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夢日記で悪夢が変わる

長年、悪夢と不眠に悩まされ病院も何件か回ったが根本的な解決には至らなかった。
今の主治医は少し変わった人で今までの先生とは違った治療方針だ。それが私には合ってたらしい。
これからちょっとずつ私がおこなっていることは話ていきたい。
まず夢日記を始めたきっかけから。
今までの先生は悪夢や不眠に薬で対処しようとしていた。まぁそりゃそうだ。
ただ私は副作用が強く出るタイプで、初めて精神薬を飲んだ時は丸一日意識を失った。
なので効き目が弱い薬や漢方を併用したりしたが、それはそれで効果が中途半端で寝られるとこまでいかず、ただ眠気と体のだるさが酷いだけで起き上がれないという状態になる。
効き目が弱い薬としてよく“ベルソムラ”が処方された。今ではこの薬が1番大嫌いだ。また別の回でこやつの話を詳しく書こうと思う。
ベルソムラではぐっすり眠ることはできなかった。私は悪夢で苦しんでいたがこれを飲むようになってから寝ている間ずっと夢を見ている感覚になり、寝た心地がしなかった。
不眠と言っても一瞬気を失う感じで眠る。でも悪夢で目を覚ます。時計を見ると1時間も経過してない時がある。
不眠の話をすると誰もが「ちゃんと朝起きてご飯食べて体動かしてお風呂入って寝て」という。呪文のようにみんな言う。
一般人ならまだしも看護師さんとか医者ではない医療関係者の人も言いがちな呪文だ。
この呪文を言われるとなんだか私がただの怠け者のように思われた気分になる。
本格的に療養生活を始める前は私だって普通に毎日午前中には起きて働きに出ていた。立ち仕事で足の裏に魚の目ができたり、足がパンパンで体はクタクタでもなかなか電車で座れず立ったまま死んだ顔して揺られていた時期が私にもある。とてもとても疲れている。でも夜になると眠れない。気づいたら外が明るくなり、鳥の鳴き声が聞こえる。日に日に体は重くなり、頭も回らなくなっていくがそれでも体と心を引きずって行かなくてはならない。
でも限界が来て仕事に支障が出てくる。さらに精神的に追い詰められ悪化していく。
………そんなこんなで、もっと色々あったがとりあえず今回はこの辺で愚痴はやめておく。夢日記がメインだから。
そして療養生活を送ることになり、薬をあれこれ試すが効果なし。むしろ副作用が苦しくて飲まない方が楽かもしれない。
そう思っていたある日、新しい先生を紹介してもらうことになる。それが今の主治医だ。

先生は私の悪夢の話を楽しそうに聞く。
トラウマの話をしてもすごい楽しそうに聞く。
「すごいクリエイティブですねぇ!もっと夢見ましょう!」とか「すごい分析力ですね!話が面白い!」とか。
ベルソムラを飲むと夢が増えると言っているのに「悪夢いいじゃないですか!見ましょう!」と。
私の夢の話が面白いからと“夢日記”を勧められた。
それで記録を付けることにした。全部は覚えられてないし、毎日書くわけじゃないが印象に残ったものはなるべくメモを取り後で詳しい内容を書くようにした。
昔は悪夢で情緒不安定になり、向き合いたくないと思っていたが日記を付けられるぐらい耐性がついてきていたのでちょうどよかったかもしれない。
なんでそこまで悪夢を恐れるのか、悪夢ぐらい誰でも見るでしょ?と思う人もいるかもしれない。
ただお化けやモンスターが出てきて追いかけられたり殺されるぐらいなら私も気にならない。
私が見る悪夢は過去のトラウマを何度も再現し体験させられるものだ。
考えたくないことを起きている間は意識的に回避できるが眠ると出てきてしまう。だから私にとって眠ることは恐怖体験を繰り返すものだった。
それに一般的な悪夢でも痛みを感じたり窒息する感覚がありびっくりして起きてしまうようになった。
気を失うように一瞬眠りにつけてもドキッとして起きてしまう。心臓がいつもバクバクしていた。
安眠とはなんだったか忘れてしまう。

でも日記を付けるようになってから夢の内容が変わってきた。
この何十年変化なく同じ夢を見ていたので本当にびっくりした。
一生トラウマを見続けると思っていたのに。

考えていることや思ったことを文章にすることは無意識の私に語りかけることだと気づいた。
いくら頭の中で考えて意識を変えようとしてもそれでは無意識まで届いていない。
人に話すことで気が楽になることはあってもそれもまだ無意識には届いていなかったようだ。
私しか見ない誰にも見せない“日記“という存在は無意識への語りかけだ。
夢は無意識からのメッセージとも言える。単に記憶の整理だけではない。

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