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「タスク」って何のこと

パソコンを使っていると度々目にする「タスク」という言葉。

IT用語だけでなく、一般的なビジネス用語としての使い方もあるのですが、ご存じでしょうか。

タスクは、仕事・作業・職務といった意味を持つ英単語【task】からきているカタカナ用語です。IT業界では「コンピューターが処理する作業の最小単位のこと」をタスクと呼び、一般的なビジネスシーンでタスクと言えば「労働者が遂行すべき仕事や作業のこと」を指します。

ただし、IT業界におけるマネジメント用語ではタスクのことを"アクティビティ"と呼びます。

混乱してしまいそうになりますが、それぞれその分野を得意としている人たちと会話する時は当然のように出てきますので覚えておきましょう。

ユーザーがコンピューターに依頼する仕事の単位を「ジョブ」と言いますが、コンピューターはこのジョブを実行するために必要な「作業」(タスク)を処理していきます。

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また、タスクの実行を制御/管理するための機能を「タスク管理」と言い、
複数のタスクを同時並行で処理することを「マルチタスク」、一度に一つのタスクしか実行できないことを「シングルタスク」と呼びます。


一方で、一般的なビジネスシーンでは「労働者が遂行すべき作業」のことをタスクといいます。職場によっては「ノルマ」と表現されることもあるようです。

たとえば「パーティーを開催する」というミッションがあったとします。

この場合、担当者にとって「ジョブ」は、パーティーを開催することです。
そのために、

 ・日程や会場の選定
 ・招待客のリストアップ
 ・参加人数の確定
 ・飲食メニューの決定
 ・プログラム作成

などの諸々の準備が必要になりますが、この準備が「タスク」です。

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タスクはジョブを分解した部品一つひとつになります。

ですから、たった一つでも部品が足りなければ製品が完成しないのと同様、タスクが一つでも欠落するとジョブは正常に機能しません。

この考え方を「デリバラブル」(deliverable)と言います。本来は英語のdeliver(=届ける、もたらす)+able(=できる)の組み合わせが語源で、直訳すると「提供できる、もたらすことができる」という意味ですが、そこから派生して

 「完成品を届けることができるようにするための部品群」
 「ジョブを完成させるために必要となるタスク群」

などを漏らさず実施、消化していくことがタスク管理の最重要ポイントと言われています。そうした一つのジョブを成功させるために欠かせないのが「タスク管理」です。簡単にいえば、業務や作業管理のことを意味します。

タスク管理と時間管理は基本的にセットになっているため、タスク&タイムマネジメントと言われることもあります。ジョブを成し遂げるために必要なタスクを洗い出し、各タスクに優先順位や期限を設けた上で担当者に割り振ります。

ザックリとしたタスクを割り当ててしまうと受け手側がどこまでやればいいのか迷ってしまい、気付いたらこっちでもあっちでも招待状を作成していた……なんてことにも成り兼ねませんので、タスクはなるべく具体的かつ明確にしておいた方が良いでしょう。

さらに、それぞれのタスクの進捗状況を確認しながら進めていくこともタスク管理の重要なポイントです。個人の日常業務をスムーズに遂行する場合にも、タスク管理は有効です。

当然のことながら、先ほどの例を用いるなら「パーティーの開催」だけが仕事ではありません。会議資料を作成したり、経理に書類を提出したりなど…。このように複数の業務を同時に進行することを、コンピューターと同様に「マルチタスク」といいます。

一般的に、仕事においては「マルチタスクは作るべきじゃない」と言われていますが、マルチタスクを作りたくなくても作られてしまうことは珍しくありません。なぜならタスクは自分で作られるものではなく、他人によって作られてしまう現場が大半だからです。作る側の人間はあまり相手のタスク状況を鑑みてタスクを割り振ってはくれないので、否応なくマルチタスクを余儀なくされてしまうことが殆どなのです。

自分で自分のタスクを生み出し、管理できる人は、当然マルチタスクを避けようとしますし、実際できるかも知れませんが、多くの「社員」にはなかなかハードルの高いことだと言わざるをえません。

しかし、そうした環境下において自身のタスクをきちんと管理し、コントロールできる人間だけがマネージャーとしての素質を持っていると言えるでしょう。

マネージャーとは、自分と他人のタスクおよびタスクにかかる時間(タイム)や、その要する時間にかかる予算(コスト)を管理する役割と責任を担っているからです。

仕事の遅延や漏れを防ぎ、一定のジョブ(仕事で言えば、プロジェクト)を成功に導くには、自身が抱える全ての業務に必要なタスクを洗い出し、優先順位と期限を踏まえて整理することが重要となってきます。

仕事が速い人、デキる人というのはとりわけタスク管理が自然とできているのではないでしょうか。

「タスクに優先度をつけて、確実に遂行するように。」
「このタスクが終わったら、次のタスクを開始します。」
「新しいプロジェクトのタスクを洗い出す。」
「この件は、タスクフォースを発足して対処しましょう。」
「毎週火金にやるので、ルーチンタスクに設定しておいてください。」
「新製品発売に向け、タスクチームを結成した。」

あるプロジェクトを遂行するために、複数の部署からメンバーを集めて結成したチームのことを一般的に「プロジェクトチーム」と呼びますが、「タスクチーム」と呼ばれることもあります。また、特に緊急性の高い課題や任務に取り組むために編成される特別チームのことを「タスクフォース」と呼ぶこともあります。

いずれも常設ではなく、一定期間のために集められた臨時のチームという意味合いで用いられるのが一般的です。「タスク」と「プロジェクト」の呼び方の違いは、タスクよりもプロジェクトの方が取り組む期間が長いのが通例ではないでしょうか。

タスク管理を上手に活用すれば、無駄のない流れの中で確実に仕事をこなすことができます。

 「ついつい期限が過ぎてしまう」
 「どうも効率良く仕事が進まない」
 「頼まれていたことをうっかり忘れがち」

という人は、一度自身のタスク管理を見直してみてはいかがでしょう。
 
また、毎週や月末、毎月の締め日など、特定の日に決まって行うタスクのことを、「ルーチンタスク」と表現されることもあります。

ルーチンタスクは、発足当初とても意味があるために定期的に行おうと言う意図で始まるのですが、一定以上行っているうちに目的を喪失し、形骸化してもなお続けているケースが多々見受けられます。

形骸化したルーチンタスクは、日々の生産時間を奪うだけでなく人から「考える力」を奪い、組織の成長を著しく損なうリスクも持っていきます。

「ルーチン化させる」のは決して悪いことではありません。

ルーチン化すると言うことは、ある程度"再現性の高い仕組み"が確立されていて、属人的な呪縛から解き放たれたことを意味するからです。

しかし、ルーチン化してまで継続する意味(目的)を見失ってしまうと、それは異臭を放つ汚物のようにその環境を汚染していきます。

仕組みは、常に一定周期で見直さなくてはなりません。
今日正しいことが、明日も正しいとは限らないのです。

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ドラッカーの名言のなかに

「イノベーションを起こすなら、自ら陳腐化させよ」

「イノベーションの第一歩は陳腐化したものを計画的に捨てることである」

「イノベーションに優れた企業は、イノベーションのための活動を厳しく管理する。創造性などという言葉を口にすることはない。創造性とは、イノベーションを行なわない企業が使う中身のない言葉である」

「イノベーションを行なう組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる」

などといった言葉が残されているように

ただしい組織運営(マネジメント)、ただしい経営と言うモノは、
常に

 「ルーチン化する」
 「陳腐化する」
 「改善する」または「イノベーションを起こす」

のループが行われ、時代のニーズに合った新陳代謝がなされています。この流れを阻害する風土や意識は必ず組織を腐敗させることになりますので、定期的に"気を引き締めて"自問することが重要になるのです。

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