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各話解説って正解なんですか / ❤️❌🤖

TikTokとアニメばかり見ている人でも「ラブ、デス&ロボット」は楽しめるようだ。Netflixで視聴できるし、各話10分ほどのSF短編アニメを集めたものなので、”映画を観ていられない”という多動症の連中でも我慢できる長さなのだろう。インターネットを検索すると「各話解説」などの感想が並んでいる。
SFの世界を好む人は”ここ”ではないところへの憧れがある。「ニューロマンサー」や「ブレードランナー」のようなサイバーパンクは、ネオン輝く歌舞伎町あたりを参考に造形されたものらしいが、それは西欧にはない景色だからだ。「攻殻機動隊」のシリーズは、この風景を逆輸入しただけである。僕はこういうロボットへの思い入れは全く無く、”記憶”をテーマにした作品がSFに多かったので、哲学の延長のような気持ちでよく見るようになった。
さて、日本列島では「なろう系」とか「異世界」などの単語が人気だが、それらは全て”ここではない”という点が共通している。これにはおそらく自己否定を含むケースが多いだろうから、必然的に「転生」することになる。かつての評論家たちなら、こうしたファンに迎合するように”表象のプールで華麗に泳ぐポストモダンなバイブス”などとタワゴトを書いたのだろうが、僕に言わせればただのオタクである。そして、こうしたオタクはSFと親和性が高い。
ところが、いつもアニメばかりで映画や文学に疎いものだから、単純な筋書きでも分からないらしく、すぐに解説が欲しいらしい。映画は試験の類ではないのだから、見たままを感じておけばいい。「分からない」なら、分からない程度の脳ですと自覚しておけばいいだけだ。分かったからといって、別にそれが正しいという話ではない。僕にしてみれば、とてもシンプルな話ばかりで退屈であった。それはそうだろう、たかだか10分程度の映像で伝えられることは映画や小説の比ではない。
しかし、映像には目を奪われた。TikTokの時代らしい、インスタントな一発芸である。

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