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マーケットインって聞いたことがあると思いますが、その本質はお客様と共に商品を作り上げていくことです。

宇宙一外食産業が好きな須田です。


さて、マーケティングについて続けてお伝えしておりますが、今回はマーケットインについてです。

マーケットインをご存じない方のために、簡単にご説明いたします。

マーケットインとは、お客様が欲しい物は何かを考えて、お客様視点で商品を開発・提供しようとする考え方のことを言います。

マーケットインの発想の原点は、あくまでも顧客視点です。

一方、マーケットインの逆発想として、プロダクトアウトがあります。
プロダクトアウトとは、そもそも提供したい商品があって、その商品を基準にして業態を成立させて、どうやってお客様に買ってもらおうかと考えることです。

プロダクトアウトの発想の原点は、提供したい商品であり、あくまでも提供者視点です。

どちらも、優良な商品をお客様に提供したい気持ちは同じです。
違うのは、お客様を主語にして考えているのか、商品を主語にして考えているのかが違います。

重要な視点の違いなので、十分ご理解ください。

大事なことは、マーケットインとプロダクトアウト、どちらが繁盛店になる確率が高いかということです。

極論を言ってしまえば、どちらの発想だとしてもお客様に受け入れられれば良いことです。

そして、繁盛を手に入れられれば良いことです。

結論は、どちらも受け入れられることも、受け入れられないこともあります。
何方かが絶対などということはありません、どちらでもいいんです。


ただ、どちらかというと、マーケットインの方が、お客様には受け入れられる可能性が高いと言いうことです。

中途半端な結論に聞こえるかもしれませんが、実際にそうなのですから仕方がありません。

マーケットインだけがウケて、プロダクトアウトは排除されるなんてことはありません。


では、なぜこのマーケットインの発想と、プロダクトアウトの発想に考え方が分かれてしまうのかを検証してみましょう。

先ず、多くの場合飲食店を始めようと考える時には、提供したい商品が最初にあります。

恐らくはそれまで働いていたお店の商品で、何年かかかってその商品を体得してきた商品です。

その商品を自分なりの考えを入れて改良して、世に打って出ようとします。


そうです、ここですでにプロダクトアウトの発想になっています。

商品ありきで、商品を主体に考えているのでプロダクトアウトの発想になっています。

そこから、この今考えている商品はお客様に受け入れられるのかを考えて、友達などにお披露目して食べてもらって感想を聞きます。

そして、友達たちはほぼ間違いなく、絶賛してくれます。

「美味しいよ、これ絶対に売れるよ!」なんて言ってくれます。


やさしさが、残酷な一言になった瞬間です。


この言葉を信じて、多くの方はお店を立ち上げます。

すると、消費者からの反応は、思い描いていたものとは違ってきます。

お友達は、みんなやさしいので、起業を夢見ている友人が作った料理を美味しいと言って食べてくれます。

忖度と言えばわかりやすいでしょうか、試食とは言えご飯を振舞ってくれた相手に対して、美味しくなかった、こんなのはどこでも食べられる、お金を払ってまで食べようとは思えないなどとは、言えませんし言いません。

プロの基準から言えば、まだまだ素人料理の延長線上にあるもので、お店で提供できる商品に迄は到達していなくても、友人たちは美味しいと言ってくれます。

先ほども言いましたが、優しさが残酷な一言となってしまうのは、この友人を想う心があるからです。

誰も、友人のモチベーションを砕くように感じる言葉は使いませんし、使いたくないものです。

これも、消費者心理の一つです。

これが実際のビジネスの場合、どのように表れるかというと、離客、リピートしないという現象として現れます。

お客様は、お店主に対して美味しくないもう二度と来ないとは言いません。
その代わり口コミサイトに書き込みます。

「二度目は無いかな」

これが現実には起こってしまいますが、友人は残酷なことに美味しいと言ってしまいます。
そして、二度目が無い現象がやって来てしまいます。


余談ですが、私はこの忖度の言葉を有していません。
残酷なやさしさは持ち合わせていません。

ですから、ダメな時はダメとハッキリと言います。
逆に、良い場合は絶賛します。

非常にハッキリとしています。

これは当たり前のことです。

これから起業して、その商品を柱にして戦って行こうとしているわけです。

その商品はいわば戦いの武器ですから、私には強い武器にしていく必要があります、戦いに勝てる武器にしていく必要がありますから、そこには甘い忖度の気持ちはありません。

鬼教官で良いと思っています。

そうでなければ、戦いに負けてしまうので、鬼教官でちょうど良いと考えています。

お陰様で、テレビでもそのまま出演しているので、芸能人の方々にどうも怖がられているようです。
日本テレビのディレクターに言われました、芸能人が逃げてしまうんですよと。

話しを戻します。


この勝負したい商品を持つことは良いことです。

というか、勝負したい商品を持っていなければ、起業したいなどとは通常は思いません。

この商品があるからこそ、起業したいお店を持ちたいと思います。
何でも良いから、お店だけ出したいと考える方は、余りいません。

別事業で成功していて、資金に余裕があってご自身がお店に立つのではなく、副業としてお店をやられる方では、そのように考える方はいますが、通常は商品が先にあります。

問題は、その商品を先行した考え方のまま突き進むのか、実際のところお客様が、消費者がどう感じるのかと考えてみるのかで、その後の結果が違ってきます。

この瞬間が、違いを産む違いです。

ご自身の商品を信じ切って何度も試作を繰りかえして昇華させて、最終的にお客様に認められることも沢山あります。

最初から、自分の商品をどうすればもっとお客様は気に入ってくれるのかを考えて試行錯誤して、試作を繰り返し最終的にお客様に受け入れられる商品もあります。


言葉の違いを、お気づきになったでしょうか。


お客様に認められると、お客様に受け入れられる、この言葉の違いがプロダクトアウトの発想とマーケットインの発想の違いです。

認めて頂くためには、多くの時間と何度も何度も体験が必要です。

受け入れられる場合は、すぐにお客様に伝わります。
商品のコンセプトも想いも、そして美味しさのポイントも、瞬時に伝わります。

この違いが、マーケットインとプロダクトアウトにはあります。

プロダクトアウトの発想になってしまうのは、非常に簡単に理解出来ます。

それまで何年も修業をしてきて、ご自身の考える美味しい商品売れる商品はこういったものだと、長い時間をかけて考え抜いて作り上げてきましたから、その商品に固執する気持ちは十分に理解でしますし、尊敬すら感じます。

そもそも、この様な強い気持ちが無ければ、優良な商品は生まれて来ません。

この様な強い気持ちを軸としているからこそ、世の中にヒット商品が次々と誕生するわけです。

実は、マーケットインの発想の前進には、必ずプロダクトアウトの発想が存在しております。

その理由は先ほどもお伝えしましたが、必ず商品が存在しており、即ち戦う武器を手にしているからです。

さて、ここからが大事なことです。

プロダクトアウトの発想のままオープンを迎える方と、途中からマーケットインの発想の商品へと変化する方の違いはどんなことでしょう。


プロダクトアウトであろうがマーケットインの発想であろうが、最終的にはお客様に刺されば良いことです。

欲しい答えはそれだけですから、商品その物の完成度が上がれば良いことです。


答えは、今お伝えした完成度を上げることが出来るかどうかにかかっています。


プロダクトアウトの発想を持ち続けている方は、商品に強く自信を持っています。
その自信を強化するために、ご自身と商品に向き合っています。

そして、ご自身の想いと理論の素、商品の完成度を上げてきます。

そこには、自分との葛藤があり、お客様の存在はありません。
常に、自分との孤独な戦いを行ってしまいます。

一方、マーケットインの発想で商品を考える方は、基本的に不安があります。
良い意味で怖がっていて、お客様に受け入れられるかが、とても気がかりで、いつも不安になっています。

商品を作っていても試行錯誤していますが、お客様に受け入れられるかを基準にして商品開発を行っています。

そして、何度もテストマーケティングを繰り返します。

友人知人に食べてもらい、場合によっては何かの折に実際に商品として提供してもいます。

そこで実際に、お客様の生の声を拾ってきます。

こうやって、試行錯誤を繰り返して、やっとそれらしい商品になっていきますが、オープン後も改良をどんどん加えていきます。

そしてある時臨界点を超えて、ヒット商品へと昇華します。

この様に商品開発においては、先ずプロダクトアウトから始まりますが、プロダクトアウトのままご自身とだけ向き合って商品開発を継続させるのか、途中でお客様の存在を改めて感じて、発想の転換をして商品開発に向き合えるので、臨界点を超える速度が変わってきます。

仮に、プロダクトアウトの商品開発を行っていたとしても、本当の意味でお客様の存在に気付いた時点で、発想の原点を起点を変換させれば良いだけのことです。

プロダクトアウトのまま、いつかお客様に認めてもらえると無益な戦いに終始しなければよいだけのことです。

この無益な戦いを行っている方が頻繁に使う言葉あります。
それは、

「一度食べて頂ければ分かって貰えると思うんですが…」

です。

この言葉が、この思いがあるということは、お客様に認めてもらっていないことをわかっていながらも、なんとしてもこの商品を認めさせてお客様との闘いに勝ちたいと思っています。

自分が変化することを拒否して、自分の商品を変えることはすなわち戦いに負けることだとでも感じているように、認めて貰えない商品で戦っています

認めてもらえないのは、商品ではなく、そう感じて考えて行動も商品も変化させない自分だとは気づきません、気付けません、気付きたくはありません、気付こうとはしません。

そして、不幸なことに、一番認めていないのは商品ではなく、その認められない商品を作ってしまった自分自身です。


ここに大きな矛盾が存在しているので、即ちアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態です。

この状況で走り出す車がいないこと事は理解できますが、自分の心が動かないこと、動けないことは理解できません。


ですから、自己承認欲求を満たすために、認めてもらえない商品を認めてもらいたくて、無益な戦いをしてしまいます。

そのことが、自分を認めて貰った証拠になるので、ヒットしない商品に固執してしまいます。


そして悪いことに、時々美味しいと言ってくれるお客様がいて、その一言が闘志に小さな火をつけてしまいます。


でも現実は甘くないので、気付きに到達出来ない方は、残念ながら自然淘汰されてしまいます。


お客様に認められないと感じた瞬間が、ターニングポイントです。
文字通り、方向転換をする“点”です。


そこから、発想を変えてきましょう。

一度全てを0ベースにして、最初から商品と向き合ってみましょう。

そうやって何度も試行錯誤を繰り返して、ヒット商品になった事例は沢山あります。

中途半端に何かを引きずっての商品開発はマイナスばかりなので、全てを見直すぐらいの覚悟を持って再開発しましょう。

常にお客様を想い、お客様に向き合って、そして商品に向き合いましょう。

商品と向き合って、その先に消費者の存在があるのではなく、お客様の存在から商品に向き合うことをマーケットインと言います。

今日お伝えしたかったことは、このことだけです。

最終的には、いつでもマーケットインの発想になれます。

そして、誰でもが受け入れられる商品を作ることが出来ますということです。


恋する相手は、商品ではなく、お客様だと深くふかくご理解してください。

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