「BOB」by Wendy Mass / Rebecca Stead / レビュー
BOB
by Wendy Mass & Rebecca Stead
【作品情報】
ジャンル：MiddleGrade（8～12歳）以上
#ファンタジー #友情物語 #成長物語
出版：2018年（Feiwei & Friends）
ISBN: 9781250166623 (ISBN10: 1250166624)
【あらすじ】
その生き物は、背が低く、黄緑色の肌で、鶏の仮装をした自称ゾンビ。名前はBob。少女Livyの祖母の家のクローゼットの中で、Livyの戻りを５年間待ち続けていた。Bobは自分が何者なのかも、どこから来たのかも思い出せない。５年ぶりに戻ったLivyも、Bobのことを覚えていなかった。でも５年前、（Bobが言うには）LivyはBobが故郷に帰れるよう手伝うと約束したそうだ。
その約束を果たすため、LivyとBobは手掛かりを探し始める。
【感想】
文章は、１章ごとBobとLivyが交互に語り手となって話が進んでいくタイプの
構成。テンポもよくて両方の言い分？が伝わってくるので、次第に２人の絆が築かれていくのを感じました。５年間もクローゼットでLivyを待ち続けていたなんてすごい信頼感だなと思いながら、Bobのけなげな言動に心が「ほわん」とします。私も忘れてるだけで、小さい頃に誰かと約束をしたことなかったっけ…、なんて考えてみたり。いや、どっちみち忘れてるんだから思い出せないけど、目の前にBobみたいに現れたらどうなるだろう、なんて思をめぐらせるのも楽しかったです。
LivyはBobを忘れているし、Bobは自分のことを覚えていませんが、それぞれが覚えていることを１つ１つ確認しながら、そして家の中や町の中にある手掛かりに遭遇したり探したりしながら、謎が紐解かれていきます。Bobが自分の故郷を忘れてしまったのにもちゃんと理由があり、最後は「え？」と驚く展開ですが心が温かくなるお話しでした。優しい物語がお好きな方におすすめです。
著者はウェンディ・マスと、先日ご紹介した「When You Reach Me」の著者であるレベッカ・ステッドの共作です。お二人とも子育てや自分の作品の執筆に忙しい中で合間を縫ってやり取りしていたため、完成まで７年もかかったのだとか。こんなかわいい作品を世に出してくれてありがとうの気持ちです。
【訳書情報】
日本語版なし（2023年現在)
著者：ウェンディ・マス / レベッカ・ステッド
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