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せめて100年, の経営の話を読んだ


せめて100年~ の言葉は、昨年初めに東京都現代美術館でみた皆川明さんの「つづく」で初めて知ったブランドのテーマ。この展覧会をみにいったときには、会場のはじまりにある壁一面の色鮮やかな布に心が動いて、何度もこの前を行ったり来たりした。

連休に入る前に、早朝の本屋さんで手にした本がこちら「Hello!! Work ~せめて100年。 ミナペルホネン 経営の話」。 オフホワイトの表紙に、すこしくすみがかったブルーの帯でわずかにトップにレモンパイクリームのような黄色、しおりになる本についた栞紐は2本あり、その水色と黄色。ページを進めるなかで気持ちが上がる。

ミナペルホネンの製品にはじめてであったのは、町中にある小さなセレクトショップだった。そこで、皆川さんご自身を知るオーナーの方に服作りのお話を伺って、最初に手にしたものが"tambourine" と名付けられた水色のドット柄の小さなバッグ。それから、時折、ミナペルホネンの店舗(だいたい路面店なのです)があるとわざわざ足を延ばした。

ミナペルホネンのお洋服は、正価販売で9割(アーカイブで売れるものがうち1割)、残りの1割が”ピース”といって残り布からバッグなど別の形で販売しているそうです。アパレル製品では正価販売は5割であとの半分はセール販売というからこの結果としての数字は驚くべき数字です。 
ファブリックを椅子にあしらったインテリア製品も扱われていますが、これも”ピース”の発想なのだそうでそう。さらに、椅子に使われる布は擦り切れたら張り替える。だから、摩耗するのに5万回つまり20~30年経るような布を職人さんと一緒になって開発して、布を表と裏、二重にした。使い込むと表面の糸が擦り切れて裏の布が見えてくるようなファブリック。  この椅子、発表されたときに見に行ったことがある。確かに高い。けれども、この物語を聞いたら、(あぁ、一緒に年輪を重ねていきたいね)、と思う。

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1枚の布をデザインし作るところからはじめるという世界でも稀有なものづくりを洋服の世界でやっている。 お金についての考え方、「お金は、あくまで道具であり、誰かと何かを交換させるツール。お金をより良く循環させることで、自分の労働がよくなっていき、一緒に仕事をしている人たちの仕事もよくなっていく... お金を通じてだれかを支え、お金によって誰かに支えられている。より良いものが循環することで、嬉しいという感情が循環する。作りての思いと使い手の思いが循環する」 そして、この手前に紡がれていた言葉。「手に入れたものより、体験した「記憶」の方が人生にとっては大切なことで、その人の人生を決めている。人は、起きている時間の半分くらいは働くことに費やすわけですから、自分の労働に喜びを持てて、生涯をかけて良い記憶を作っていく方が、ずっと充実感がある」

ものづくりのこと、仕事への向き合い方、どう過ごすか、思考について、良いデザインとは何か? この本は、1度目は最初からたどっていったけれど、どこから読んでもいい。27歳のときに「せめて100年。」とブランドを立ち上げられた、思考のピースを体感させてもらって勇気をもらう。 これから先、何度も手にする本になると思う。 

もう少し落ち着いたら、まずは"call" を訪ねよう♪

#読書感想文 #優しい気持ち #記憶 #循環

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