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メニューブックには明確な意図を盛り込んだ設計をし、もっと戦略的に活用し売上と利益を構築しましょう。

宇宙一外食産業が好きな須田です。


前回に引き続き、メニューブックについて解説をしたいと思います。

人は思考する時に、言葉と映像によって思考を行います。

ちょっと思い出してみてくださればご理解できると思いますが、何かを考えている時には自分に向かって話しかけていて、同時にあるシーンが浮かんでいると思います。

思考の多くは自分との会話です。
そして、会話に伴った映像を見ながら思考は展開してきます。

ですからこの、人の思考パターンの性質を深く理解してメニューブックはデザインされるべきです。

ある商品をより多く販売したいと意図した場合には、その商品に対するある特定の好ましい情報をメニューブックに掲載するようにします。

するとお客様はその情報に沿った思考を展開していくことが多く、その結果対象の商品は多く売れていきます。

即ち、売上が伸びて、囲い込みが可能となります。


逆を言えば、多く売るために仕掛けが無ければ、メニューブックはただの商品陳列をした紙にすぎません。

私はその要はメニューブックを、カタログ型と呼んでいます。


お客様にとってより必要な情報を提供すること、そこにセールスの意図と仕組みを込めることこそが、メニューブックの役割です。


さて、以上を踏まえて自店のメニューブックを改めて眺めてみてください。

大切なのは、ただ眺めることです。

ある特定の考えを持ち込むことなく、理由をつけるための思考を考えることなく、ただただ、景色を眺めるように自店のメニューブックを眺めてみてください。


眺めた結果、一瞬でこのお店のウリの商品を理解できたでしょうか?
眺めた結果、欲しいと瞬間的に感じた商品は出会えたでしょうか?
眺めた結果、これを頼むとお得だなと感じた商品は見つかったでしょうか?
眺めた結果、このお店ではこれを食べて帰らないと損だなと感じることは出来ましたでしょうか?

大事なことは、上記のような感覚を、素早く感じとることが出来たかどうかです。

お客様は、難解なパズルを解くようなメニューブックを敬遠します。

分かりにくいメニューブックは、それだけで商品の販売力をそぐ結果を作り出してしまいます。

難解まで行かなくとも、欲しい商品にすぐに到達できない、内容を勘違いしてしまう、商品を想像出来ないメニューブックに出会うと、折角の美味しい料理に到達する前に、心が折れてしまいます。

その結果、すぐに想像できる商品を、一番損をしなさそうな、危険を回避することを意図した、どこにでもある普通の商品を選択してしまいます。

その結果、客単価は伸びず、リピートすることもなく、売上が向上することはないという結果を自ら招いてしまいます。

これこそが前回の記事で表現した、メニューブックは優秀なセールスマンである必要があるということです。

優秀なセールスマンは売上を構築し、新規客をどんどん行ってきてくれます。

その要素を、メニューブックには盛り込むべきです。


自店の商品を販売することは勿論ですが、いかにお客様に大きな価値と喜びをお届けするのか、この一点にフォーカスしてメニューブックをデザインするべきです。


決してデザイン的に優れた、写真集のようなメニューブックをつくることではなく、伝えたい情報をきちんと伝えきることが出来るメニューブックを創るべきです。


情報が氾濫している現代では、美味しい商品を開発しただけでは、ヒットすることは非常に難しい時代となっています。


ですから、お客様にとって必要な情報が瞬時に感覚的に伝わることが、現代の飲食店のメニューブックには求められています。

簡単に事例をご紹介させていただきます。

以前、あるお店のランチのメニューブックの監修をお願いされたことがありました。

店主の方とは、個人的にお付き合いはしておりますが、ビジネス的なお付き合いしていない方ですが、すごく悩んでおられたのでしょう、メニューブックの監修をお願いされました。


メールで送られてきたメニューブックを拝見すると、伝えたい想いと意図していることは読み取れます。

読み取れたのは、私がそのお店を理解していたからであり、併せて私がこのような仕事をしているからです。

ですが、一般のお客様がそのメニューブックを見て、瞬時に内容を、仕組みを理解できるかというと、非常に無理がある内容でした。

そこで、メニューブックをパワーポイントで簡単に作り直しましたが、その結果、客単価が100円程度上がったそうです。


私が行ったことを解説してきます。

ご参考にして頂ければと思います。


まず行ったことは、お客様にとって必要であり、魅力的な情報をメニューブックの最初に掲載することです。

健康を意識した商品であることを、「身体に優しい」という言葉で飾りました。
これにより、ランチでガッツリと食べたいけれど健康も気になる方の、懸念と抵抗感を払拭する狙いを込めました。


麺類と小どんぶりのセット商品ですが、麺の食材の産地を謳い自家製麺であることもお伝えしました。

ご飯は、契約農家より減農薬のコシヒカリを使用していることをお伝えしました。

これらにより、身体に優しいの裏付けを表現しました。


次に、商品の頼み方を促す仕組みを導入しました。


①  まず身体に優しい麺類からお選びください。と、メインである麺類を決めて頂き、次に、
②  炊き立てご飯のどんぶりをお選びください。と、メニューの決め方を示唆する内容を設計しました。

これによりお客様はセット商品の注文時に起こりがちな、麺類とどんぶりのどちらから決めればよいのか、悩むということを回避する設計としました。

お客様が悩むことを回避し、オーダーまでの時間を短くする意図を込めました。

また、麺類は冷たい麺と温かい麺を区分けして、それぞれのカテゴリーの背景に使用する色も、寒色系と暖色系に分けて心理的に誘導もしました。

その日の気温と天候によって、お客様が視覚的に冷たい麺と温かい麺を選択出来るようにしました。

そして、組み合わせの事例として、最も売りたい商品の写真を載せるようにしました。


この最も売りたい商品の写真は、最も儲かるものではなく、最もお客様に価値を提供できるのものを載せるようにしました。


理由は、お勤めの方がランチで利用するお店は、だいたい決まっています。

おおよそ5店舗から10店舗まで行かない程度のお店をランチでは利用することが多く、そのお店をルーティーンでグルグルとめぐっている現状があります。

ですから、このルーティーンのお店に加えて頂くことが重要なので、最も価値を提供できる商品の写真を掲載することにしました。


勿論メニュー内容も、売りたい商品と売らなくても良い見せメニューも載せて、意図的にオーダーを集中するようにしました。

オーダーの仕方も、麺類は数字を表記し、小どんぶりはアルファベットを表記しました。

これにより、お客様との共通言語を決めて、1-C とか3-Aと伝票に記入するだけで良いようにしました。

これは、伝票の記入時間を短縮し、厨房では商品が瞬時に理解できるようにするために設計しました。


略語とは言え、いちいち細かく商品名を書く手間を省き、オーダーミスが起こることを回避する仕組みにしました。

メニューブックのレイアウトは、お得なセット商品を、A4サイズの表面全てを使って表現し、裏面には利益確保を目的とした定食類と、ランチセットほどのボリュームを好まないお客様用に、ハーフポーションの麺とのセット商品を載せました。

これにより、女性客を取り込むことを意図しました。

しかも、このハーフポーションの麺とのセットには、それまでの販売データから、女性客のオーダー率が高いご飯メニューを組み合わせました。

これにより、瞬時に誰をターゲットにした商品かが理解できるようにしました。


即ち、ガッツリと麺類とどんぶりを食べたいお客様用、副菜の沢山ついたご飯物の定食を食べたいお客様用、少ない量でも美味しい副菜を色々と楽しめる麺類とご飯のセットを食べたいお客様用と言うように、明確にターゲットを設定したメニュー戦略としました。

これにより、意図的にお客様を誘導し、オーダーを集中させ、提供数と提供時間を短縮することで、回転数を上げること、囲い込みを行うことを実現する狙いをメニューブックに盛り込みました。

その結果、客単価は100円アップし、狙い通りの集客と商品形態が現実化しています。

この様にメニューブックは、意図的に戦略的に活用するようにして下さい。

どうかメニューブックを、優秀なセールスマンとなるように再構築して下さい。

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