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マーケティングのフレームワークは、信じながら疑え!個人や事業を急成長させる秘訣

LIFULLの社内大学「LIFULL MARKETING SCHOOL」の第一回目講義の内容が公開されました。マーケターとしての”センス”を磨く手段として、フレームワークを活用する術が語られています。非常にユニークかつ中身が濃いので、向上心のある方はぜひ読んでみてください。

また、そもそも「LIFULL MARKETING SCHOOL」とは何か?なぜ開始したのか?については、こちらの記事で詳しく書いています。

今回私は、「LIFULL MARKETING SCHOOL」の校長としてではなく、個人として、非公式に第一回目講義の裏メニューを書いてみたいと思います。

テーマは、フレームワークを習得した先で、それを進化させたり、新たに開発して成長を遂げること、つまり守破離でいう「破・離」についてです。

第一回目講義の内容でも触れられていますが、剣道や柔道、囲碁や将棋でいう「型・定石」のように、マーケティングのフレームワークも時代とともに受け継がれ、進化していくものです。これをもう一つの視点として押さえたいと思います。

フレームワークは絶対ではない。むしろディスラプトすべき

私は日々、AISASモデルやカスタマージャーニーなどのフレームワークを意識的に利用し、部の総会で話したり、メンバーの企画にレビューしたりしています。また、メンバーにも正しくフレームワークを活用することを求めています。「LIFULL MARKETING SCHOOL」でも一番初めの講義にこのテーマを持ってきているほど、育成の土台としても重要だと考えています。

その一方で、フレームワークは万能ではなく、使い方によっては、むしろ思い込みや、独創的な発想を阻害する(=誰が考えても同じような答えになる)可能性があるものとして、同時に疑いの目を向けています。そして、そういった慣れ親しんでいるセオリーのようなものを突き破って「脱構築」していくことで、新たな成長を遂げることを望んでいます。

なぜ、フレームワークを受け入れる一方で疑いの目を向けるのか?以下3つの問題意識を持っています。

フレームワークの3つの問題意識

1、テクノロジーの進化と、それに伴う生活者の変化が激しく、賞味期限がどんどん短くなっている。
2、プロセスばかりに囚われる。仮に満場一致の結論が空気としてあったとしても、プロセスを省かず、後付けの説明のためだけに作業時間をかけてしまう。

3、担当者の経験学習の練度や現場の人間関係など、フレームの考慮しきれない領域を見落としがち。

特に1つ目について。とあるマーケティンカンファレンスの参加者アンケートによると、「デジタルな顧客体験を統合したIMC設計」など、方法論が確立されていない領域に関心が集まっていることが判明。ここは正にフレームワーク化されていない「寄り所のない領域」。そこにどう立ち向かうのか?という点は、マーケターとして重要なテーマであることは間違いありません。

先人の知恵から学びながらも、それはあくまで過去のある地点での話。革新を起こし、より豊かな社会を作っていくためには、過去の方法論を盲目的に崇拝するだけではなく、時には真っ向から対立したり、徹底的に解体して再構築するスキルや気概が必要ではないかと思います。

例を2つ挙げます。

参考事例① 無印良品はなぜ生まれたのか?

1980年、海外ブランドブームの時代。ロゴマークが付いていれば商品は高く売れるという“ブランド至上主義”に疑問を投げかけたのが無印良品。

「ロゴマークだけがひとり歩きをしてしまうのは生活者の感覚から離れている」
「ロゴマークがなくても生活者は価値を感じる」

参考書籍:『セゾン 堤清二が見た未来』 鈴木哲也著 日経BP

無印良品は、結果的にブランド構築に成功しています。しかし、当時ブランド構築のセオリーだった「ロゴマーク」を否定し、アンチブランドの思想から出発していることはあまり知られていません。

参考事例② LIFULL HOME’Sのカスタマージャーニー解体

(この事例は講演や取材記事などでよくお話しすることですが)

「あらゆるLIFEを、FULLに。」
一人ひとり全く事情が違う暮らしや人生の悩みに、One to Oneで応えることが、私の所属するLIFULLの使命です。

その実現手段として、私がこれまで絶対視してきたフレームワークが「カスタマージャーニー」でした。しかし、それはユーザーの行動をパターン化するという、実はOne to Oneとは矛盾する作業が内在することに、ある時気がつきました。

カスタマージャーニーの解体結果 :「パターン化」して「汲み取る」
本当のOne to Oneマーケティング:「パターン化」ができないから「聞き取る」

巷で推奨されてきたOne to Oneマーケティングという幻想からむしろ脱却すべきと考え、LINE公式アカウントを立ち上げ、双方向コミュニケーション開発に乗り出します。この出来事は、自社のビジョンと真摯に向き合うことで、結果としてこれまで自分自身が信じてやまなかったフレームワークをむしろ足枷として全否定することに繋がりました。そして、次の成長ステージに入ることが出来た事例です。

まとめ

ビジネス、マーケティングの方法論に絶対はありません。過去の手法を崇拝し、追いかけるだけでなく、そこに錯覚や呪縛が潜んでいないか目を光らせ、固定観念から解放されることで、はじめて手にする成長があるはずです。

変化の激しい今の時代だからこそ、フレームワークの「破と離」が求められるのではないでしょうか。

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今後、私の個人アカウントのマガジン「マーケティングの果てまで」では、生々しい実学・実例をベースとした「マーケティング理論の嘘と本当」について、どんどん書いていこうと思いますので、更新をお楽しみに。

また、LIFULLの菅野としては、LIFULL公式noteのマガジン「LIFULL HOME'S MARKETING」の総監督的な立ち位置をやっています。「LIFULL MARKETING SCHOOL」で実際に行われた講義内容の公開や、LIFULLのマーケターとして活躍している多くのメンバーから、様々な話題を発信していきたいと考えていますので、ぜひフォロー頂ければ幸いです。

▶︎LIFULL HOME'S MARKETING 公式アカウント
https://note.com/homes_marketing/followings

▶︎LIFULL HOME'S MARKETING マガジン
https://corp.lifull.com/m/md05b38f01ac1

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