見出し画像

過不足なくコントロールするのが一番

安易に「足し算」「引き算」と物事を一方的かつ部分的に見てほしくはないな…と思ってしまう今日この頃。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

たいていのことは見る方向や切り口を変えれば、良い面も悪い面も持ち合わせているものです。もちろん引き算の良い面として言われていることは間違っていないと思います。

けれども、良い面だけではその全てが語られていないでしょうし、なによりも「引き算」を使いこなすための大前提に触れられていないところが気になります。

また、本質的な部分に触れられていない点にも注意を促したいところです。


まずは「本質的」な部分から。

そもそも「足し算」「引き算」というのはなぜ行われる必要があるのか?
そこに必要性がなければ誰もテーマとして取り上げません。

では

どんな必要性があって
その必要性を満たすために何が障害となって
こんな方法論が語られているのか

ここが大前提でなければなりません。

全ては「必要十分+最低限」…すなわち、MECEな状態を作り出すためであるためのスキルセットとして言われているのだということを忘れてはいけません。

たとえば今現在、やり方が何であれ既にMECE(漏れなくダブりなく)となっていればあえて新しい方法論として「引き算」式の思考を学ぶ必要もありません。

たとえば今現在、不足しているような状況下においてさらに引き算をして意味があるのでしょうか。

そう。
引き算は絶対的なものではありません。

引き算という方法論は、引き算を用いることで有効な効果が引き出せる場合においてのみ有用となるのです。

そもそもPDCAが仮に「足し算」的な考え方に基づくものだとしても、PDCAを利用している間は

 ・MECEにはできないのか?
 ・足すだけで一切引くことはしないのか?

というと答は「NO」であると断言できます。

PDCAとは、計画を立てて、計画通り進行できるように適宜監視・コントロールを実施するマネジメントフレームワークという側面も持っています。

そのマネジメントにおいて、計画の骨子となるものは

 ・明確なゴールの設定
 ・ゴールまでのタスクを分解、構造化
 ・構造化された小タスクを有機的に紐付ける

と言うものです。

ゴールを組み立てるために目指すゴールから分解できていれば、ゴールに至るために必要なものしか存在しません。

どうあがいても「足し算」する余地がないのです。
というか、必要性もないのに無駄に足したら崩壊します。

もちろん、そういったPDCAの初歩的な扱い方を学んでこなかったマネジメントをすれば、時に足し算的な運用に陥ってしまうこともあるでしょう。

ですがそれは、PDCAというフレームワークがそうさせるのではなく、あくまでPDCAを理解していない「人」がそうさせているに過ぎません。

また、PDCAのなかで適切に「CA」を運用し、「P」を適宜見直す際には引き算的な方法を用いることだってあります。特に、無駄にバッファを積んでいたりしていた場合は、むしろ引き算しかできることがありません。

PDCAの真骨頂は、

 「P」で評価基準を作り
 「D」で極力「P」通りに活動し
 「C」で「P」と「D」の差異を正確に把握し
 「A」で「P」または「D」の見直しを実施する

この一連の流れが生み出す効果を最大化するために

 どの程度のサイクルにすべきか

に対して一人ひとりが最適解を見つけることにあります。

ほかのだれかの正解を真似たところで上手くいかないのはそのせいです。

Aさんが1週間サイクルで上手くいったからと言って、ほかの人が同じように1週間単位のサイクルにして上手くいくとは限りません。Aさんの力量だから1週間で問題がないだけかもしれませんよね。一人ひとりの力量、一人ひとりが抱える業務が異なるのですから当然です。

その本質的な原因を無視し、PDCAを見様見真似で実現しようとするから失敗しているにすぎません。

優れたマネージャーであれば、このイテレーションサイクルを自らの力量にあわせていかに効率的に、いかに実現性が高い単位で実現できるかがカギになるということをわかっていることでしょう。

 「P」の時点で求められるゴールを明確にすること
 「P」は逆算思考で実施すること
 「C」の解像度を上げること(=比較元となる「P」の解像度を上げること)
 「C」を自分に最も合ったサイクルに調整すること
    (個人的にはリアルタイムモニタリングを実施しますけど)
 「A」の引き出しをたくさん持つこと

さえきちんとできていればPDCAだけで問題なくマネジメントが可能です。そのために足し算が必要なら足し算を。引き算が必要な時には引き算を用いればいいだけのことです。どちらが良いとか悪いとかということはありません。

使えるものはすべて使えばいいんです。

そう考えると何かに縛られる必要もなく、心が自由になりますよね。


いただいたサポートは、全額本noteへの執筆…記載活動、およびそのための情報収集活動に使わせていただきます。