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ターゲットはお客様ではありません。お客様の感情です。この違いを理解すると売上が伸びます。

宇宙一外食産業が好きな須田です。

さて、前回の続きです。

前回お伝えした記事に、重要なことがいくつかあるので、先ずはそのポイントを整理します。

1 コロナ終息を見込んで反撃に転ずる、その準備を進める
2 お客様は、以前のような消費行動には戻らないことを前提に施策を練る
3 絶対にやってはいけないことは、値下げ施策
4 必要なことは価値を上げ、コストパフォーマンスを上げること
5 経営者自身の思考の方向性とパターンを、ポジティブに整理すること
6 行動を起こすこと、行動の質を上げること
7 成果が出るまで継続すること、諦めない、投げ出さないこと

以上です。

反撃に転ずるとは、言うまでもなく積極的に売上を取りに行くということです。

そのためには、落ち込んでいる暇はありません。

持っている経営資源をフル活用して、どうやれば売上が取れるか、利益を少しでも残せるのかを考えることです。


消費行動は、もう以前の状況には戻らないと想像出来ます。

先ず、インバウンドが戻ってきません。

あるシンクタンクの分析によれば少なくとも3年は戻らず、3年が過ぎたあたりから徐々に戻り出して、5年を経過した段階でも100%には戻らないだろうと予想しています。
良い方向に外れれば良いのですが、これが当たることを前提にしても損はないと思います。

国内消費も、先ず都心部には以前のような数の就労者が戻るとは思えません。

都心のオフィスの空室状況を見ても、働き方が変化したことが理解できます。

一方で都心以外の街には、平日の夜にも人が出て来ることが予想できます。

ランチ・ディナー問わず、都心以外のエリアに人が流れていくことは、現状を観ても明らかなことと言えます。


以上のことから、店舗での集客量が落ち込んでいる時に値下げをすることは自殺行為です。

少ない客数の中、集客するために値下げを選択してしまう経営者が未だに多くいらっしゃいますが、かつて値下げをしていた牛丼3社やマクドナルドでさえ、値下げ施策を行っていないのにもかかわらず、ましてや、体力が無い中小企業は、絶対にやってはいけない施策です。

やらなければならないことは、付加価値を上げること。
そもそもの商品の価値を上げることで、コストパフォーマンスを上げる施策を導入すること。

コストパフォーマンスは、商品価値と売価の相関関係です。

支払金額よりも価値が勝っていれば、コストパフォーマンスは高いと評価されます。

現代のお客様が本質的に望んでいるのは、コストパフォーマンスが優れている商品です。

決して「安い商品」を望んでいる訳ではありません。

価格以上の価値のある商品を、望んでいます。

それが全ての価格帯で起こっていることです。

「事実は真実を隠してしまう」という考え方が有ります。

事実は、単価の低い商品を買っている。
真実は、単価と比較して価値が勝っている商品を買っている。

この違いを見落としている、外食マンのなんと多いことか。

単なる安い商品ではなく、一般的な売価と価値を比較すると、価値がある商品が売れています。

ただ、表面上単価が安い商品が売れているように、判断したいだけです。

この自分自身の思考パターンに気づかないでいると、この先も安売り戦略を導入してしまい、自分自身の首を絞めることになります。

これまで500円で販売していた商品も、800円の価値に感じる商品にグレードアップして700円で販売すると、商品は売れていきます。

ニトリのコンセプト通り、「おっ 値段以上!」の、価値を提供することで、商品は売れて客単価は上昇します。

これが、実際にマーケットで起こっている事実であり、真実です。

この状況下で、経営者が考えて感じなければならないことは、消費者は今何を求めているのか、どのような感情を抱えており、何を解消したいと思っているのかを考え感じ取ることです。

いかにして、消費者に寄り添えるのかを考えることです。

もう一度言います。

ですから、落ち込んでいる暇はありません。


今必要なことは、考えて、考えて、具体的な施策に落とし込んで行動を起こすことです。

どんな些細なことでも行動を起こすことです。

考えを紙に書き出してみる。
新商品の構想を練って、レシピを考えてみる。
実際に試作品を作ってみる、そして改善を繰り返す。
商品名を考えて、セールスポイントを考えて、全てを書き出してみる。
テスト販売を繰り返してみる。
テスト結果を踏まえて改善を繰り返し、その後グランドメニューとして本格導入する。
などなど、どのようなことでも1歩踏み出すことが大切です。

そして、稼働しだしたら何度も修正を繰り返し、望んだ成果が出るまで継続することが最も大事なことです。

過去の偉人は言いました。

継続は力なり。

これは、真実です。

決して諦めずに、改善を繰り返している間は、失敗は在り得ません。
改善ポイントを明確化させ、改善する作業を繰り返しているだけです。

この作業を繰り返していくと、必ず成功が手に入ります。

想像したことに対して50%の成功60%成功と始まり、徐々に成功の度合いが高まっていき、ついには想像通りの、それ以上の成功が手に入ります。

そこに到達するまで継続することで、成功は手に入ります。

途中で諦めて投げ出してしまうとしても、失敗という学びを獲得できます。

失敗で獲得できることは、学びです。
成功で獲得できることは、報酬です。

何方にしても、獲得できるものが在ります。

と言うことは行動を起こさないことだけが、唯一何も獲得できないということになります。

失敗すらも、学びに繋がることすらも手に入りません。

ですから、失敗が在り得ないと理解できた段階で、即、行動を超すことです。


では、具体的にどのように考えて、何を行うと良いのかを解説してきます。


先ず、売上を上げる公式を思い出してみましょう。

客数×客単価×営業日数=売上

これが、飲食店の売上を考える時の公式です。

ここで言っている客数を改めて考えてみます。

一般的に、来店客数と考えてしまいがちですが、ここで言葉を少し変えてみましょう。

購買客数としてみましょう。

お店にやって来る客数ではなく、自店の商品を買ってくれるお客様の数です。

何かを買ってくれる人の数を、客数と認識します。

すると、来店するお客様も、テイクアウトで商品を持ち帰るお客様も、デリバリーをご注文するお客様も、ネットで商品を買って下さるお客様も、全て客数として換算できます。

それぞれ客単価、消費単価が違ってきます。

勿論、利益率も利益額も違ってきます。
調理する手間も販売する手間も違ってきます。
そもそも、商品そのものが違ってきます。

すると、「客数」として漠然と認識していたたことが、急に細分化されリアルな施策が見えてきます。

店内利用のお客様には、これまでの商品以上の価値を提供して、売価を適正な金額に調整して、アップセールスを導入してもっともっと楽しんで頂こうと考えます。

コロナ前とは違い、人との繋がりが希薄となり、外食する機会も減っている時に、数少ない外食の機会をより楽しくするために、我々外食マンは何が出来るのかを考えます。

商品そのものの価値も、アップセールスで楽しさの上乗せすることも、より楽しく美味しく豊かになっていただくためのお手伝いは、どのようなことが出来るかを真剣に考えてください。

テイクアウトを求められるお客様には、どのようなことが喜ばれるのか。

どのような背景があってテイクアウトをするのかを考えて、その背景から感じ取ったことを、お店からのメッセージとして商品を通じてお客様にお伝えしましょう。

お客様のパーソナルなスペースで商品を消費する時に、どのようなことが商品に込められていると、お客様は喜ばれるのか、美味しさも豊かさも楽しさも感じて頂けるのかを、真剣に考えましょう。

デリバリーサービスを利用するお客様の背景には、どのようなことが存在しているのか。

お一人なのか、ご家族やお仲間とご一緒なのかで、当然デリバリーに求める内容が、要望が違ってきます。

それを踏まえた商品施策が必要になってきます。

お客様の欲求を考えた時に、1回のオーダーでどれくらい充実した内容の商品を提供できるのかを、真剣に考えてみましょう。

メインの商品の他に、副菜として何が有ると喜ばれるのか、どのような商品が用意されていると、お客様はついで買いをしてくれるのかをイメージしてみましょう。

外食の機会が減っていると言うことは、お母さんの家事負担は確実に増えています。

コロナ前は、時には外食で家事労働から解放されていたお母さんたちが、今は三度三度メニューを考えて、家族のご飯を作っています。

そのお母さんの負担を軽減できる商品を、提供できないかを考えてみましょう。

ウチのお店のどの商品だったらネット販売できるか、ネットでは無くても予約で販売できるか、お店に取りに来て頂けるか、もしくはお届けすることが出来ないかなど、お客様にもっと寄り添えることが、もっとあるんじゃないかと考えることが出来ると思います。

この様に、漠然と「客数」として考えていたことが、それぞれのお客様の背景を考えて感じることで、急にビジネスチャンスが見えてきませんか。


それぞれの利用シーンに即したお客様の背景に注意を向けるだけで、どれほど多くのビジネスチャンスがあるのかを、ご理解頂けたと思います。

外食マンが対象とすることは、「お客様」という漠然とした概念ではありません。

個々のお客様の、感情と思考と背景を対象としなければ成りません。

何となく「お客様」として捉えるのではなく、お客様のどの感情にフォーカスして、どの欲求を満たすことを目的として、的確に商品を提供することが必要であり、また、お客様に求められていることです。


お客様の「数」自体は減ってはいません。
「利用者数」が減っているのでは無く、「利用回数」が減っていることの違いを、もっと深く理解する認識する必要があると言えます。

言い換えると、お客様が来店する機会が減っているだけで、お客様のモチベーションは減っていません。

お店の商品を食べたいと思っている、そのモチベーションは減ってはいません。
確実に存在していますし、もしかすると、必要以上に抑圧されているだけに、益々高まっているかもしれません。


ただお店サイドが、そのモチベーションを感じ取れるか、感じ取って商品施策を導入できているかの違いが、大きな違いを産む違いとなっています。

お客様の感情と思考と背景に、もっと寄り添った商品施策を導入しましょう。


外部要因が大きく変化している現在、それに的確に対応するのか、対応できるのかが、今年から2年から3年の大きな岐路に成ります。

2022年を、成功と成長の年とするのか、残念な結果を自ら引き寄せた年としてしまうかは、今この段階の行動を決断したこと、行動しないと決断したことにかかっています。

売上の公式を元に、今回の記事は主に、「客数」に関する考え方の整理を、お伝えしました。
次回は、客単価についてお伝えします。


もう一度ご自身の思考と感情に向き合い、新たなステージへの扉を開いてください。

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