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巣篭もり生活と毎日の料理 [前編]

夕方5時になったらピタッと仕事をやめ、自転車でスーパーに買い物に行く。急いで帰って夕飯の支度をして、家族で食卓を囲む。
2月の末頃からずっとこの生活を続けていますが、すごく本来的だなぁと感じています。

あぁ、家族っていうのは、こうやってひとつ屋根の下に暮らし、他愛もない雑談を通してお互いの状況を把握し、一人ひとりでは出来ないことをサポートし合いながら、それぞれが充実した日々を送れるようにするための機能のようなものなんだなと、不意に訪れた巣篭もり生活は、そんな当たり前の大事なことを再確認させてくれました。

毎日料理する宣言

翌日からの在宅勤務が決まったその日のうちに、「今日から一切の料理は自分がする!」と妻に宣言しました。

理由は2つあって、これまでの妻と子供たちの生活サイクルを乱すだけの邪魔な存在にはなりたくなかったので、ちゃんと役割を持とうと思ったことがひとつ。もうひとつは、自分たちが作っている料理アプリ(※1)を実際の生活の中で使って試す良い機会だと思ったからです。

もともと料理は好きですが、好きでやるたまの料理と、毎日の料理はまったくの別物です。

やる気の有無に関わらず、やらなければならないものとして真正面から毎日の料理と向き合ったら、これまで気が付かなかった小さな課題がもっと見えてくるはずだし、その感覚が覚めないうちに次のアイデアを考え、試行錯誤を重ねることができる生活サイクルは、理想的なものづくり環境に思えたこともあり、半ば強引に自分が料理担当になったのでした。

おろしあえ

(最近作っておいしかったなめこと小松菜のおろしあえです。)

夫婦の家事の役割分担

在宅勤務中の家事の役割分担は、特に示し合わせることなく、なんとなく決まっていきました。

いよいよ緊急事態宣言が出るのでは?という時期になっても、妻はひき続き仕事に出ていたこともあり、日々の料理や買い物、掃除なんかは自分がメインで行い、妻は夜に洗濯をしたり、細々とした子どもたちの世話をやるようになりました。

そんな分担になってほどなく実感したのは、毎日やるべきことが決まっていて、長期スパンで取り組んだり改善したりするタイプの家事については自分がやった方がよく、反対に、学校からの突然の指示に対応したり、習い事の予定を細かく組んだり、明日や週末の天気を見越して洗濯をしたりといった、臨機応変な対応が必要なタイプの家事は、妻がやった方が良いということです。

これは男女の適性があるのかもしれないし、単に自分たち夫婦の性格がそれに向いていただけかもしれません。いずれにせよ、なんでもっと早くこうしなかったのかなぁ〜?と思えるほどにこの分担はしっくりきていて、お互いに負担を感じること無く、効率よく回すことができています。

たこす

(ある日のお昼に家族で食べたタコス的なやつです。スーパーで買うトルティーヤが意外と高く、うちではごちそう扱いです。)

在宅勤務と掃除

掃除というのは面倒な作業で、だからこそロボット掃除機が売れるんだと思いますが、自分はそこまで嫌いではありません。
掃除機をかけるという単純作業であっても、自分たちが長く住む家の定期メンテナンスのひとつだと捉えれば、そこそこ重要な役割を持っているように感じられるからでしょうか。

掃除機をかけるということは、当然家の中を隅々まで這い回ることになるわけですが、そのおかげで色んなことに気がつきます。

ちょっと移動させた椅子のネジがゆるんでガタガタしてるなとか、そういえば冬の間フル稼働してたこの加湿器、しばらく電源入れてないし、ホコリかぶってんじゃんとか、普段、家と会社を往復しているだけの生活の中にあっては気づきづらく、また気づいていてもつい後回しにしてしまうちょっとしたことを、次々と発見・処理できるので、結果として家のメンテナンスがいろいろと捗り、快適に過ごすことができます。

また、そうやって見つけたちょっとしたことを、思い立ったときにさっと片付けてしまえるのは、在宅勤務の良いところだな〜と、この数ヶ月で何度、いや何十回思ったことか(!)
ゆるんだネジを締めるとか、窓のサッシに溜まっている汚れを軽く拭きとっておくとか、そのときやれば5分で終わる作業です。仕事の合間の気分転換にもなりますし、家がキレイなら仕事も捗ります。

ひやじるてきな

(さば缶ときゅうりと小松菜を細かくして、ごま油と味噌とかで混ぜたやつです。冷汁みたいな感じで、そうめんに入れるとうまいです)

料理のソリューションは、痛し痒し

趣味は料理ですという人がいるように、料理というのは本来クリエイティブで楽しい行為ですが、掃除と同様、捉え方次第では、空いたお腹を満たすためにやらなければならない面倒な作業になりがちです。

食材の調達や使い回しの計画といった、調理とは関係のないところにも頭を使う必要があったり、「家計が圧迫されているのは頻繁に行く買い物のせいかも!」と、勝手に妄想して嫌悪してしまったりと、とにかく毎日の料理には、マイナスなイメージがついてまわります。

それらを緩和・解決するため、世の中には様々なソリューションがありますが、コレさえあればバッチリ!という特効薬はなかなかないですね...。

はるまき

(春巻きは餃子みたいにたくさんつくんなくていいし、揚げなくてもフライパンで焼けばそれっぽくなるので気に入っています。中身もキャベ千とか雑に入れとけばok)

簡単・節約おかずを集めたレシピ本は、毎日の料理をできるだけ安くラクに済ますためのヒントに満ちていますが、どんなレシピを選んだとしても、必要な食材を調達するという作業はなくなりませんし、その中から今日つくるべきものを決めるという、ともすれば調理以上に面倒臭い意思決定は、結局自分でしなければなりません。

ならば!と思い、試してみたくなるのがレシピ付きの宅配食材セット(通称ミールキット)でして、過去に1度だけ試す機会があったのですが、残念ながら自分には向いていませんでした。

頼んだミールキットは、キレイに梱包された食材が、捨ててしまうにはもったいないような化粧箱に入って届き、数日分のバランス献立レシピが付いているだけでなく、効率よく並行作業ができるようにと、複数品の料理をまたいだ調理工程のタイムテーブルのようなものまでついていて、至れり尽くせりとはまさにこのこと(!)と思ったものです。

と、そこまでは良いのですが、それを使って実際に料理を始めてみると、なんだか結構ツライ...。その丁寧な工程表に沿って指示通りに動き続けることに楽しさを感じる余地はまったくなく、ただ淡々と、まるでお料理ロボットにでもなったような気持ちで小一時間、作業し続けなければならないのでした。

ちくわ

(ちくわに小麦粉の衣と青のりまぶしてフライパンで揚げ気味に焼いたやつです。子どもたちは、こういう素朴なやつが好きですね)

食材だけ見繕ってまとめ買いして、あとは適当になんとかする(ネットスーパーなんかを使えば楽チン!)というのが落とし所のように思えますが、つくるものを一通りイメージできるスキルがないと、何を買ったらいいかがわからないというニワトリタマゴのような問題もあります。

また、ハッキリ言って、今そこにあるものからつくるものを決めるのは難しいです。難しいので結局「にんじん レシピ」みたいにググってしまうわけですが、ひとしきりアレじゃないコレじゃないとやって、コレだ!と思うものを見つける頃にはもう完全にやる気が失われていて、冷凍うどんでいいかなという気分になってきます。
これはレシピを検索するのが難しいとか簡単だとかの話ではなく、そのひと仕事を終えなければ料理を始めることができないところに根本的な問題があります。

うどん

(うどんと言えば、自粛中にあまりに暇を持て余した息子が足で踏んでつくったうどんがコチラです)

蛇足までに書いておくと、料理教室には一度だけ通ったことがあるのですが、教室の後に、反省会という名の飲み会に誘われるのが嫌で行くのをやめてしまいました(汗)先生は丁寧で良かったんだけども...。

はぁ〜こうなると、もう、自分がスキルアップする以外に道はないような気がします。
あるものでパパっとできるようになるしかない。


でも、どうやって...??


......というのをずーっと考え続けてきたわけですが、わかってきたことがいくつかあるので、あと2回にわけて(たぶん)それを書きたいと思います。お楽しみに!

※1 :おいしいたべかたチャレンジドリル たべドリ というアプリです。

追記:中編はこちら



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