説明を簡略化している部分もあります。ご興味を持たれた方は、ぜひ専門家に習って深めていただけたらうれしいです。


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