すばる

自分で食べるものは自分で作りながら、文を書いて小金を得る生活をしたいと思っています。 …

すばる

自分で食べるものは自分で作りながら、文を書いて小金を得る生活をしたいと思っています。 小説も雑記もやります。 フィンランドの学校をモデルにした「性別不問の由律学園」というシリーズ小説を連載しています。

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  • 性別不問の由律学園

  • 姫(♂)が王子(♀)に恋をした

  • @妹 俺はお姉ちゃんじゃない

最近の記事

世間はこれを三角関係と呼ばない

以前ノーサイレンス(セクマイWebアンソロジー 「ノーサイレンス」 (anthol-nosilence.com))という企画に投稿した2作のうちの一作です。 こちらの作品はどちらかというとセクシャルマイノリティなに?という人向けに書いた解説という位置づけとなります。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ <小6・夏 性別違和のはなし> ◆カミングアウト 瑠卯 「李依ちゃん、嶺君、あの……大切な話があるんだけど……」 李依 「なになに? るーちゃんの心は女の子だって話

    • ようこそ、性別不問の由律学園へ

      以前ノーサイレンス(セクマイWebアンソロジー 「ノーサイレンス」 (anthol-nosilence.com))という企画に投稿した2作のうちの一作です。 こちらの作品はどちらかというと当事者向けに書いた夢の世界という位置づけとなります。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ――ここは群馬県にある新幹線の駅。 “性別不問の由律学園”と称される学校の最寄り駅。  あなたは学校見学を予約していて、駅を降りて案内人を探しているところ。  そこで、金髪のストレートロングヘ

      • 姫(♂)が王子(♀)に恋をした 3話 女子力は伝染するか

        「て言ってもさ、ぼくは制服はこっちしか持ってないんだよね」  それは問題だ。せっかく可愛らしく生きようと決意をしたのに、肝心のスカートの制服がないのでは行動に移せない。 「そっちしか買ってもらえなかったんだね」 「うん。お母さんとお姉ちゃんはぼくが可愛いの好きなのはそのままでいいって言って、むしろ推奨してくれるんだけど、お父さんはやめてくれ派だから」  一家の大黒柱に反対されてしまってはきつい。主にお金を出してくれる人だろうしね。 「私なんかはもう、両親にはだいぶあきら

        • 姫(♂)が王子(♀)に恋をした 2話 お互いを知るには、本音の奥底から

          「一つ確認をさせてほしい。勘違いをしてるままだと困るからさ」  時は入学式とガイダンスが終わったお昼の時間、場所は学校敷地内のカフェ。  姫の告白からまもなくして入学式式典が始まりそうだったため、連絡先交換をして後で落ち合うことを決めていた。 ちなみに隣の席では、お侍さんがお相撲さんに文句をつけている。お相撲さんはそれをなだめているみたいで、大変そうだ。 「もしかしたら傷つけちゃうかもしれないけど、ここははっきりさせないといけないと思うんだ」  話をこっちに戻そう。

        世間はこれを三角関係と呼ばない

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        • 姫(♂)が王子(♀)に恋をした
          3本
        • 性別不問の由律学園
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        • @妹 俺はお姉ちゃんじゃない
          8本

        記事

          姫(♂)が王子(♀)に恋をした 1話 告白は時と場合を選ばない

          王子、おはよう! 今日もまた、凛々しくてステキ♪」 「おはよう姫。姫こそいつも通り可憐で、とっても可愛らしいよ」 「王子……! そんな言葉を偽りのない心で発せる王子が好きっ♥」 「私も姫が好きだよ。愛してる」  ――待ってほしい。これは王宮ファンタジーじゃない。  21世紀の日本の、庶民も庶民な高校生たちの会話だ。  そしてこれは演劇や舞台のセリフではないし、ただの軽いノリでもない。  これは愛し合う恋人同士―私、若王子凛と恋人、舞姫理来の日常的な会話だ。  今日は

          姫(♂)が王子(♀)に恋をした 1話 告白は時と場合を選ばない

          性別不問の由律学園 舞台設定

          お読みいただきありがとうございます。 『性別不問の由律学園』シリーズは作者の作品構想の中でも、 ・性別観をごちゃごちゃにする話 ・ファンタジー設定を必要としない、現代日本の話 を一つの舞台としてまとめた作品集となります。 同じ世界観でほぼ同じ時に繰り広げられる物語ですが、 それぞれが独立した話としてお楽しみいただけます。 シリーズの主役たちが別作品中に登場することもありますので、 お気に召しましたら同シリーズの他作品もご覧いただけたら幸いです。 由律学園のモデルはフ

          性別不問の由律学園 舞台設定

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 8話(完)俺はお姉ちゃんだ

           その夜、俺たち三人は初めてのお泊り会を行った。  同じ寮なんだし、やろうと思えば簡単にできるのだが、俺たちの体の事情から、それは大きなリスクだった。  お互いに隠している(と思っていた)ことはすべてバレてしまったので、これで晴れて何のリスクもなくお泊りができるというものだ。  俺が作った夕食を食べ、みんなお風呂も済ませてすっぴん状態だ。  俺と夏樹は大して変わらないが、雫は確かに静香だったんだなと理解できた。  さっき泣きはらした時もメイクはボロボロになってほぼ素顔だっ

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 8話(完)俺はお姉ちゃんだ

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 7話 ”雫”と”静香”

           ――夏樹の最大の親友―津山雫は、小6の時夏樹をいじめていた唐橋静香だった。  夏樹はそれに気付いたから、精神に異変を来したというのが雫―静香の説だ。 「いや待て、名前違うじゃん! それに顔も!」 「知ってるでしょ? うちの学校は本名と違う名前を名乗れるの。私は受験の時にあんたたちがいることに気付いて、学籍の名前を変えたんだよ。名字は単に親の再婚だけどね」  トランスジェンダーや芸能人のためのプライバシーを守る学籍名変更制度、それを雫―静香は使っていたらしい。確かに、これ

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 7話 ”雫”と”静香”

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 6話 冬樹という“姉”

           ――俺も女装する  この案がいかに画期的か説明しよう。  3つの要素第一の強い仲間。もちろん言葉の上で夏樹に対する批判への擁護は、すでにやっている。だが兄の俺が夏樹の味方をすることは当然だ。分かっていて、その上で続けているのだからそれだけでは弱い。  そこで絶対的な仲間、「同じことをしている人」を作り出す。見た目で分かるように示してやろうという作戦だ。  第二の批判をかわす防御壁。これは単純に夏樹の見た目の完成度を上げること。  一卵性双生児の俺の顔・髪・体を差し出すこ

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 6話 冬樹という“姉”

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 5話 夏樹という“妹”

           生まれた時から俺と夏樹はそっくりだった。  俺が今のように女装をする前もそうだ。 小学生のときは夏樹も外ではあまり感情を出さないタイプだったので、今よりも見分けがつきにくかったかもしれない。  今と違うことと言えば夏樹が明るくなったことと、当時は二人とも男児服を着ていたことか。  何しろ俺たちは遺伝子がすべて同じの一卵性双生児。つまり、性染色体も一緒だ。  ――そう、夏樹も俺と同じく体は男だ。  思えば小さい頃から夏樹は男の子と言われたり、男として扱われるのを嫌が

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 5話 夏樹という“妹”

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 4話 双子が一人になったら

           翌朝、さっそくケイさんから借りた制服を着てみた。  うん、髪をセットせずにメガネをかければ、見事な地味男子のできあがりだ。  俺はこの日、夏樹が目覚めるのを待たずに一人で動き始めた――なんだか会わないほうがいい気がした。  お弁当は二人分作っているが、一人分だけ持って先に出かける。  朝食に向かう俺に、話しかけてくるものは誰もいない。  ――当然だ。誰も”今の”俺を知るものはいないから。  朝食を食べているときも、午前の基礎科目を受けているときも、そして今いつもと違う

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 4話 双子が一人になったら

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 3話 お姉ちゃんが男に戻ったら

           由律学園は学生による起業をサポートしている。  高校生からビジネスなんて早いと思われるかもしれないが、早すぎるというものはない。初期投資と借金を負うリスクが問題になるだけで、ビジネスアイディアや経営そのものは十分に学業と両立し得るものなのだ。  学園が用意する起業のサポートは、その問題の両面を支えてくれる。  まず店舗や事務所、在庫を抱える倉庫などは学園の一角(とは言っても由律学園には柵がないので、一般市民もよく訪れる)に無償でスペースを借りることができる。他にも学校施設

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 3話 お姉ちゃんが男に戻ったら

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 2話 双子が一人ずつになったら

           由律学園は、授業のカリキュラムもかなり自由度が高いものになっている。  まず必修の基礎科目は3割ほどしかない。その基礎科目も全科目が進路目標や習熟度に応じたクラス選択制となっており、事実上すべての授業が選択制だ。  そして残り7割の授業は、それはそれは多岐に分かれている。語学のコミュニケーションに特化したもの、芸術やスポーツ分野を極める人向きのもの、心理学やコミュニケーション能力を鍛えるもの、なんとか推定とかなんとか思考とかの問題解決力を鍛えるビジネスを意識したものなど、

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 2話 双子が一人ずつになったら

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 1話 俺はお姉ちゃんじゃない

           朝目覚めるときは、いつも柔らかい感触に包まれている。  それは布などでは実現しようもない人肌特有のもの。ほど良い温かさに、ぷにぷに、すべすべとした確かなぬくもりは、いつまでも触っていたいという欲求を呼び起こされる。  しかし、その心地よさに浸っているわけにはいかない。起こさないように気を遣いながら、その人肌のぬくもりから抜け出して朝の支度を始める。  顔を洗ってから制服に着替え、お弁当の準備を始める。朝食は寮の食堂で用意されるので、用意する必要はない。もちろん昼も食堂で

          @妹 俺はお姉ちゃんじゃない 1話 俺はお姉ちゃんじゃない