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テストマーケティングこそが、マーケットインを確認する大切な機会です。

宇宙一外食産業が好きな須田です。

今回は、テストマーケティングについてお伝えします。

多くの方は、このテストマーケティングという言葉は、ご存じと思います。

でも、テストマーケティングを行った方は、おそらく少ないと思います。
テストマーケティングのやり方を知っている方は、もっと少ないと思います

実は、大企業はこのテストマーケティングを大規模な予算を掛けてじっくりと行います。

かつて、マクドナルドのテストマーケティングに、関係したことがりました。

現在はマックカフェとして市民権を得ているネーミングですが、実はこのマックカフェという呼び名は、このテストマーケティング中に、関係者が使用していた俗称でした。


プロジェクト名は別にありましたが、俗称でマックカフェと読んでおりました。
本格導入する際には、最終的にはそのマックカフェという名称が導入され、皆さんに定着しました。

このマックカフェですが、この時はテストマーケティングとしてある5店舗を改装して、コーヒーの在り方を1年かけて検証するというプロジェクトでした。

1年のデータを集計して、その後大々的にマックカフェへと大きく舵を切っていくこととなりました。

マクドナルドは1年をかけて、テストマーケティングを行っていました。


現在のマクドナルドのコーヒーの売れ行きがどう変化したのかは、多くの方がご存じのことと思います。


さて、マクドナルドさんの事例は費用も期間も極端な例ですが、小さな会社と小さな店舗では、ここまで大規模に行わなくとも良いです。

逆に言えば、マクドナルドほどの大企業となると店舗を再構築する場合、対象となる店舗数がとてつもなく多いので、1年ぐらいはテストデータを集積してからでないと、動けないとも言えます。

その対象となる店舗数が多いだけに、影響はそれ以上に大きくなります。

ですから、しっかりとデータを取る必要がありますが、中小企業は小回りが利くので、そこまで予算も時間もかけることなくテストマーケティングは行えます。

テストマーケティングの基本は、本格的に商品をお客様にお届けする前に、限定された短期間のみ、ある商品を提供してお客様の反応を見ることです。

この、お客様の反応の見方を知っているかいないかで、その後の成果が大きく違ってきます。

では、具体的な手法をお伝えしていきます。

先ず、まだ店舗を持っていない起業家の場合と、既に既存店を持っている場合とでは、微妙にやり方が違ってくるので、それぞれのやり方をお伝えします。


先ず起業家の方からです。


先ず実店舗を持っていなく、商品が本決まりではない起業家の場合、いくつかの商品を対象に、テストマーケティングを何度も行う必要があります。

ある程度商品を絞るためのデータがある既存店と違って、起業家の場合は顧客もまだ見えていませんし、通常営業からのデータもありません。

ですから、何回かに分けていくつかの商品を、実際のお客様候補の方達に体験して頂く必要があります。


先ず、メインとなる商品をテストします。

これは、最も集客に貢献するべき商品から行いますが、その候補商品を自店のターゲットに近い方々に試食して頂きます。

友人知人の場合がほとんどですが、最近出てきているのはネットを活用して一般の方々を集めて行うものです。

最近はキッチン付きのレンタルルームもあり、そこを借りて仕込みを行い、商品テストをやってみています。

当日は、メインの商品となるものを軸にしていくつかの商品を試食して頂きます。
これを数回繰り返すことで、製品から商品へとバージョンアップしていきます。

テストの試食では、アンケート用紙を用意して、参加者に1品ごとにアンケートに記入していってもらいます。

アンケートに盛り込む要素が、そのままヒット商品へと繋がっているので、設定する質問の在り方が重要になってきます。

質問は、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを組みあわせることで大きな利点が生まれます。

クローズドクエスチョンとは、選択性の質問のことで、番号などを選択して印を付けて貰います。

オープンクエスチョンとは、答えを用意せずに自由に参加者の感想を書き込んでもらう質問形式のことです。

この2つの質問を、セットで用意する必要があります。

例えば、
ポーションに関しては?
1多い 2 少々多い 3 適正 4少し少ない 5 全く不足
上記の答えに関する感想や気づいた点、ご要望などを自由に書き込んでください。

という具合です。

最初の数字で表現している部分は、集計する際にデータを取りやすくするためです。

それぞれをパーセンテージで集計が出来ます。

1 15% 2 18% 3 36% という具合にです。
数値として実態が把握できます。

次のコメントを書く欄には、ご自由にと書いている通り、消費者としての率直な意見を書いてもらいます。

食べログに自由に書き込むような感じで、忖度することなく書いてもらいます。

これを何度か行うテストマーケティングで、同じ参加者で行うバージョンと、違った参加者で行うバージョンを用意することで、より精度の高いデータが集まります。

何度か繰り返すうちに、多くの方が喜んでくれる商品へと仕上がって行きます。

このテストマーケティングのやり方には、もう一つの利点があります。

それは、参加者の方々がそれぞれのSNSでテストマーケティングに参加したことをシェアしてくれることです。

それにより情報が拡散することも想定できますし、何より、参加してくれた方々はお店のファンになってくれます。


サポーターになってくれる効果があります。


自分達が立ち上げた業態、自分達で完成させていった商品として認識して頂くこととなり、心強いサポーターとなってくれます。

商品がどんどん良くなっていくことも、完成までのストーリーを拡散してくれることも行ってくれますので、大きな成果を期待できます。

起業する場合、ここまでのテストマーケティングを行わないまでも、効果的な方法がもう一つあります。

それは、レセプションを開催することです。

オープン前にレセプションを開催することで、テストマーケティングを実施できます。

レセプションに商品を提供して、そこでアンケートを行うことで、オープンまでに修正が出来ます。

レセプションを行い、更にグランドオープン前に、営業時間を限定したプレオープンを行うことで、より細かな消費者の声を拾うこともできます。

プレオープンを行うことで、オペレーションスキルもアップしてきます。
商品のブラッシュアップも出来てきます。

プレオープンを行うことで、ソフトランディングが可能となりその後にグランドオープンを迎えることで、着実に集客と売上確保が実現されていきます。


起業する場合には、オープン後の数ヶ月間は、テストマーケティング期間と言っても過言ではありません。

グランドオープンしてからの数ヶ月間は、何度商品を軌道修正してたとしても、まだ浸透していないので、全く影響がありません。

ですから、この期間に思い切って修正を繰り返してください。
少なくても、3ヶ月くらいはテストマーケティング期間と考えるぐらいで、ちょうど良いかもしれません。


次に、既存店がある場合には、いくつかの方法があります。


先ず、新商品を導入する場合には、週替わりランチとして提供してみる方法があります。

これは、これまでに何度も行ってきた一番多いやり方ですが、新商品をランチの主菜として提供して、お客様の反応を見ます。

何度か修正を加えながら、浸透を鑑みながらグランドメニューへと昇華させていきます。

次に多いのがフェアを開催して、お客様の反応を見るやり方です。

イベントとしてある期間を設定して、フェアとして新商品を提供してみて、お客様の反応を見ます。

このフェアの期間中にお客様の反応を見て、何度か軌道修正をしてグランドメニュー化します。

この時もお試し期間を設けて、実際の反応を確認して最終的にグランドメニューとして定着させていきます。


以前お手伝いさせて頂いたラーメン業態では、期間限定のフェアを3ヵ月も行いました。

最初の1ヵ月は、ただ商品を提供しておきゃ様のあらゆる反応を見ていました。

次の月には仮説を立てて、それの検証を行いました。
3ヶ月目には、更に精度を上げるための作業を行いました。


お客様の反応を見ながら、何度も微妙な修正を加えて、セットに合わせるご飯も数種類テストをして、ラーメンの在り方をきっちりと決めて、最も売れる組み合わせを見つけて行きました。

今では、ランチの主力ヒット商品として定着しています。


固定客がガッチリとついていて、その商品だけで常にある基準以上の売上を獲得してくれています。

さてここまで、テストマーケティングの効果的なやり方をお伝えしてきました。

そこで最後に、絶対にやってはいけないテストマーケティングについて、お話しをします

先ず、テストマーケティングにおいて絶対にやってはいけないことは、情報を提供しないでいきなり商品を試食して頂くことです。

情報を提供しないでいきなり試食を始めると、参加者の方々はその商品の何を分析すれば良いのかがわからず、暗中模索の状態になります。

いわゆる、路頭に迷い迷宮へと入って行ってしまいます。

アンケートを用意していて、質問が明記されていたとしても、商品の情報が無くこれまでの開発ストーリーも、狙っている方向性も知らないままに試食をすると、ほぼ間違いなく集団心理が働いて、誰かの感想や意見を踏襲した意見と感想が集まるようになります。

すると参加者の皆さんは自分の意見よりも、全体の雰囲気と空気感を読んでしまい、正しい情報を得ることが出来ません。

ですから、事前にキチンと商品に関する情報を提供することが重要です。


次に、評論家のような方は呼ばない方が、ベストです。

グルメ気取りとのような方は、必ず一定数存在しています。


この方々の共通する特徴は、その方の知識のお披露目欲求を満たすことがテーマとなっている場合がほとんどです。

目の前の商品に向き合うこととではなく、あの店のあんな商品が良いとか、この商品はどこどこに似ているとか、自分の知識を元にもっとこうすると良いとか、いらないアドバイスをしてきます。

参加者の中に、こういった方がもしいらした場合は、その方の意見は一つの意見として受け止めて、余り影響を受けないことと、他の参加者の意見も取り入れることとサポートをすることを行います。

そして、次回からは呼ばないこととして、流すようにします。

ネットで募集するとある一定数このような、自称グルメの方が応募してくる場合があるので、応募してきた方々のSNSを確認して、どの方にご参加いただくかを決めることが大切です。

この様な方々の意見に左右されて、あなたの思考と商品に悪影響が有ってはいけないので、人選は慎重に行ってください。


そして、最後に最もやってはいけないこと。


それは、アンケート結果を取り入れないことです。


ここまで読まれたあなたには信じられないと思いますが、実はこのパターンは恐ろしく多いパターンです。


アンケート結果をそのまま受け取ることが出来ずに、

「あっ これはたまたまでしょ」
「このコメントはこの人個人の感想でしょ」
「そもそもこの人の感覚がおかしいよね」
「この人は味を知らいないんだよ、きっと舌がおかしいんだよね」

と、参加された何名の方が同様のことを書いていたとしても、それを全く認めない方がいます。


参加者がおかしいと主張して、自身の商品を振り返らない方がいます。

アンケート結果を尊重して、軌道修正を進言しても一切に聞き入れることなく推し進めて、オープン後になっても軌道修正をしない方がなんと多いことか。

信じられないことですが、必ずこのような出店者は必ずいらっしゃいます。

ある意味、信念が強い方と表現が出来ます。
一方では、他人の意見を聞き入れない、頑固で自分の考えに固執するタイプと表現することが出来ます。


これが、プロダクトアウトになっていく過程の実態であり、マーケットインの大切さを表している現象です。
業種業態に関わらず、ビジネスで成功する考え方は、マーケットインの発想です。


テストマーケティングの目的は、このマーケットインを確認するために行います。

「顧客の声を聞け」


お客様の反応を確認する絶好の機会が、テストマーケティングです。

まるで、後出しじゃんけんで勝てるように勝つ手法が、テストマーケティングです。

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