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新宿・紀伊國屋書店地下「モンスナック」にて

日頃読む本のジャンルとして”エッセイ”を読んでいるからには、自分もエッセイらしいものをきちんと書きたいと思う。やはり経験と知識に富んだ著者が綴るエッセイからは、その場の雰囲気や心情だけでなく、使われる言葉一つ一つからも感じられる何かがある。

自分自身にそんな能力はなくとも、エッセイらしいものを綴ってみたい。今日はそんな思いで、先日はじめて行ったカレー屋さんについてを記していこうと思う。

ポークカレーに、ほっぺたを引き剥がされた。



紀伊国屋書店の新宿店。都内近郊にお住まいの方や、本が好きな方は一度は立ち寄ったことがあるのではないだろうか。ビルまるまる一棟が本屋さんになっているタイプの店舗で、本の品揃えは大変多い。さすが大都会新宿の大型書店である。

先日、そんな新宿の紀伊国屋書店で本を探しつつ、ランチにいいお店がないかとスマホで検索をかけていた。ざっと色々なお店の画像が画面に並ぶ。どのお店も美味しそうである。はじめはアジア系の料理を食べる気満々でいたのだが、美味しそうなカレー屋さんを発見するなり即予定を変更。場所は、今いる紀伊国屋書店の地下だ。

紀伊国屋書店地下には、カレー屋さんをはじめ飲食店が数件軒を連ねている。新しい雰囲気のお店と昔ながらのお店が入り乱れた、地下らしい飲食店街がそこにはあった。


今回お邪魔したお店は「モンスナック」。昭和39年に創業したという歴史あるカレー屋さん。お店はどこなのか?と不安に思いつつ、地下の飲食店街をゆっくりと進んでいくと、フロア中央あたりにモンスナックはあった。入り口は少し開放的な印象で、店内はカウンターのみのレイアウト。みなさん黙々とカレーを胃に流し込んでは、すぐさまお会計を済ませて席を開けるような、そういったタイプのお店であった。

席に着くなり、壁一面に写真と共に大きく張り出されたメニューを眺めて、数分悩んでみる。ポークカレー、カツカレー、ビーフカレ。。。どれも絶妙に美味しそうであり、非常に悩む。空腹によるなんともいえない脱力感と対峙ながら、やはりまずはオーソドックスなカレーをチョイスすべきだという保守的な結論に至り、なんの冒険もなくポークカレーを注文。席は全て埋まっていたものの、注文したポークカレーはすぐにやってきた。



モンスナックのカレーは、スープカレーのようにサラサラしたタイプのルーが特徴だ。HPには”元祖サラサラカレー”との明記もあるほど。どんな味なのかと期待を膨らませつつ、ご飯を少し崩して一口食べてみる。少しパンチのあるスパイスの香りと、ポークから滲み出たであろうお肉の旨味が口の中いっぱいに広がった。

「好きな”カレー”に、久々に出会えた。」

この感動を誰かに届けたくなった。


僕の地元には小さい頃からよく行っていた、アジア系のカレー屋さんがある。モンスナックのようなサラサラしたタイプのカレーでありながら、その味は、本場の味と言ったら良いのだろうか、どこへ行っても同じような味にたどり着くことはできない奥深く不思議なカレーの美味しさがあった。地元だけでなく、関東や関西、様々な場所へいくたび、それっぽいようなカレー屋さんを探してみては、地元のアジアンカレー屋さんののような味は無いかとずっと探し続けてきた。

でも、その味にはなかなか出会えない。このカレーの系統はどんな系統なんだろう?と調べてみても何も出てこない。確かにサラサラカレーではあるのだが、他のサラサラカレーを食べても同じような味には辿り着けないのだ。

だが、モンスナックは違った。あの地元のカレーに限りなく似ているではないか。自分の中に大きな衝撃が走った。とはいえ、そんな衝撃と共に広がる余韻に浸れるほどの雰囲気でもない。あまりゆっくり食べると他のお客さんの迷惑になると思い、一口ずつを噛み締めながらもそそくさとお会計を済ませて席を後にした。ポークカレーはその日のサービス価格ということで、通常の650円から100円引きとなって550円だった。コスパも最強じゃんかよ。



お店を出て、口の中に広がっているカレーの余韻と満腹感に少し酔いしれながら、近くのスタバへ向かった。なかなか出会うことのできない自分好みのカレーを食べた後のコーヒーは、なんだかいつもより満足度が高かった気がする。少しだけ、コーヒーが奥深かった。

ほんと自分は単純な性格だと、つくづく思う。早く色々な場所にカレーを求めて出掛けたいな。

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