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【短編ホラー小説】短夜怪談「交換日記」

友達と二人で、交換日記を始めた。
内容は一日にあった出来事とか、誰にも言えない内緒話とか。ある日、私の家に来た友達が、首をかしげて言った。
「交換日記、誰にも見せてないよね?」
「見せるわけないよ。なに?」
「これ、見て」
友達が指さしたページには、三日前鬼ごっこしたことが書いてある。その黒い鉛筆の字の隣。
「あっ、」
“わたしもたのしかった。またあそぼうね”
赤いペンでそう書いてある。私のでも友達のでも無い字。
「私、誰にも見せてないよ!」
「私も」
二人でページを捲ると、昨日書かれたばかりの友達のページ。私もまだ見てない。友達は悲鳴を上げた。最後の行に、赤く大きな字で
“まてないから ふたりとも むかえにいくね”
私も悲鳴を上げて、二人でノートをビリビリに破いて捨てた。
「さっきまで、何も書いて無かったのに」
友達は泣きながら帰った。それからは怖くて、私も友達も、誰とも交換日記をしてない。結局何も無かったけど、赤い字がしばらく怖かった。

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