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ヴィジュアル系バンド結成の巻

Wild Flowers制作よもや話。タイトルだけ見るとちょっとびっくりかもしれませんが、今日はアートワークのお話を。

タイトルだけが先に決まっていたアルバム、何かの話の流れでお花屋さんのお友達、LANDのアコちゃんにその話をしました。

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アコちゃんのお花のセンスが大好きなので、何か一緒にやれたら楽しそうだな〜、なんて軽い気持ちで。すると、すぐに「紹介したい人がいます!」と、雑誌などで活躍するPRのタロウさんを繋いでくれました。そしてタロウさんの友人であり、デザイナー(造形作家・絵本作家でもある)のすぎはらけいたろうさんと4人でお茶をすることに。渋谷と原宿の中間くらいにあるスッキリしたインテリアのコーヒースタンド。人懐っこい感じのタロウさんと、素朴ながら芯のある印象のすぎはらさん。私の音楽活動や新しいアルバムのコンセプトなど、まだ自分の中でも固まり切らないイメージを聞いてもらい、花の写真やドローイングなどのヴィジュアルも候補に入れながら話しました。今までのイメージとは違う新しい自分に出会いたいのだと。すると、すぎはらさんが

「ポートレート写真がいいと思います」

と、ポツリと言いました。私のアルバムは一枚目も二枚目も自分の写真ではあるけれど、実は当の本人はあまり写真に映るのが好きではないのです。カメラを向けられると自意識過剰でなんだか顔が引きつっちゃう。「良いポートレートを撮る写真家がいるんです」とすぎはらさんは続けます。「とてもパーソナルな作品になりそうだから、寺岡さんの今の姿を残すのが良いと思います」と。初めて会ったばかりなのに、なんだか作品の本質を見抜かれたようでドキッとしました。ちなみにすぎはらさんは絵本作家としても活躍中。新しい飛び出す絵本、とっても可愛いです!

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そして紹介してもらったのが写真家の相澤心也さんでした。後日3人で新宿の喫茶らんぶるで打ち合わせ。たまたま好きなお店でテンションも上がる。相澤さんはベレー帽の似合うとてもチャーミングな人で、とにかく面白いプロジェクトにしようと意気投合しました。そんな中で”音楽を作るみたいに写真を撮るの”というコンセプトで盛り上がり、バンドがそれぞれの楽器を演奏して一つの作品を作るように、写真家は写真を撮り、ミュージシャンは歌い、デザイナーはデザインするというそれぞれのスタイルで、セッションしながらアートワークを作り上げるプランがまとまりました。舞台は私の住む信州松本、一泊二日の撮影旅行。

通常は写真撮影をした後にレタッチなど修正の作業があり、その後時間をかけてデザインを考えていく、というのが定石。今回のように写真を撮ったその場でプリントし、その場でペイントをしてその場でアートワークを完成させるというのはかなりチャレンジングなことなのです。はっきり言って無茶振りです。戸惑いながらもすぎはらさんが「バンドってやってみたかったんだよね」とまたまたポツリ。Wild Flowersヴィジュアル系バンドが誕生した瞬間でした。

核になるスリーピースが出来たところで、メンバー集めは続きます。メン募。そのまま映像も撮ってドキュメンタリー風MVにしようというアイデアから、映像の奥田くん、ヘアメイクの綾子ちゃん、お手伝いには森川あゆみさんを誘いました。あゆみさんは昔ユメオチというバンドでベースを弾いてくれていて、実際にバンドメンバーだったという浅からぬ縁もあります。いつも影からsugar meを支えてくれる心強い存在です。

そんなわけで、ヴィジュアル系バンドが動き出します。
みんなほぼ初めましての組み合わせなのに、なんだか昔からの知り合いみたいに息の合った撮影。コロナ禍が本格的に始まる直前の今年2月、遠い昔のようですが。

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河原での撮影は映画撮影さながらで、車から電源を取りながらパソコンをセットして、その場でチェック。iMacが河原にポツンとある風景、良いですよね。

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極寒の夕暮れ時、焚き火の前で歌いながら、

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良いカットを実際にプリントアウトしてジャケットのデザインを完成させていきます。真剣な表情のすぎはらさん。

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とても柔らかく、自然な表情の自分が出てきました。その場で仕上げたとは思えない、それでもその瞬間がぎゅっと詰まった写真たち。十分満足しつつも撮影は翌日に続きます。

翌日はあがたの森文化会館からスタート。昔学校だったところを図書館、ホール、文化施設として生まれ変わらせた、松本市を代表する擬洋館の建築です。

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ここでもとても素敵な写真が撮れたので、いつかどこかでまとめたいなと思いつつ。そして最後の撮影地は栞日さん。本屋、カフェ、ギャラリーなど多機能な松本のカルチャーハブのようなお店です。松本に来た時はmust visitな素敵なお店!

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店長の菊地さんに撮影のご相談をしたところ、栞日INNというアトリエがついた宿泊施設をお貸しいただけることに。(※現在は営業停止中だそうですが、また再開したら是非とも宿泊してもらいたい)この空間無しにはこのプロジェクトの成功はなかったことでしょう。

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そして、今回のWild Flowersアートワークが生まれました。

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ポートレートを撮影したそばから、印刷して絵の具を乗せていく。BGMにはWild Flowersのデモをずっと流してくれていました。鳥肌が立つくらい楽しくて刺激的な体験でした。

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そして出来上がったのがこちらのジャケット。ちょっと良いでしょ?
自分でもこんな表情出来るんだ、というくらい新しい自分に出会えたポートレート。絵の具の筆の勢いも美しい、力強い装飾。レコードサイズを前提に作ったので、いつかアナログ盤も出したいなと思いつつ。

この時はまさか世界がこんな風になるとは思わず、完成したら改めてみんなで祝杯をあげようという約束もまだ叶わないまま。それでも奇跡みたいなタイミングで、奇跡みたいなアートワークが生まれたことは一生の宝物です。

5月に先行配信リリースしたFollow The Rainbow、MVではその撮影の様子がドキュメンタリーになっています。この文章を読んだ後だと、きっと違った視点で見えてくるはず。

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ヴィジュアル系バンド、また集まりたいな。本当にありがとう!
次回からは楽曲紹介に続きます。お楽しみに。

ART WORK
Designed by Keitaro Sugihara
Photo by Shinya Aizawa
Hair Makeup by Ayako Higashikawa
Video by Yuji Okuda
Assistant by Ayumi Morikawa
Styling by Yuji Jinno
Costume Corporation from Bernet
Location Sioribi INN

sugar me
寺岡歩美

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