【詩】気球想像説

海原にしぼんで落ちた風船よ
浮きあがれ
 
空に浮かびあがろうとすること
それはおそらく難しいことではない
 
空へつづく空色の通路を探しつづけること
空深く響きわたるみえない音楽を信じつづけること
 
青空は想像されて現れる
気球は想像されて浮力を得る
 
二重の虹の下に雲と交わる気球を想え
雲と共に浮遊する鉛の飛行船を想像せよ
 
あるかなきかの透明なか細いロープをたぐって
わたしはわたしの気球をあげよう
 
青空は希求されて現れる、必ず
気球は希求されて浮力を得る
 
海原に落ちて漂う風船よ
さあ、また浮きあがれ
 
いま、風に乗れよ、鉛の飛行船
いま、風をはらめよ、襤褸の帆船
 
想像せよ、想像しつづけよ、青空を
そして気球よ、青空を、希求せよ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?