性別不問の由律学園 舞台設定

お読みいただきありがとうございます。
『性別不問の由律学園』シリーズは作者の作品構想の中でも、

・性別観をごちゃごちゃにする話
・ファンタジー設定を必要としない、現代日本の話

を一つの舞台としてまとめた作品集となります。

同じ世界観でほぼ同じ時に繰り広げられる物語ですが、
それぞれが独立した話としてお楽しみいただけます。

シリーズの主役たちが別作品中に登場することもありますので、
お気に召しましたら同シリーズの他作品もご覧いただけたら幸いです。



由律学園のモデルはフィンランドの学校です。
自由度が高く、覚えるよりも考えるを重視し、落ちこぼれを生まない、
子ども一人一人の個性が尊重される教育体制です。

自由度が高く、個性が尊重されるという環境が
いわゆる”普通の男女ではない”人々を描く舞台として
ぴったりだと思いましたので参考にしました。

また、作者の思う「こんな高校に通いたい」という要素も
存分に詰め込んでおりますので、
読者の方にも共感できる部分があったら嬉しいです。

■□■ 由律学園の舞台観 ■□■
<沿革と成り立ち>
群馬県安中市に建つ設立10年の私立高校。
設立したのは自称未来投資家の初島エミリで、
自由自律こそ未来を作るという趣旨のもとに建学された。

その掲げる名の通り、全国一ともいえる自由な校風で有名。
未来志向の若者が多く訪れ、まだまだ新しい学園ではあるが、
ビジネス等各分野で大成功を収めた卒業生が多数。
そういった成功者たちによる未来への投資という名の寄付が多く、
学費・寮費ともにほぼ無料と呼べるレベルで成り立っている。

自由と夢と憧れを求めて、全国各地から受験者が集まっている。

<校風>
○校是
「未来は自由からしか生まれない」
「多種多様な価値観を乗算すれば、可能性は無限に広がる」
「自由とまだ見ぬ可能性の前では、教師も生徒も平等である」

○校則
校則と呼ばれるものはない。
ただ一点、自由と自律を侵害する者へは重い処分が下る。

○制服
あるが公式行事の時でも着用義務はない。買わなくてもよい。
スラックスタイプとスカートタイプの二種類あるが、男女の区別はない。
もちろんいくら改造しても構わない。

○上下関係
入学年度による先輩後輩や、教師と生徒という上下関係は存在しない。
敬語をしゃべるのは構わないが、強要すると注意が下る。
何年生ではなく何年次生という呼び方をする。

○留年・休学及び浪人
人生における選択幅のを広げるため、恥じることではないとされる。
なお、現生徒会長は5年次生。

<設備>
建築意匠は北欧風。時代や流行にとらわれない、
持続可能で機能性を備えた革新的デザイン。
これは創立者がフィンランドの学校にあこがれたことによる。
学校の敷地に門や柵といったものは存在せず、町と一体化している。

○プライバシー対応
トイレ・更衣室は、すべて性別関係ない個室設計となっている。

○寮
近隣に新幹線の駅しかないため、ほぼすべての生徒が寮生活をしている。
寮に男女の区別は存在しない。性別問わず相部屋になれる。
個室は防音管理されており、何時誰を招いてもいい。
朝食と夕食は寮費に含まれているが、各部屋にも調理できる設備はある。

<授業>
○基本システム
あらゆる専門学校の授業を、大学のシステムで履修するようなスタイル。
得意分野や興味関心に応じて、とことん突き詰められる。

入学初年度より選択の幅が広く、必修科目は3割ほど。
必修科目も習熟段階や目標に応じてレベルを選択できる。

選んだ授業により、卒業時に専門科高校と同等の卒業資格が与えられる。

○成績と単位
授業への出席は評価に影響しない。
遅刻も早退もなんらペナルティを受けることはない。

成績もテストや課題の実績によるものだけでなく、
課外活動の成果も単位に加えることができる。
最終的にはテストで成績を残すか、成果物を出せればいいので、
同じ時間の授業の重複登録も可能。

○その他
体育の代替単位として健康管理という授業があり、
ストレッチなど美容体操に近い運動で単位が取れる。

<部活動>
私立校にしては生徒数がさほど多くもなく、
特定の部活によるスカウトもないため
あまり部活に力を入れているとは言えない。

ただ、個人や少人数でできる競技であれば
突出した才能を持った生徒が入学してくることも多いので、
各々で勝手に全国や世界レベルの賞を持って帰ってくる。

また、突出した才能をさらに伸ばすためのプログラムも多い。

<入学試験>
受験や面接にあたって、髪を暗くしたり
メイクを薄くする必要はないと、大きく伝えている。

推薦入試と一般入試がある。共に学力は問われない。

○推薦入試
部活でも課外活動でも何でも、
自分でもこれが成果だと思ったものがある人が受験できる。
ジャンルは一切問わない。面接試験のみ

○一般入試
ペーパーテストと面接の二段階試験。

・ペーパーテスト
「あなたの夢は何ですか?」
「あなたが夢中になれるものを教えてください」
などのアンケートのようなもの。
知っていることではなくて考えていることを問われる。

受験者の家に回答用紙が届けられ、
いくら時間をかけて回答してもいい。web回答も可。

・面接試験
ペーパーテスト通過者のみ。創立者初島エミリ自らが面接する。
自分を出せる状態でリラックスして話してほしいからと、
面接場所は受験者が指定できる。

新しい何かを試されるというよりは、ペーパーテストで書いたことに対する
深堀り、および本当に考えているかという真贋判定。
面接のその場で合格を告げられることも多い。


<学生支援>
○学籍名変更制度
教師・生徒含め、法的な名前とは別の名前を
学籍として登録することができる。
これはにより芸名やペンネーム、ハンドルネームで有名になった人や、
トランスジェンダー等で本名を名乗りたくない人も
学校内で希望の名で過ごすことができる。

○奨学金
独自の奨学金代わりとして校内の仕事を生徒に委託しており、
掃除や講師の補助などのアルバイトのようなものができる。
これにより家が貧しい生徒でも、通いながら収入を得られるようになっている。

○スタートアップ支援制度
由律学園は生徒による起業を支援している。
在学中は学校の実習という扱いで、無資格でも営業できる。

・資金補助
経営計画書を学園に提出することで、
理事などから返済義務のない助成金が得られることがある。

また、生徒は土地代ゼロで学園内に自分のオフィス、店、倉庫を持つことができる。
利益が出た場合、利益率に応じて学園に還元する。

学園内のパソコンなどの設備、蔵書なども無償でレンタルできるので、
初期投資はほぼゼロでも起業が可能。

・授業での援助
マーケティングや経理処理などの経営系科目や、
実際の創業に必要な資格取得に向けての授業も単位として認定される。
また、実際に創業すればそれ自体も単位に認定される。

<卒業後の進路>
全国に名高い有名校ではあるが、進学率はさほどでもない。
受験向けの授業をあまりしていないし、そもそも入試で学力試験もしていない。
学園側も「とりあえず大学進学」という考えは推奨しない。

しかしそれぞれの目標に向かうための
最短経路を勝ち取る生徒はそれなりにいるので、
希望進路の実現率という意味ではとても高い。
超難関大学への進学や海外留学も少なくない。

在学中・卒業共に起業する人がとても多く、
各分野で成長を遂げている。
学園の支援で在学中に起業したのち、
そのまま安中に残って経営を続ける例も多数。

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