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人に関わることは冷静な経営判断を!

宇宙一外食産業が好きな須田です。

今回は人材の件をお伝えします。

この話題は非常にデリケートな要素を持っているので、あくまでも一つの考え方としてとらえてください。

反発する方もいらっしゃるかもしれない、それほど人に関わる情報はデリケートな側面を持っています。

でも、誰かが伝えないとならない話題ですから、敢えてお伝えします。

私個人は嫌われてもかまいませんが、私の大きな意図は飲食業の活性化なので、切り抜けるためには最善を尽くすだけです。

最前線で闘っている経営者の皆様の背中を押すことが出来ればと想い、この記事を書かせていただきます。


言うまでもなく飲食店の2大コストは人件費と食材原価です。
その中でも扱いが難しいのは人件費です。
難しい理由は、感情が絡むからです。

感情は、2種類あります。

経営者としての感情と、雇用している相手の感情、この2つの感情が絡むので難しくなってきてしまいます。

このことを踏まえていただいて、少し話題を変えます。

営業再開は嬉しいことですが、営業時間はいかがなさいますか?

行政からは営業時間を短縮するように要請が来ており、その件もありますが営業時間を今まで通り23時まで営業するようにお考えですか?

実際に時間帯売上を検証すると22時以降の売上は極端に低くなります。

23時閉店の場合は多くは22時フードのラストオーダー、22時30分ドリンクのラストオーダーとなりますが、22時以降の売上はほとんど無いに等しいのが現状です。

最後の1時間は売上にはなっていませんが、経費は発生しています。
特にアルバイトの人件費は高騰します。

閉店作業も23時以降にずれ込み、帰宅はいつも終電ギリギリとなってしまいます。

コロナショックを積極的に活用することを考えると、最後の1時間を営業時間の短縮をして削除しても良くないですか?

売上になっていない、経費はかさむ、自分の身体もスタッフもツライ、この状況から脱却しませんか?

それに伴ってスタッフの人員配置を見直しませんか?

ここで、人材の話しに戻ります。

繰り返しますが、営業再開は嬉しいことです。
でも、今まで通りの雇用内容でアルバイトの雇用継続は可能ですか?

正直になって考えてください。
今まで通りの時給を捻出できますか?
今まで通りのシフトを組めますか? 組む必要がありますか?
今まで通りの時間帯人数を入れられますか? 入れる必要がありますか?

いかがでしょうか?

都心ならば時給1,000円オーバーはザラです。
ホールに3名のアルバイトスタッフ、シフトには毎日誰かしらのアルバイトさんが組み込まれている。
1時間当たり3,000円の人件費が発生しています。
6時間の雇用で1日18,750円、1ヶ月562,500になります。
その状況が、営業再開後も可能でしょうか?


私は相当厳しいと思います。

仮に月商が、通常時の80%まで戻ったとしても、人件費で捻出できる額も80%となります。
固定人件費をその80%になった人件費から差し引くと、変動人件費はいくら位なりますか?
計算してみたことはありますか?

仮に月商600万だとして、通常は人件費として180万使えていましたが、月商が80%の480万になったとしたら、使える人件費の限界は144万まで落ち込みます。
1日12,000円も下がります。
時給1,000円で換算すると、12時間分です。
仮に夜営業だけで考えると、軽く2人は入れられない計算になります。

それとも固定費の社員の給料を減額しますか?

そのことの危険を承知で時限立法的に、社員の方々に協力を仰ぎますか?
もしくは、ご自身の給料を下げますか?

ここで、感情が出て来て、経営者は悩んでしまいます。
思考がストップします、堂々巡りになってしまいます。

自身の感情、社員の方々の感情、アルバイトさんの感情、伝えることの大変さ、反発の恐怖、それぞれの生活が懸かっていることへの想いなど、感情が冷静な思考と判断を鈍らせます。

難しい問題となってしまう本質は、この感情と向き合うためです。


非情な経営者と思われたくない、社員に嫌われたくない、反発されたらどうしよう、アルバイトさんがかわいそう、でも経営は成り立たない、でも人がいないとお店が回せない、もう頭の中はグチャグチャです。

仮に80%減で済んだとしても、上記の金額です。
これ以上に下がることは容易に想像がつきます。

もしかしたら、雇用調整助成金をもらっても、社員の雇用を維持するのが精いっぱいの状況にまで落ち込むことは考えられます。

そこで、営業体制を先ず見直してみてはいかがでしょうか。

提供するメニューを絞り込むことで作業量を減らす仕入れ額を減らす、工数が減るとキッチンスタッフに余裕が産まれますので、その余裕をホール作業に振り分けましょう。

キッチンスタッフにもサービスを振り分けましょう。
作って持って行ってもらいましょう。

作った人が持ってきてくれると、きっとお客様は喜びます!
ちゃんと商品解説をして上げることが条件となりますが。

営業時間を短縮することで人件費負担額を減らし、合わせて時給も見直しましょう。
社員給与は助成金を活用して自社負担を減らすこととして、アルバイトの雇用はある程度の水準まで維持する。

営業時間を短縮するとアルバイトの雇用時間を5時間に出来ます。
キッチンスタッフにホール作業をサポートしてもらうことで、シフトも3名から2名に出来ます。
すると、時給を1,000円のまま維持したとして、1日10,000円月額300,000円になります。
通常時の53%まで削減出来ます。

アルバイトの雇用はギリギリ維持できます。
シフトが短くなり手取り収入は減額となりますが、雇用は維持できます。
上記の数値を基準に考えると、固定人件費の社員が3名想定で月額1,200,000だとして、雇用調整助成金の月額200,000円程度の助成を受けると、600,000万は助成されます。

すると固定人件費の実質負担は600,000円+変動人件費は300,000円、合計900,000円となります。
月商が80%に下がって480万になったとしても、実質人件費率は18%になります。

勿論これ以上に売上が下がることも想定されるので、極力人件費は抑えるべきです。


正直申し上げますが、今は感情を抜きにした経営判断が求められる状況です。
まさしく緊急事態ですから、事業継続のための判断を行う必要があります。

変動費であるアルバイトの雇用を調整する必要があり、これが最も効果的な方法と思います。

勿論反対する方がいらっしゃるのは理解しております。

ですから、冒頭で“あくまでも一つの考え方としてとらえてください”と、断りを入れさせていただきました。

固定人件費は助成金で補てんをして、変動人件費は極力削減して2大コストである人件費をどこまで軽く出来るかを考え抜かないと、そもそも雇用先であるあなたの会社が存続出来なくなります。

メニューを絞り込む、仕入れ額を下げる、営業時間を短縮する、シフトを組み直す、時給単価を下げる、これらをセットにして営業体制を再構築して、この局面を切り抜けるしかないと私は考えます。

私は倒産を経験していますで、人に嫌われた恨まれた経験をしております。

耐性が出来ていることもありますが、本のタイトルではありませんが、嫌われる勇気を持つ。
経営者には必要な要素と認識しています。

でも、冷酷と感じられる判断をしたとしても、伝える時は最大限の愛情を持ってお伝えしましょう。
できるだけの譲歩はしましょう、それでもどうにもならないのが、もしかしたら今の状況かもしれません。

再開後の売上予想が立たないので、基準となる月商が読み切れない状況では、全てのコストはミニマムに削減する必要が有ります。

感情が絡む問題です。

でも、それも経営者の仕事です。

断腸の想い、お察し致します。
ご理解致します。

でも、冷静になり必要な経営判断をしましょう。

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