マガジンのカバー画像

短夜怪談

57
ホラー短編小説「短夜怪談シリーズ」をまとめています。一話完結の短い怖い話。
運営しているクリエイター

#ホラー小説が好き

【短編ホラー小説】短夜怪談「聞こえる?」

「ねぇ、これ聞こえる?」 友人の唐突な質問に、首を傾げる。 「何も。何の話?」 「やっぱ聞…

宵待昴
1年前
7

【短編ホラー小説】短夜怪談「車椅子」

祖父のお見舞いで病院を訪れた。面会時間ギリギリまで居て、さあ帰ろうと言う時。薄暗い廊下を…

宵待昴
1年前
6

【短編ホラー小説】短夜怪談「見送る」

信号待ちの足元で、みゃあ、と微かな声。視線を下ろすと、灰色の猫が背後にある建物のドアから…

宵待昴
1年前
7

【短編ホラー小説】短夜怪談「炎上の広告」

ポストに地域紙が入っていた。 眺めていると一つの広告が飛び込んで来る。 『この写真を撮っ…

宵待昴
1年前
4

【短編ホラー小説】短夜怪談「緋の邂逅」

「ごめんね。全然会えなくて」 「いいよ、そんなの。元気だった?」 地元を離れて数年。私は街…

宵待昴
1年前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「古放送」

帰宅してリビングに入ったら、液晶テレビの代わりに古いブラウン管テレビがあった。 部屋を間…

宵待昴
1年前
13

【短編ホラー小説】短夜怪談「ティーポット」

鏡のように綺麗な銀のティーポット。何気なく見ていると、自分の後ろに青い作業服姿の男が映り込んでいる。家には誰も居ない。 えっ、誰? 見ていると、段々男が近付いて来る。肩に触れるか触れないかの辺りで勇気を出し、振り向いた。誰も居ない。ティーポットからも消えていた。「ティーポット?処分しましたよ。怖いし」 苦笑いする彼の後ろには、青い作業服姿の男が居る。また違う形で邂逅するのだろうか。

【短編ホラー小説】短夜怪談「掛けてはいけない電話の先」

友人と話していると、友人の電話が鳴った。 普通に通話ボタンをタップした彼は、長すぎる沈黙…

宵待昴
1年前
7

【短編ホラー小説】短夜怪談「橋の上にて」

夕暮れ時の橋の上。 橋の真ん中辺りで、下を覗き込む。穏やかな流れの川が、遥か下を流れてい…

宵待昴
1年前
9

【短編ホラー小説】短夜怪談「しきたり」

とある工場で短期就業した。派遣の仕事である。 社員も気の良い人ばかりで、穏やかな雰囲気の…

宵待昴
1年前
4

【短編ホラー小説】短夜怪談「ひまわり」

通学路にある小さな空き地に、毎年夏になると向日葵が何本か咲く。 どの向日葵も、花は大体太…

宵待昴
1年前
5

【短編ホラー小説】短夜怪談「手作り心霊写真」

趣味で心霊写真を作っている友人・Uがいる。 完全個人の趣味の為、どこかへ公開ということは…

宵待昴
1年前
5

【短編ホラー小説】短夜怪談「落下する影」

夕暮れ時。 レースカーテンをひいた窓の向こうを、毎日何かが落ちて行く。 鳥と思って放って…

宵待昴
1年前
4

【短編ホラー小説】短夜怪談「幻自販機」

久しぶりの残業で、帰りが遅くなった。 昼間が暑かったせいで、夜が進んでも蒸し暑い。喉が渇いて、自販機を探した。いざ探すと見つからず苦労したが、一軒家と一軒家の間にある小路。その路の入口を塞ぐように、一台侘しく立っているそれを見つけた。寂れた感じの自販機だな、と思ったが特に気にせず、お茶を買う。ボトルを取り、そのまま何気なく自販機の下を見た。血の気のない青白い両手が、甲を上にして出ている。それは一瞬で引っ込んだ。 「えっ、」 誰かいるのかと、恐る恐る、自販機の後ろを見る。何も