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【旅エッセイ】ロストバゲージ経験値0→1

20カ国以上を旅したが、私は運があまり良くないようで、飛行機で荷物が出てこないという経験が2.3回ある。これは不思議で、私よりよっぽど旅をしている人でも当たらない人は当たらないらしい。選ぶ飛行機の質にも依りそうだが、私はそのあたりとにかく運がない。

1回目は忘れもしない、プラハ・モロッコにそれぞれ留学していた大学の友人たちと、オーストリアはウィーンで待ち合わせをしていたときだった。当時、私を含めてみんな留学が終わるタイミングで、ヨーロッパで旅行をして帰る算段だったのだ。

そのときはたしか、ブリュッセルから整備不良か何かで席にまでついた飛行機が飛ばなくて、別の飛行機に乗り換えたのだった。

まず客席にまで座った飛行機が飛ばないのがすごい。飛ぶかどうかわからないのに客を乗せるなよ、と思うのは日本人だからなのだろうか。

まず、飛行機の中でなっかなか動かないなあと思って音楽を聞いていると、英語とドイツ語で放送が入る。そのときは音楽も聞いているしまあすぐ飛ぶだろうと思ってあまり内容を聞いてもいなかったが、これが複数回放送が入り、周りがザワザワしだすと雲行きが怪しくなっているのがわかる。放送では「点検をしていますので少々お待ち下さい」の一点張り。飛行機はエンジンのテストでもしているのか、異様なウイィィィィィンというモーター音がするだけで動かない。
これは不安だ。ほんとに飛ぶのか? こんなにエンジンのテストか何かをしていて、本当に安全なのか? 飛んだあとでやっぱり無理でした、とはいかないのは流石に周りもわかっているようで、だんだん乗客同士も顔を見合わせ始める。そんな中隣のドイツ人らしきスラッとしたおばさまはメガネを掛け、小さな本を読んでいる。余裕があるのは素敵だなあと思いながら暇な私はおばさまを横目に早く飛ばないかなあと機内の様子を伺っていた。

時間は覚えていないがとにかくとんでもない時間待たされた。私は飛行機内だとWi-Fiがつながらないので、待っているだろう友人たちに連絡が取れずやきもき。到着予定時刻をとうに過ぎていたのだった気がする。絶対に心配している…乗る飛行機の番号など伝えていないし、友人たちが私の状況を知るすべはない。CAの人に言って空港に一度戻って電波使わせてくれないかなあなどと必死に考えていた。隣りに座っていたおばさまは本を読み終えて暇そうにしていて、なんだかその光景をよく覚えている。

やっとアナウンスが入り、どうやらこのまま飛ぶのではなく別の飛行機に乗り換えるらしいとわかった。早くおろしてほしかったな…と思いながら、空港に降りたところで友達に連絡を入れ、別の飛行機にどうにか乗り換えてそちらはすぐに飛び立った。

あーあ大変だった、ずっと座ってたしなんだかんだ気疲れしたなあーなどと思いながら到着。昼に着くはずだったのに、この時点でもう夜だった。荷物の受け取り場で待っていると、あれ、いくら待っても荷物が出てこない。これはやったか、噂に聞くロストバゲージか??

とりあえず近くにある受付に向かう。

「あのー荷物来ないんですけど、、」

受付のおばさんはもう飛行機番号を聞きもせず、

「ああ、そしたら次の便で来るから、ちょっとまってたら出てくるわよ」

とのこと。他にも被害者と思しき人は何人かウロウロしており、おばさんの口ぶり的にもどうやらよくあることらしい。今から考えると乗り換えたときに荷物は間に合わせず、人が乗ったら出たのだろう。一気に積んでくれ〜荷物と人はセットだろう!人がついていようが荷物が来なけりゃ動けないではないか!

結局宿についたのは21時ごろだった。空港と街が電車で15分くらいと近くて嬉しかったのをよく覚えている。

Airbnbで3人泊まれるアパートみたいな宿を旧市街にとっていて、友人たちはワインとチーズやクラッカーなどを買って待ってくれていた。やっとこさ会えたときは1年ぶりの再会だったこともあり、もうそれはそれは涙が出るくらい嬉しかったのだった。

ちなみに、5年前の当時からヨーロッパでは民泊は割と盛んに行われていて、すべて家財道具が揃っているアパートに一人2000円かそこらで泊まれるのは感動的だったし、スーパーで食べ物を揃えればキッチンを使ってアットホームなパーティができるので学生旅ではよく使った。ホテルのほうがトラブル時には便利な場合が多いが、慣れていれば十分快適である。おすすめ。

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1日移動で余計にかかってしまったが、ウィーンの観光はなんとかすることができた。

シェーンブルン宮殿はなんというか、規模が大きすぎて、ハプスブルク家よ、それは嫌われちまうよ、という気持ちになった。マリア・テレジアは嫌いになれないけれど。

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他にはオーストリア国立図書館プルンクザールが印象的だった。世界一美しいと言われる図書館。どう考えても貴重なものが眠っていそうである。ちなみに中は思ったより小さい。入れるのは写真で見えている範囲しかなかった気がする。
こういった空間は、大好きなヨーロッパ系のファンタジーを思い起こさせる。代表的なのだとハリーポッターとか、漫画だとカードキャプターさくらとか。

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こちらは、書いている今調べたところホーフブルク王宮というらしい。まったく、ウィーンは皇宮しかないようだ。さっきのシェーンブルン宮殿は夏の離宮、こっちは冬の主宮殿だったという。

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次にウィーンを訪れるときは音楽を楽しみたい。一番はオペラを見たいところ。クラシック音楽の聖地は伊達でなく、毎日何かがやっていることはわかったのだが、いかんせん学生には贅沢すぎたのだった。

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