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『生きる』のススメ

何かをやってつまらないと思うのは、面白いと感じられるセンサーがまだ自分にないからだ。
武井壮さんが仰っていて、なるほどなぁと思った言葉だ。

子どもの本を読みなおすことにも、似た部分があって、当時は気づかなかった、作者の深い意図が大人になって分かったり、昨日の自分ではピンと来なかった一節が、今日ストンと胸に落ちる。そんな楽しみがある。

今回オススメするのはこちら。

谷川俊太郎さんの詩と、岡本よしろうさんの絵が見事に合わさっている。まるで完成されたラーメンのように、スープと麺と具材と、味わいが豊かすぎる絵本。

バラバラの絵が並んでいるように見えるが、ゆるやかに繋がって、ストーリーを作っている。表紙から裏表紙に至るまで、背景の小さな部分にまで、展開が隠されている。

例えば、あるページで仲良く寄り添っていたカップルが、別のページでは喧嘩していたり。

おじいちゃんの誕生日会に招待しておいて、ケーキの1番良いところ(おめでとうと書かれたチョコ板)を弟の方がちゃっかり食べていたり。

とても細やかで、さりげないから、全ての仕掛けには気づけないかもしれない。でも気づけなくたっていい。絵の全体から見事に表現された「生きる」を、ただ受け取れば充分で、カンペキだ。


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