左隣りの男

「やだなあ、エディって呼んでよ」
 私は彼のことを、スティールバードとしか呼ばない。正確には「スティールバード警部補」としか。そしてそのように呼ばれると、同僚である彼は必ずこういった返答をする。彼とて本気で呼び方を改めてほしいとは思っていない、彼の発言はいつも彼自身の心情とは無関係に、彼のキャラクターから発せられている、——と、私は思う。彼はいかなる場面においても自身のキャラクターを崩すことはせず、そのため常に冷静で、感情的な判断ミスをしない。彼を胡散臭い、信用できないと称する者も多くいるが、私は逆の見方をしている。「真面目で熱心」な人間のほうが、よほど信用できない。私の経験によれば。
「これで上がるけど、問題ない?」
「もちろんさ! 早く帰れるときは早く帰るに限るとも。僕もできる限り五時には上がって、スポンジボブを観ることにしてるんだ。スポンジボブは六時からだから、コンビニで酒を買って帰るとちょうどいい時間になるんだよね」
「そう。じゃあ私はこれで。あなた今日は残るの? 珍しい」
「僕としたことが書類整理に手間取っていてね! 程なく帰るよ。スポンジボブは無理そうだが、シンプソンズなら間に合うかな」
 相変わらず中身のない話をしながら彼は片手を振り、私は軽く会釈をして、バッグを肩にかけ、ガラスのドアを開ける。休憩室からコーヒーを持って戻ってきた別の同僚とすれ違い、互いに目顔で挨拶を交わした。二人は同じ事件を担当していたはずだ。手間のかかる案件なのだろう。
 エレベーターに乗り込んで、1階のボタンを押す。三十二歳、独身。恋人はいない。正直あまり作る気もない。深夜の出動や急な捜査で、相手との約束を破り罪悪感を抱くのに疲れた。付き合う前はいくら理解がある風に装っていても、心構えができているわけではない。失望や不満を完全に悟らせないほど見事な男は、私が付き合った中にはいなかった。
 階を下っていくランプを見つめ、ふと、エドワードなら、もしかすると全く気取らせないのかもしれない、と少し思う。しかし彼もまた恋人の定まらないたちであるようで、いい仲の相手は常にいるが、それが同じ人物である気はしなかった。彼と仲のいい同僚(言うまでもなく彼と同性の)は、よく彼に「彼女の髪色は?」と尋ねる。そうして彼が澄まし顔で答える色はいつも違う。ブルネット、ブロンド、レディッシュ、ストロベリー、……あるいは署内の一部の人間は、彼の苗字をもじってこんな風に呼ぶ。ハート盗み屋(スティールハート)。
 それにしても我ながら、くだらないことを考えている。直近の彼氏と別れたのは夏。二ヶ月ほども経っているのに、まだ引きずっているのだろうか。


 今日、出がけに何気なくテレビ欄を見てみたら、スポンジボブの欄があったけれど、放映は七時からだった。しかも、まあ、よく考えればわかるが毎日やっている代物ではない。毎週木曜日の七時から。少なくとも昨日は、五時に帰ったところで見れやしない。
「おはようティルダ、調子はどう?」
 出勤すると、ややくたびれた様子の彼が同じ服装で、私の隣のデスクにいた。私の表情をどう捉えたのか彼はぱっと手を広げ、背もたれに深く身を預ける。
「あ、シャワーは浴びてるから! と言っても臭ったらご遠慮なくだ、隣が臭いと効率下がるでしょう? 男の体臭ほど嫌なもんもないよ」
 言われて密かに鼻をうごめかす。無味無臭、とまではいかないが、本当の悪臭というのはそもそもこの距離で嗅げるものではない。ふわふわと柔らかな金髪はいつも通りで、ただ、海の色をした目元にはやや疲労が覗いていた。——それより、——微かな体臭に被さるように香るこの匂い。覚えがある。
「徹夜したのかと心配しただけ。……あなたからは、ペンハリガンの匂いしかしない」
「おや分かる? もらいものなんだが、嗅ぎ慣れてるのかな。それとも贈ったことが?」
 言葉に詰まった。固まっていると、彼は小さく肩をすくめて、失敬、と軽く手を振る。
 二ヶ月前に別れた男は、別れる少し前、誕生日に香水をねだった。男性モノの香水なんてよく分からないから、百貨店のカウンターで勧められるままペンハリガンを贈った。なんという名前のものだったろうか——一応テスターをいろいろ嗅いで、一番無難そうな香りを選んだのだったが、そのとき嗅いだ心当たりのある匂いが、エドワードのシャツからほのかに香ってくる。
 スパイスの効いた、セクシーな香りで、別れた彼氏には似合うまいと思いやめたものだ。彼は堅実な人柄だったから。なるほどあれが似合うのは、こういう男だったのか。その刺激も、危うい雰囲気も、うまい具合に馴染み、鼻につかない。
「それ、なんて名前だった?」
「僕のかい? ジュニパー・スリング。カートがねえ、いつだったか僕に押し付けてきたのさ。彼は人に物を贈るのが大層お好きだから」
 同僚の名を口にして、淀みなく返答しながら彼の目は画面を離れない。そこには大小様々のウインドウが並べられていて、時折彼のクリックに合わせ、前後が入れ替わっている。
「手こずってるようね」
「五里霧中だ。怪しいと言や全員怪しい、しかし決め手になるような動機がどうも見えてこない。誰にも一応のアリバイはあって、しかしどれもどうにでもごまかせそうといった具合さ。ティルダ、君はどう思う?」
「私?」
「人ってのは案外簡単に人を殺すだろう。例えばさ、付き合った相手が自分の理想と違ったからって、刺すと思うかい?……いやあ、刺すやつは刺すよね。忘れてくれ」
 私の回答を聞く前に彼はまた手を振り、その手を顎にやる。全く彼の言う通りで、刺すやつは刺す、それだけだ。この因果な職についていると、しばしばぎょっとするほど身勝手な心理に出くわす。納得のいく、同情しうる動機なんてむしろ稀かもしれない。大抵の人間は、実にくだらないことで人を殺す。信じ難いくらい。
 でもそういう魔がさす瞬間は、本当は多分、誰しもにある。
「他人を勝手に小道具にして、役割や理想を押し付けるっていうのは、少なからずみんなやることだわ。それが破綻したときに、——どう感じるかはそれぞれでしょうけど」
 呟くように返した。相槌はなかったが、一瞬、視線がこちらを向いた。


 彼は本庁から派遣されてきたキャリア組で、いずれは中央に戻ることが約束されている、いわば「助っ人外国人」のような存在だった。それなりの規模のある署なら数年単位でこのような「お手伝い」を受けることができる。彼らが去ったあと、似たようなキャリアの、別の選手がまた本庁からやってきて、数年後に帰っていく。彼らにしてみればこの署で過ごす年月は一種の通過儀礼。誰もが経験するお務めを終えたあとの日々こそ本番である。
 そうした意識が災いしてか、大抵は所轄の刑事たちとの間に溝が生まれるものだった。どうせこの署が扱うような「取るに足らない」事件になど、真面目に取り組む気はないのだろうと、軽蔑とも僻みともつかない不快な思いを潜めながらみんな彼らと付き合っていく。しかし彼、——エドワードの馴染み方は実に鮮やかだった。
 彼は剽軽な態度と細やかな気配りで、あっという間に懐に入り、能力の高さをひけらかしもせず、かと言って隠しもしなかった。自然と一目置かれるようになり、誰もが彼の「キャラクター」を理解した。それをどう思うかはさておき、そういうやつだ、と納得さえされれば、ひとまずは受け入れてもらえる。新たな集団に、すっと自分の居場所を作る。私は密かに舌を巻いた。
 彼と一緒に派遣されてきたもう一人のキャリア組は堅苦しいほど真面目だったので、最初はみんな戸惑っていたが、エドワードが間に入ることでだんだん人となりが知れていった。分かってくると、なかなかかわいげもあり、思ったほど気難しくもない。今では軽い冗談を交わしながらタバコの一本も吸えるような間柄だ。こんな風に署に溶け込んだ例は、私が知る限り、他にない。
 だがそれは、やはり、彼らが単に、ひどくうまいことやっているだけなのだと私は思う。私とエドワードが同じ事件を担当したことはあまりないが、一つ、印象に残っている出来事がある。確か彼らがきてから二年ほどたった秋のこと。連続放火事件の捜査だった。
 幸いどの家も出火直後に気がつき、燃え広がる前に消火、あるいは、全焼したとしても住民はみな逃げ出せていて、犠牲者は(ペットも含め)まだ出ていなかった。しかし保険がおりるにしても、思い入れのある家財道具や財産がすっかり灰になるというのは、とても恐ろしく悲惨なことで、近隣住民の怯えは強く、事件の注目度も高かった。放火宅に決定的な共通点は見当たらず、目下、無差別的なものであろうと考えられていたが、会議では違う可能性も出ていた。被害者宅の住人の中に必ず一人は親族がいたのだ。とあるグループの系列企業に勤めている者の親族が。
 そのグループは巨大企業で、またこの地域にはそこに勤めている者が多くいたから、単なる偶然ということも考えられた。だが、グループに勤めている本人の家は軒並み避けられていたので(該当地域の住居の約三割がそうであったにもかかわらず)、なんらかの意図があると考えるのが筋だろう、と見る者が多かった。まだ裏付けのない、いわば「思いつき」の段階であって、現時点で情報を公表するメリットはなかった。正式な見解として表に出すまでは決して漏らさぬようにと捜査チームには御達しが出ていた。
 ところが数日後、記事が出た。地元の有力紙が朝刊で報じたのだ。当然、誰が漏らした、という話になる。チーム内に不穏な空気が満ち、衝突の予感が膨らみ始めていた。そんな中、彼だけは何かを知っている様子で、いたって平然としていた。どころか、機嫌が良さそうに——つまり、全く普段通りに見えた。私は訝しんだ。彼が情報を不用意に漏らすとはとても思えない。だが、「不用意に」ではなかったとしたら?
 それから一週間後、犯人が捕まった。当の記事を書いた、契約社員のライターだった。
「マッチポンプだと分かってたの?」
 事件の解決後。デスクでサンドイッチを頬張る彼にそう尋ねた。彼はパンにかぶりついたままちらりとこちらに目をやって、数口モグモグと咀嚼するとあっという間に飲み込み、返事をした。
「うん、そう。初めの実況見分で、彼、事件現場に来ててさ。どうもテンションが違かったんだよ。周りの記者と、彼とでね」
 犯人は現場に戻ってくる。ドラマや映画で散々使われ、手垢のついたクリシェだが、これは事実で、特に放火はそうだ。エドワードはその時点で犯人の目星をつけていて、尻尾を出すのを待っていたそうだ。事件記者を装い(と言っても、実際彼は仕事の上ではまさしく事件記者だったわけだが)近づいてきた彼に応え、まずは当たり障りのない裏話なんかで親しくなる。お互い砕けた話をする程度の仲になっていき、頃合いを見て、捜査会議の話をした。実は最近、これは無差別の犯行じゃないのかもって疑い始めてる。詳しくは言えないんだけど、被害者宅に共通点がなくもないんだ。これはオフレコで頼むよ。
 次の日、スクープとして出された記事を見てエドワードは確信した。犯人はこいつで間違いない。エドワードはその席で、どんな共通点かまでは言わなかった。目的の実現が迫り興奮していただろう犯人は、自分が「答えを知っているはずがないこと」を忘れてしまったのだ。あるいは、その程度の取材力はあると思ってもらえるだろうと、油断をしたのかもしれない。いずれにせよ、エドワードに疑われているとはつゆとも思っていなかったらしい。
 あとは着々と状況証拠を拾っていき、家宅捜索の令状を取るだけ。犯人が絞れれば足取りを掴むのは容易い。正社員契約のない不安定な身分、しかも上司には侮られていて、ろくな取材を回されない。自分の能力に誇りのあった犯人は、なんとか実力を認めさせようと、自ら起こした事件のスクープ記事を出すことを思いついた(その時点で矛盾があることに、彼は気づかなかったのだろうか?)。被害者宅に分かりづらい共通点を仕込んだのはそのためで、某グループをターゲットにしたのは、かつて自分を書類審査の時点で落とした企業だったからだ。
 私はサンドイッチを食べる合間にネタバラシをする彼を見ながら、今更気づかされていた。本質的に彼はワンマンなのだ。つまり、彼には我々と、「一緒に仕事をする」気はない。このような読みや計画のほんの一部さえ私たちは共有されていなかった。信用してるとかしてないとかじゃなく、彼は他人と共同で仕事をするタイプの刑事(デカ)じゃない。
 では何のために私たちとコミュニケーションを取っているのか。邪魔されないため、なんだろう。
 だから私は彼のことを「エディ」と呼びはしないのだ。彼が私たちに求めていることは、本当に親しくなることではない。ただ悪意や敵意をもって足を引っ張らないでくれたらいい。そのための剽軽な振る舞いや軽口は、私には必要ない。そんな気を遣われなくとも私は嫌がらせをしたりしない。
 あなたの提示する「エディ」という人格に、私は“参加”しない。
 意地のようでもあり、目配せのようでもある頑なな苗字呼びに、彼が気づいているかどうか私は確信を持っていないが、考えるまでもない気はする。露骨と言えば露骨な態度だ、——それに。
 私が彼を苗字と階級で呼ぶ時、彼は呆れたように肩をすくめつつ、ほんの少しだけ、本当に、楽しそうに笑うのだ。唇の端を、片方だけあげて。


 雨が降っていた。急な雨だ。いつもの霧雨とは違う、シャワーのように重い雨。
 今日は傘を持って出なかった。明日も着ていく仕事着が、濡れそぼってしまっては困る。ひとまず地下街を通って馴染みのレストランで雨宿りしよう。そう思い、普段は金曜にしか立ち寄らないその店へ出向いた。アンダーグラウンドの出口からほど近い店の軒下へ、顔を下げて、一目散に駆けた。だから気付けなかった。すぐそばに知り合いがいたことにも、彼がとても気まずい状況にあったことにも。
 雨が遮られたのを頭皮に感じ、顔を上げた、まさにその時だった。道路を跳ねる雨音に混じり、それでもパン、と音が鳴った。誰かの頰が張られるような。
 視線の先に隣の店。同じく軒下で雨を避けている男女が一組。男のほうに見覚えがある。誰だか分かった刹那、彼が、張られた頰の反対側で密かに口角を吊り上げた。
 ひどく意地悪な笑みだった。彼の悪意を、私は初めて見た。
 女性はそのまま踵を返し、雨の中を走り出る。程なくタクシーを捕まえて涙を隠すように乗り込んだ。私が呆然としていると、とうとう彼と目が合ってしまう。彼は一瞬驚きを浮かべ、すぐに気まずさを取り繕う、あるいはそのように装った笑みで、私に向かって声をかける。
「やあティルダ、ひどい雨だ。君も軒下で雨宿り?」
「あなたは、」少し、息を継ぐ。「雨宿りって様子じゃないけど」
「あは、やっぱ見られた? 参ったな。お察しの通りいまフラれたとこ。ねえ君、もしかしてお暇なら、僕の相手をしてくれない? 予約した席が空いちゃったから、お店に申し訳なくてねえ」
 事の行く末はきっと分かっていただろうにそんなことを言う。予定外の事態なら、あんな微笑は浮かべられない。
「構わないけれど。……雨が止むまで」
「ありがとう! さながら君は、今日という夜の救世主だな。ヴィーガンじゃなかったよね? 肉料理なんだけども」
「平気。ラムじゃなければ大抵。お代は、」
「何をおっしゃるやら! ディナーに付き合ってもらうだけでいい、ってかもうカードで払っちゃってるし」
「そう。なら、愚痴でも聞きましょうか」
 目を丸くする。「あは、僕の?」
「おかしい?」
「おかしかないけどさ。女の子にひっぱたかれるような別れ方した男だぜ、僕が十割悪いだろうって思うんじゃないか、とね」
「どちらかだけが一方的に悪いなんて話、滅多にない。第一だとしても関係ないわ、私は彼女の知り合いじゃないし」
「……なるほど、それもそうだ。君の考えは単純明快でいい、……甘えるよ」
 厚みのある瞼を伏せて、彼は小さく肩をすくめた。間をおいて呟かれた言葉は、普段の彼の声音より幾分か低く、静かだった。


 もうこれで五杯目だというのに彼に酔いの兆しはない。いや、兆しくらいはあるが、彼は自身の酔いの程度を調節しているような気がする。管理された酩酊など酩酊とはとても言えない。それでも、例えば事件の解決祝いに、署の皆で囲む呑みの席と比べて内心をさらけているように見えるのは私の錯覚だろうか。これもまた、彼の演出なのか。
「結局ね。僕に惚れてさ、ポーッとのぼせ上がるようなコは、全員頭がどうかしてんだよ」
 分からない。やっぱり酔っているの?
「でも、貴方、……往年のアラン・ドロンもかくやという顔をしておいて、それはちょっと厳しいんじゃない」
「アラン・ドロン? ふ、はは! 辞書の美男子の欄に載ってそうな名前だけれどお間違いない? そんな褒め言葉に頷いたら、人格を疑われちまう」
 辞書に載ってる? まさにじゃない、——という言葉は呑み込む。彼の顔立ちは、典型的な「ハンサム」だ。私は署に彼が配属されて初めて顔を合わせたとき、一日署長でも来ているのかと思った。
 でもどうせ言うなら、アーミー・ハマーかしらね。
「結局顔か」ジョッキを口に運びながら、彼は言う。「正直、美醜ってよく分からない。いや美男美女は見りゃ分かるけどさ、それにクラッとくるっていうのは良く分かんないんだよね、僕」
「美形に惹かれるというのは、本能的なものでしょう。多かれ少なかれ大抵の人は持っている感覚なんじゃない」
「遺伝子がどうこう、ってヤツかい? 生存に有利な」
「そういう話を聞いたことがあるわ」
「だけどさ……この子かわいいな、好きだな、ってグッとくるのって、顔は関係ないじゃない? ちょっとした仕草とか、言い回しとか、そういうさ」
 私は少し目を見張る。彼がこちらをふっと見る。
「いえ、……案外、情緒的なことを言うのね」
「恋多き男って? 僕は毎回ちゃんとかわいいと思ってんだぜ、誰に対しても。惹かれなきゃ声はかけないよ」
「じゃ、『恋が多い』のは間違ってないのね」
「ん、」彼はジョッキを置いて、口元に手をやり、それから笑う。
「あは、確かに。言われてみれば。ホイホイ恋をしすぎなのかなあ、僕」
 予約していたディナーは一時間ほどで終わって、いま、二件目のパブにいる。そこそこ値の張りそうなレストランでの食事は美味しかったけれど、お互い、ああいった空気を楽しめるタイプではなかったようだ。パブに移ってビールを呷り始めてやっと人心地つき、そうした気の緩みからか、いつもより口が滑る。
「私は逆に、奥手すぎるかも。足して割ったらちょうどいいか」
「確かにねえ、君は堅実そうだ。それこそ僕みたいな男とは遊ばないだろう?」
「いやってわけじゃないけど、そうね。貴方の言うように『堅実』なんだわ」頭に過ぎりかけたものを、振り払う。「遊びがない、というか」
「一晩きりのお遊びとかは、しない性質(たち)?」
「まあ、そうね」
 雨が降っている。“妖精が通る”と、鼓膜に雨の音が届いてくる。一向に止む気配はない。
「君のボーイフレンドになるのは」彼は小皿に入ったピーナッツを、指の腹で割りながら、尋ねる。「たとえば、どんな人なんだ? あんまり想像できないんだけどさ」
「……直近の彼氏は、料理人だった。ホテル付きでなかなか腕のいいシェフ。と言っても、まだ下っ端だけど」
 私は都心に高層ビルを構える、高級ホテルの名を口にした。夏に別れた彼氏はそこで修業中のシェフ見習いだった。互いの休日が重なった日には、私に料理を振舞ってくれた。彼の作る料理はなるほど洒落てはいたがどこか素朴で、その決めきれない感じが私は好きだった。攻めきれない感じが。冒険できない、感じが。
「ティルダ?」
 呼びかけられ、顔を上げる。
「大丈夫? いやな話題かな」
「いえ、いいの。ちょっと引きずってるだけ」
「そっか。よほど好きだったの?」
「……いえ」
「?」
「たぶんね、好きなわけじゃなかった。……好きではなかったのだと……分かってしまって」
 誤魔化すようにビールを呷る。殊の外、アルコールが回る。
「おっと、ティルダ? ヤケになってない? そういう酒は良くないぜ」
「ええ、そうね。普段はしない」
「そうだろうとも。キルフェアリー署の頭脳、ティルダ・アーリユースは、常に堅実で真面目で熱心——」
 音を立ててジョッキを置く。彼が動きを止めた。
「……マジで大丈夫? なんだったらそろそろこの辺で、」
「エドワード」
 短く、くっきりと声を投げれば、彼はそっと居住まいを正して、整った顔から表情を消す。私の様子を観察する目。顎に手を当て、指を折り曲げて、その向こうに唇を隠す。視線に小さく息を呑み、けれど私は続く言葉を吐く。
「私は、そう思われたかった。私自身でもそう思いたかった。だからそういう風に振舞って、でも、なんだか、うんざりしたの。うんざりしちゃったの、そうすることに」
 彼は黙っている。
「自分の生き方を自分で決めて、制限することに。それに他人を付き合わせることに。そういうことをしてきた自分に。呆れて、いやになった。いやになって、だから、……あなたは、」
 ふと、気づいた。ああ彼はそれが嫌で、……「他人の思う自分」像に付き合わされるのが嫌で、だからわざわざ仮面をかぶって、あらかじめ提示していたのだろうか。「こういう人だと思えばいいさ」と。「どうせそう思いたいんだろう」と。だとしたら私の望んでることは、今まで私がしてきたことと同じだ。他人を勝手に枠に当てはめ役割をこなすことを望んでる。別れた彼氏を堅実な人だと、冒険しない無難な人だと、決めつけていたように。彼自身がどんな人かじゃなくて、自身にとってどんな人であってほしいかと、そんなことばかり、考えていた今までの私と——
 彼はしばらく同じ姿勢のまま、黙って私の表情を見ていた。やがて頬杖を外して、重心を変えると、またピーナッツの小皿に手を伸ばす。片手であっけなく殻を割り、中の実を、口へ放り込む。
「いいよ」軽い返事だった。「やっぱり、君は真面目だ」
「……そうかな」
「気がついちゃって、真面目で、真摯で、考えすぎで、余計な苦労をする。自分でもなんとなく損をしている気はしてるけど、それくらいは人として当然のことと思っていて、だから釈然としないながらも、そういう生き方を君はやめない。多分やめらんないんだよ。持って生まれた性分なんだ。俺はさ、」
 自身の指先に落ちていた目が、不意にこちらを向いた。鮮やかな碧眼。
「好きなんだよね。君みたいな、ぶきっちょな人が。……いじらしくて」
 彼は私を庇うみたいに、本音だよ、と小さく笑った。
「君自身が言ってたじゃない。多かれ少なかれ、みんな他人に何かしらを期待して、押し付けている。僕だって君は真面目で不器用でそんなところが可愛いななんて思っていたわけだから、君本人に言わせたら、そんなんじゃないと思うこともあるでしょ。僕にだってそりゃ、『そんなんじゃねえよ』と思うことはある。でも、まあ、そういうの全部、まるっきり間違いってわけでもないしさ。そもそも自分がどんな人かなんて、自分にだってわかりゃしないだろ」
「ねえ、」私は、彼がする私のための弁解を遮って、言った。
「さっき、……『いいよ』って、言わなかった?」
「おや」大げさに両の眉を上げる。「そういうところは意外だねえ。僕がいまタラタラ語ってた話、ほとんど聞いてなかったってことかい?」
「だって私、まだ何も、」言いかけて、こらえる。「愚問ね。あなたに対して聞くことじゃない」
「どうだか。僕の盛大な勘違いってこともある。それならそれで、何事もなく、水に流してくれたらいい」
「心にもないことを。……ここまで言ったら、もう、口に出したも同然でしょ」
「なあ君」
 彼はポケットから財布を取り出し、中から紙幣を二、三枚抜いて、その間私と目を合わせることはなかった。合わせないままに、彼は続きを継ぐ。
「僕はどの段階で手のひら返されたっていいから、気が変わったらすぐ言えよ。後悔先に立たずなんだからさ」
 空の小皿を重しにして、彼は代金をテーブルに載せた。外を見遣る。幸いにも、雨はまだ強く降り続いている。彼が大きな傘を手にした。
「やあ、全然止まないねえ。また僕の傘で雨宿りするかい?」
 私は、少し澄まして答えた。「あなたの家って、ここから何分?」
 一瞬、間をおいて、彼が肩を揺らす。立ち上がり傘を開く。
「もうすぐそこ、——と言いたいとこだが、だいたい十分はかかるかな。つまり君の歩幅に合わせれば、びしょ濡れになるには十分ってことさ!」


 濡れたジャケットをコート掛けに投げ、シャツのボタンを外しながら彼は自室へ足を踏み入れた。私も脱いだジャケットを掛けて、後からそっと続いていく。普段の彼と同様に一分の隙もない部屋を想像していたけれど、なかなか、大胆な散らかり方をしている。服は投げっぱなし、コップは出しっ放し、辛うじて空き缶や汚れた食器は片付けられているが、そのほか細々としたものも所定の置き場にしまわれておらず、そこらに放っておいているようだ。何かに使ったらしいハサミが、テーブルの端に転がっている。
「つい先日、清掃が入ったばっかだからそんな汚れちゃいないと思うが」脱衣所のドアを開けて、彼は言う。「散らかってるのは間違いないな。だらしなくて申し訳ない」
「清掃? このビルの?」
「や。二週間に一回、サービスを頼んでる。留守の間に来てもらってね。そうでもしないとあっという間に人の住めない部屋になるんだ、僕は足の踏み場がないほどごちゃごちゃしてても平気だけど、みんながみんなそうってわけじゃないし」
 身の回りのことに頓着しない性格なのは、意外だった。濡れたジャケットを雑に投げ捨てた時点で少し驚いていたが、多分、取り繕おうと思えば、彼は難なくこなせるんだろう(実際、職場で彼の仕草を乱暴に思ったことはない。席に着くときはジャケットのボタンをきちんと一つ外すし、立つときはさっと留め直す。そうした所作はいつも完璧だ)。散らかったままの自分の部屋に私を招いたこと自体、ある種の目配せなのかもしれない。
「僕は、シャワー浴びるけど」脱衣所から顔だけ見せて、尋ねる。「君は?」
「後で借りるわ。……ありがとう」
「ん。じゃ、お先に失礼」
 いくつかの物音がして、やがて、シャワーが流れ始めた。私は部屋を見回し、刑事としての病癖か、細部を観察し出してしまう。広い部屋だ。持て余している、と道中つぶやいていた通り、部屋の散らかり具合に比して家具の類はずいぶん少ない。服もさほどはないらしく、床やソファに広がっているものを除けば備え付けのクローゼットで足りるらしかった。道路に面した側はガラス張りで、雨に濡れたキルフェアリーの街並みが見渡せる。どうやら、小降りになってきたらしい。
 リビング中央にローテーブル。向かって左がダイニングキッチン。右側に白い革張りのソファがあり、ソファの背面は飾り棚だ。ほとんどが空のままだが、申し訳程度に本が並べられているスペースもある。それからCD……近寄ってタイトルを確認すると、本は演劇作品が多い。シェイクスピアが数冊に、サミュエル・ベケット、見慣れぬ日本の作家のもの、それから『サロメ』。CDは主にロックで、ニルヴァーナがあるのが意外だった。もっと、気取った音楽を好む人かと思っていた。ブラーとか。
 耳を澄ます。まだ水音が響いているのを確かめて、私はドアが開けっ放しの寝室へと足を踏み入れた。
 リビングからも見えていたクローゼットは、片側が半開きで、朝の支度のままのようだ。シーツはそんなに乱れていない。シーツも枕カバーも白、ブルーグリーンの毛布は起床時に勢いよくめくられたのだろう、きれいな直線で折られている。一人暮らしのはずだがベッドはキングサイズで、生活の有り様がうかがえる。
 部屋の奥側にサイドテーブルがあり、卓上ランプと、ミントタブレットのケースが置かれている。黒い外装を見る限りかなりハードなフレーバーだ。テーブルの下段は引き出しになっている。さすがに、ここを漁るのはなと、思いつついちばん上の引き出しを開けてしまうと、自動車メーカーのノベルティらしきメモ帳やペンと一緒に、銀色のパッケージが入っていた。何かがパウチされたようなごく小さな、薄い包み。手をのばしかけてはたと気付く。少し、頰が火照る。
「ティルダ」
 弾かれたように振り向くと、寝室のドアの枠に手をかけて彼がこちらを覗いていた。
「ごめんなさい、つい。出来心で」
「構わないよ。しかしそんなセリフが刑事の口から出るというのは……」
 含み笑いが漏れる。彼は下半身をタオルで覆っているほか、髪を別のタオルで拭っているだけで、何も纏っていない。視線を彼の顔から外さぬよう努める。
「まるで万引きね。しかも現行犯」
「盗んじゃいないから未遂だろう? 厳重注意でいいさ」
「なるほど」
「僕、髪乾かしてくるからさ」彼が戸口を離れた。「家宅捜索を、どうぞ?」
 その背を見送り、恥ずかしくなる。色めいたことを知らぬ歳でもないのに、これでは十代の娘のよう。
 今更ながら、職場の同僚とこうした羽目に陥って、何も支障はないのだろうかと考える。恐らく無い。彼は体を知ろうが知るまいが、きっと今まで通りの態度を崩さない。私は気恥ずかしさなり気まずさなりを多少感じるだろうけれど、それを周囲に悟られるほど幼くもあるまい。事の前後で大きく変わることは何もない、はずだ。だが事前に立てた予測など、どこまで通用するというのか? 彼の裸身を見ただけで動揺しているのに?
 ドライヤーのスイッチが入ったようだ。部屋を見回すと、クローゼットの横の壁に、鏡が一枚掛けてあった。近寄って、覗き込む。口紅がほとんど落ちている。今さら直しても遅いが、それでもハンドバッグからあぶらとり紙を出し、肌を押さえた。用済みの紙を折りたたんでバッグの内ポケットへしまう。そういえば、最後に毛の処理をしたのはいつだったろう。カミソリは借りれるだろうか。
 ドライヤーの音はすぐ止んだ。心を、決めなければならない。


 顔も、体も、あんまり見事で、現実味がない。何かそうしたビデオでも見ている気分だ。背面のガラス張りの壁には薄いカーテンが引かれているが、雨上がりの月は随分と明るく、灯りを消したままの部屋でも彼の姿は目視できる。
「上に乗るのはなあ」私に被さりながら、彼は小首を傾げた。「僕、重いから」
 私は彼の胸を、腹部を、想像以上に逞しい腕を、それとなく眺めて、口を開く。「少し起き上がる?」
「君の楽な姿勢で。きつくなったら動いてくれれば、合わせるよ」
 彫刻というのとは違う。厳かな触れ難さがあるわけではない。鍛えられ、整った肉体は、見つめていると胸がざわめき、そわそわと落ち着かなくなる。逃げるように目を移しても「辞書の用例のような」顔があり、本能に忠実な私は狼狽し、同時にうっとりとする。けれど実際の生活の中にこんな瞬間が訪れることは、滅多にないのだ。滅多にないから、なんだか信じられない心地で、確かな感触を得られずにいる。例えば銀幕の中のスターと夜を共にすることがあったら、同じ心境に陥るだろう。
「心ここに在らずだね」
「……あなたがあんまりきれいだから。嘘みたいで」
「そうかなあ。僕はあのティルダ・アーリユースが、」言って、私の裸の胸の、谷間につつと指を滑らす。
「僕の下でこんな無防備に寝転がっているのかと思うと、だいぶ、ゾクゾクするけどね」
 自分の指とは違う、ざらついた肌の感覚が、ハッと目のさめるほどに現実で、私はようやく我に返った。夢でも映画でもない。生身が触れている。
 自覚すると同時、小さなパニックに陥る。薄っすらと感じる恐怖、それを呑み込んで高まる期待。彼の大きな手が私の腕を押さえる。違う体温。背筋が震える。唇、舌、背、脚、そして、——異なる存在の輪郭が、あらゆる接触が、予感されて、鼓動が強く打たれ始めた。ふと、ついた息が、熱い。
 空いたほうの手の人差し指を、彼が私の唇に置いた。
「まずは、ここから」顔を傾けて、ゆっくりと耳元に寄せる。「……構わない?」
 体のどこかが小さく跳ねた。思わず、こぼれそうになった声を、喉の奥でこらえて頷く。また、自分が遠くなる。いえ、違う。遠くなるのじゃない。
 私は薄れはじめているのだ。熱に浮かされて。私の、内側で。


 私が出勤前の身支度をほぼ終えてしまった頃に、ようやっと、彼は起きてきた。バッグを肩にかけ、平気なの? と聞くと、彼は下着姿のままで出かけたあくびを噛み殺し、
「だってさ、君と同時に出勤じゃ、いろいろ問題あるでしょう。このまえ残業した分だ、遅出させてもらうさ」
 と言った。そんな単純なことにさえ思い至らなかった私は、頰に熱さを感じながら「そう」とうべなって、部屋を出た。
 大方のことは予想した通りで、人生、なんとでもなるものねと、拍子抜けしたようなちょっと得意になるような、浮ついた気持ちで私は業務に励んだ。真面目に、律儀に、堅実に。リスクは犯さない、冒険しない、……そうした生き方が今後ガラッと変わることもまあなかろうが、少しだけ楽になった気がする。私は何を恐れていたのだろう。そして、何を誇っていたのか。
 別れ話を切り出したのは彼のほうだった。ホテルで働くシェフの。近々、ホテルをやめて、仲間と一緒に店を出すつもりだと。いつか自分の店を持ち、好きなように料理を作って暮らすことが自分の夢で、これはその実現への第一歩なのだと。嬉しそうに。
「でも、」と、私は言った。「まだ、修業は途中なんでしょう? スキルを身につけてからのほうが……」
 すると彼は皮肉に笑った。「そう言うだろうと思ったよ、君は」
「……間違ったことを、言った?」
「いいや。君は正しいよ。堅実だ。そうするのが一番賢くて、安全なんだろう。だけど、下積みの間に事故にあって、一生がそこで終わることもある。もちろん店を出したからって成功するとは限らないし、失敗するかもしれないよ。でも、今できるなら、今やったほうがいいと思ったんだ」
「そう。……それも、いいと思うわ」
「あのさ。言うと思ったって、言ったろ」一旦、水の入ったグラスに口をつける。唇を舐めて、また開く。
「どういうことかっていうと、——君は、俺の人生の転機をきっと歓迎しないだろうと思ったんだ。俺の夢も、俺の生き方も、祝福してくれないだろう、この話をきっと喜ばないってね。君のことは好きだけど、俺、自分の人生を、……なんだろうな、……肯定してくれない人と、一緒にいるのは無理だって思った。ただの友人ならいいけど、一緒に、生きてくのは無理だなって。……だから、」
 別れてほしいと言ったんだ、と。グラスをおいて、目は合わせずに。
 憂さ晴らしのような説教を、完全に素直に受け止めて打ちのめされるほど、私は善良ではない。ただ彼の言うことに一理あって、彼が感じていただろう憤懣が、筋違いなものなわけではないことは私にもよく分かった。平気なふりをしてみても、自分の人間的な欠陥を指摘されるというのは、応えるものがある。
 彼はいい人だったし、無くなるのは惜しい縁だったけれど、そのことに対するショックは、さしてなかった。二ヶ月ほど頭の片隅を占めていたのは彼に言われた言葉で、結局、別れたあとでさえ、私は彼がどんな人かということに興味はなかったのだ。彼が何を考え、何を思い、何を目指していたのか。気にも留めなかった。自分がそういったことを「気にも留めない人間である」と言われたこと、それが事実であること、そちらのほうがよほど重要だった。
 幸い今朝からもう、自己嫌悪は落ち着いている。完璧な人間ではないが、言うほど悪い人間でもない。私に限らず誰しもが。
「おはようティルダ」
 昼休憩に出向く店を考え始めていた私に、遅れて出勤してきた彼が声をかけた。私は椅子を回し、正面を向いてから応える。
「あらおはよう、スティールバード警部補」
「やだなあ。エディって呼んでよ」
 お決まりのセリフを口にして席についた彼に、遠くから同僚が絡んだ。
「ようエディ、遅いお出ましだな」
「まあね。昨晩いろいろあって」
 返事を聞いて、片眉をあげる。「へえ? なあおい、“彼女の髪色は?”」
 私は不自然にならないように細心の注意を払い、無表情のままパソコンの画面を凝視していた。隣で彼が、んー、と考える間をとってから、肩をすくめる。
「そうだな、たまには秘密にしよう。教えちゃうのがもったいない」
 男たちが囃し立てる。画面に反射した、自分の顔がふと目に入る。

 ああ、誰も見ていなくてよかった。これでは、十代の娘のよう。

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エドワードと同僚の女性。今年の秋ごろ書いてた話。
2019/12/31:ソヨゴ

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