DXは組織に従う
皆さまこんにちは!
Kaizen Platformのスドケンこと須藤憲司と申します。
日々様々な企業のDXに携わる方々とお会いしながら、DXに関するプロジェクトのご支援をさせて頂いております。
さて、こんなジョークが海外で少し話題になったのはご存知でしょうか?
誰があなたの会社のDXをリードしているか?
CEOよりもCIOよりもCTOよりも、コンサルよりもアジャイルよりも、Covid-19が自社のDXをリードしたと皮肉っているツイートなんですが、どんなに積極的な経営者よりも新型コロナによって世界中のDXが大きく推進された事は間違いないと言えるでしょう。
マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「2年分のデジタル変革が2カ月で起きた」と述べた。
実際に、様々なセクターでDXが進んでいる企業ほど、新型コロナの耐性があるという記事をいくつか目にするようになってきました。
そんな中で、私が実際にDXの推進を担当している方々と話して最近感じている課題感について、今日は書いてみたいと思います。
DXは何か?
未だに、DXってデラックスか?バズワードか?と揶揄する声も沢山散見されますので、しっかりこの場をお借りして伝えておきたいと思いますが、DXは新しい競争戦略の一つだといえます。
今の世の中で、デジタルと無関係でいられる企業は少なくなっていますが、デジタルを活用することで顧客体験に置いて大きく付加価値をつけて差別化できるようになってきています。
つまり、DXというキーワードはこれまでデジタルとは少し距離が遠かった金融・製造・サービス業などの非デジタル企業における新しい競争戦略の事を意味しているといえます。
コモディティ化が進み差別化が難しくなっている産業セクターにおける競争戦略のことをDXと考えていくと非常にわかりやすくなります。
戦略だと考えると、当然企業によってそれぞれやるべき事は異なりますし、答えがあるものでもない事がわかりやすくなります。
DXを戦略の一つだと扱う際に読んで欲しい記事2つ
さて、このようにDXをこれまでデジタルとは遠かった金融・製造・サービス業などの非デジタルセクターにおける新しい競争戦略の事と意味付けすると非常に扱いやすくなります。
ビッグデータやIoTなどのデジタルをフル活用した方法論(手段)で、自社が競争を優位に進めていくために実現していくべき戦略をDXだとすると考えるべき論点は2つに絞られてくるからです。
いつやるか?と誰がやるか?です。
あれ?DXをどうやるか?というHowやDXで何をやるか?というWhatは大事じゃないのかと思った皆さんに、まず理解いただきたいのがこちらの2つの記事です。
DXは実行に移すタイミングと実行する組織と経営能力が非常に重要
この深津さんの記事と後ほどご紹介する冨山さんの記事は、DXに取り組む人および経営者は必読じゃないかなと思っております。
非常に身も蓋もないのですが、まとめで書かれているこの一文で書かれている費用対効果については僕も、事実だと考えています。
「周りが持っていない時期に、自分が持っている」という状態を作らなければならない。みんなが入手したあとに、テクノロジーを導入しても、「コストだけかかるが競合優位性は手に入らない」のだ。(費用対効果と順位が連動する)。
もう一つの記事は「戦略は死んだ」というこちらです。
ここで冨山さんが語っている内容が、切ないくらいにDXの本質を突いていると私自身は痛感しています。
現実論として起きたことは、一つは今まで繰り返してきたように、その企業が持っている組織能力、組織構造では実現の難しい戦い方が求められるので、正しい戦略は現実化しない、あるいは競争相手(典型的には新興企業)に劣る戦い方しかできない。もう一つはいわゆる戦略計画の時間軸(おおむね中期経営計画と呼応する3〜5年くらいのタイムフレーム)よりも速いテンポで環境変化が起きるために、ナイスな戦略計画がすぐ大幅な見直しやピボットを迫られてしまう。結局、戦略作りに時間とエネルギーとお金をかけてもあまり意味がないのである。
ここでアルフレッド・チャンドラーの1962年の著書『Strategy and Structure』における「組織は戦略に従う」という考え方について触れられています。
この考え方は、戦略目的を達成するための手段として組織が存在するという考え方で、企業は刻一刻と変化する環境に対応するための戦略を作り、その戦略を実現するために最適な組織を編成していくというモノです。
欧米や中国企業のように、経営戦略としてのレイオフを選択できる市場環境においてはこの考え方はかなり有効なように思えます。
ですが、組織をそこまでダイナミックに組み替えるという選択肢がない国内においてはイゴール・アンゾフの「戦略は組織に従う」というコンセプトの方が納得感は大きいわけです。
冨山さんが話している通り、現在の組織に合わせ過ぎるDXでは効果が最大化されません。
市場における競争力を意識しながら、自社の組織がついてこれる最も良いポイントを睨みながら進めていく事が非常に重要になってきます。
DXは誰のモノか?
このようにDXは非デジタル企業の競争戦略の一つだと考えていくと、いつ仕掛けるか?誰が実行するか?という事が非常に重要だという事がわかっていただけるかと思います。
そして、DXは組織に従うのです。
DXで実現できる事は、その組織の現実に沿っていきます。
実現できない戦略が陽の目を見ないのと同様に、実現できないDXは陽の目を見ないのです。
だからこそ組織変革とセットにやらないといけないのです。
多くの人に誤解されがちなのですが、DXは決してDX推進担当者やDX推進部署のモノではなく、その企業の全ての人に関わる問題であり、あなたの問題でありわたしの問題なのです。
「どうせDXは誰かがやってくれるモノでしょう?」
と大半の人が思っている組織では、成功確率は確実に下がります。
「この会社のDXの成功は自分の肩にかかっている」
と大半の人が考える組織に、どのように変えていく事ができるか?このDXに対する当事者意識をどう引き出せるか?が戦略の実行の精度に大きく影響を与えています。
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そして、DXは戦略ですから、この実行の精度はDXの成功に大きく影響を与えます。
そして、DXをどうやるか?何をやるか?はこの当事者意識を引き出せるかどうか?という組織の現実論の従属変数となっている事は無視できない事実だと思います。
DXは、泥臭い組織変革が下支えしている
ニューノーマルという環境下で、組織変革とDXを両睨みで進めていく事が求められており、実は各社のDX担当者のお悩みの大半はDXそのものではなく、DXを下支えする組織変革の方が占めています。
「社内にどうやって協力してもらおう?」
このようにDX推進するセクションが孤立してしまうと、誰がやっても上手くいきません。
つまりDXの成功の鍵は、その当該セクション以外の協力体制にあるのです。
ぜひ、この記事を読んで「うちのDX推進部門上手く行っていないなぁ」と思い当たる方は、ぜひ積極的に協力できる事を申し出て頂けると本当に助かると思います。
そして、DXにおける組織変革の側面は、社内における啓蒙活動から日常の問い合わせ対応まで、デジタルとはかけ離れた非常に泥臭い活動が重要になっており、明るく泥臭い事も厭わないチームがこれらの社内のコミットメントを引き出すのに成功している様子が伺えます。
DXといえど、決して格好良い戦略を描けば良いという仕事ではなく、いかに実行していくか?というのが重要だという事を知って頂ければ幸いです。
そして、いかにこの難易度の高い状況を自分事として楽しめるか?が問われているのではないかと感じる事の多い今日この頃です。
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