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ホストからキックボクサー③【ホストボンバイエ編】

凌月鷹がホストの主任になった頃だと思う

店に『挑戦者求む!!』とA4サイズの封筒が来た

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それによると

ホストボンバイエという

ホスト同士で総合格闘技(パンチ、キック、関節技、投げ技、寝技OK)の試合をやる知らせだった

格闘技、経験者という事で僕が店の代表として出場する事に
ホストになってから一切運動をしていなかったし総合格闘技をやった事が無かった為
僕は当時ホストの後輩大地さん(Twitter)
(今も僕の応援などにきてくれる)が格闘技に詳しかった為
練習するならパラエストラ小岩が良いんじゃないかと勧められ入会
2009年9月が試合だったので約11年前の事
そこが後々、僕、スダ456[ジゴロ](今のリングネーム)が所属する
BRINGITONパラエストラAKK(キックボクシング専門チーム)になる

そして僕は試合まで、そこで練習を行う

試合をした事が無かったからしょうがない事ではあるが
今思えばその当時の練習は今なら練習とは呼べないくらい強度が低かった
ただその当時の僕の全力で頑張ってはいた

ホスト、練習、ホストと日々は過ぎ

いよいよホストボンバイエの対戦相手が決定

相手はキックボクシング経験がある身長180㎝のホスト
契約体重は確か55キロ契約だったと思う
僕は当時、通常体重が55キロだったので減量はせず出場(寧ろ減量なんて知らなかった)

身長180㎝のホストVS身長165㎝のホスト

今思うと面白い構図

試合用の宣材写真を新宿の撮影スタジオで撮り
会場は後楽園ホール
ヘッドギアなどはつけず
オープンフィンガーグローブで戦う
ほぼプロと同じルールでホストが戦う

知らなかったが物販もされていたようで
凌月鷹、写真入りキーホルダーが知らぬ間に売られていた

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こんな感じの写真が使われ
600円で販売
僕の周りでは
凌月鷹、キーホルダーブームが

そして大会が徐々に進んでいき
会場裏はまるで戦時中の病院の様な風景に
試合あとのホスト達が控え室付近で
目が虚ろになり廊下で横になっていたり
痛みか疲れで吐き気を我慢していたり
実際吐いているホストもいたりと…

そして
試合運営スタッフに呼ばれ
スタンバイ
僕のホストクラブの従業員が10人ほど集合
この日の為に作った凌月鷹Tシャツを皆で着て
僕の後ろに1列、肩に手を置き

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入場曲がながれ

青コーナーから入場

そしてリングに上がり

相手をみる

生意気そうな顔のホスト

背は高い

15㎝違うから当たり前だが

酒ばっかのんで練習してないんだろ

前の試合を何試合かみたが
皆スタミナがなく
最後はジャイアンにのび太が向かっていく時の様なパンチ
手を振り回すってやつだ

こんなホストすぐぶっ飛ばしてやると

俺も同じホストなのに思った

そしてレフリーに促されリング中央へ

相手と向き合う

レフリーによる総合ルール、禁止技説明

そしてゴング

どういったかはほとんど覚えていない

ただガムシャラに向かっていった…

BRINGITONパラエストラAKKの大池代表にも言われたが
最初の頃はただ前にいくだけのレベル
攻撃をもらってヨダレをたらしながら攻めてくるから対処に困ったらしい

何も考えずただ前にいき攻撃をもらっても前にいく

試合は当然そういう展開になった

最初から強引にパンチを打っていく

当然相手の攻撃はよけない

というより

よける技術がないからもらう

そして攻撃をする

またもらう

そして攻撃の繰り返し

相手の身長が高くリーチ差なども有り、当たらない攻撃がどんどん増えてくる

ただ総合格闘技では相手を投げ倒してから攻撃ができる

キックボクシングをやっていると聞いていたので投げて倒す攻撃を狙った

ガムシャラにいって倒す

だんだんと相手の膝蹴りをもらう様になり

顔面にもらい、またもらい

それでも投げて倒す

そんな状況で

1ラウンド終了のゴングが鳴る

インターバル中
セコンドに膝蹴りで歯が折れた事を伝えると
レフリー達にみられないよう
ゲロッパを即座に出して貰い

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マウスピースをとり折れた歯を吐き出す
そしてマウスピースをまたはめる
実はこの時に鼻も折れていた

そしてインターバルが終わり

2ラウンド開始のゴング

最終ラウンド

歯も折れ鼻も折れてのラウンド

出血はしていたが、痛みは感じていなかった

感じていたのは疲れ

攻撃をもらい過ぎると

だんだん思考力が低下していく

疲れとダメージで眠くなる

連続で攻撃をもらっているとそのまま眠りたくなる

試合中に寝る事は負ける事だから寝ないが

異常な疲れから襲ってくる睡魔

当然2ラウンド目も攻めた

動けていたかわからないが

攻撃をもらいながら倒し

マウントでパンチを打つ

何回か当たるが

俺の身体より相手の身体、手が長い分それを使い反転され防御される

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そしてマウント(写真下の状態)をとられる

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ここで技を掛けにいった

腕挫十字固め[ウデヒシギジュウジガタメ](肘関節を逆に伸ばして極める)

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三角締め[サンカクジメ](頸動脈を締められて息が出来なくなる)などを狙った

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そして下になった時は三角締めが使える

なんとか三角絞めの形に入る

周りもそのまましめろ!の声

絞め続けたが無理矢理返され

また打撃戦に

そして試合終了のゴングが鳴り

判定

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結果2-0の判定負け

終わった

リングを降りる

フラフラだった

だからリングを降りるのにセコンドのホストに肩を貸してもらい

フラつきながらなんとか降りる

そして後楽園ホールの会場裏

関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉を開け

扉が閉じた所で歩けなくなり

倒れこむ

大の字

何も動かせない

腕も足も動かない

抱き上げられ医務室まで運ばれて

何度も吐く

救急車が呼ばれ病院に運ばれる

これが僕の試合だった

456の始まりは間違いなくここにあった

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