見出し画像

伝説のnote酒場《回顧録》

note始めましたが初めましてではない理由

noteがここまで一般に普及し、様々な企業がnoteを使って情報発信をするようになるとは思っていなかった。既に当時のアカウントは残っていないが、実はnote古参組の僕である。

noteがまだ社名変更する前、株式会社ピースオブケイクだった頃、僕は自分の文章発信の場としてnoteを使い始めていた。高校時代に文芸部に所属していた僕は、あまり文章を書くことへのハードルが高くなかったこともあり、発表の場に飢えていたこともあり、新しいプラットフォームであるnoteのシンプルさに惹かれ、作品発表の場として用いていた。

当時は統一感ガン無視の節操のない文章を垂れ流していた。
エッセイ、ビジネス、日記代わり、あるいは小説発表の場として。発信するだけではなくて、少しずついろんな書き手さんの文章に触れ、その表現力や人生観、安らぎをくれる優しい文体、心臓をえぐるような刺激的な文章、様々なクリエイターさんと出会った。感想をコメントし合ったり、SNS等で交流することも僕の日常の一つとなった。

そんなnote沼に少しずつハマりかけていた時期、当時交流していたエッセイストさんが紹介しているのを見て、noteユーザーの有志によるリアルオフ会イベント「note酒場」が開催されることを知った。

第一回note酒場の初回告知はこちら

高速バスに乗り込んで東京へ

note酒場は主催者が多くの個性的なクリエイター、note界隈では有名な作家さんやデザイナーさんらを巻き込み、そのコンセプトや当日のセッティングについても多くの人が関わり、アイデアを出し、手作りで組み上げたイベントだった。
そのメイキングの様子も随時note等で発信され、本当に素敵な、共感を呼ぶプロジェクトとして作り上げられていく過程を知ることができた。

「…note酒場に参加しよう」

東京を離れ、地元で実家の農業の手伝いなどをしながら悶々としていた僕にとって、note酒場は未来を、そして希望を見せてくれる一大イベントだった。迷うことなく高速バスのチケットを取り、単身でnote酒場に乗り込むことを決心した。憧れのクリエイターさんたちも参加を次々に表明していて、文章を通じてしか知らないその方々との出会いの場が待ち遠しかった。

昼の部はバスの移動時間の関係で参加できなかったので、夜の部に参加。
青山一丁目の夜の街に映えるキラキラした会場。会場の建物の周りを歩き回る人々の影。
ド緊張の中、思い切って会場に足を踏み入れると、受付担当のお姉さん(もちろんnoteクリエイターのボランティア)の笑顔と、写真にある手作りかつハイセンスなデザインによる「note酒場」の立て看板が迎えてくれた。

入口の立て看板。メインビジュアル担当のデザイナーさんによる、ほどよく雑でほどよく洗練されたロゴが引きたつ。
入口ののれん。この先にnoteを彩るクリエイターさんたちが和気あいあいと過ごす空間がある。
こんなに食べきれるの?と思うような手作りの料理が所せましと並ぶ。用意したのも、チケットを販売するのも、キッチンの店頭に立つのも、みんなみんなnoteの仲間。

お目当ての作家さん、何度か文章を読んだことのあるエッセイストさん、全くそれまで認知していなかったけどnoteで細々と活動を続けている写真家さん、Twitterで「今note酒場来てる」とつぶやいてたちょっと寂しげなクリエイターさん。

色々な人たちとの新しい出会い。出会いが出会いを呼び、紹介されまくって気付けば名刺がたくさん。noteを始めたきっかけの話。noteにまつわるここだけの話。あの文章を書いた裏エピソード。お酒もいい具合に回って、気づけばなんだこの温かくて心地の良い空間は。

note酒場には、初対面の人同士でも気軽に交流し合える工夫がこらされていた。初めましてをアピールする初心者シールとか、誰かのために使えるお酒一杯おごりますカードとか、名刺がない人向けに手書きできる名刺カードなども用意され、自然にコミュニケーションが起こる雰囲気を醸成していた。

よくできたイベントだな…。上から目線とかではなく、いち参加者として心からそう思える素晴らしい企画だった。

帰宅して名刺交換した数々の人々を振り返る。みんな個性的で、みんないい。

2018年、今からもう6年も前のことになるが、今でもあの独特の空気感が忘れられずにいる。(どうやって帰ったのか全く覚えていない)

その後、第二回のnote酒場が開催され、こちらも好評を博したようだが、前売りチケット制か何かで、知った時には既に売り切れていた。ガッデム。
でも仕方ない、こういうのは出会いそのものだから。

あのころは良かった、ではなくて。

当時はまだまだマイナーな存在だったnoteが、今の飛ぶ鳥を落とす勢いに至るまで、いろんなことがあったと思う。変化に違和感を感じ、noteを離れる人もいた。それでもまだ細々とSNSでは繋がっていたり、あの頃とは違う表現で自分を実現する人もいたし、プライベートで予想もしなかった出来事が待っていたとか、本当に人それぞれ、様々な形でnote酒場にいたクリエイターさんたちは、それぞれの人生模様を現在まで紡いでいる。

あの頃は良かった、と振り返るよりも、noteの現在進行形を素直な心で見てみたい。それが今、再びnoteを始めた僕の素直な気持ちだ。
今や伝説となったnote酒場の写真や動画を改めて見て振り返りながら、良くも悪くも変わってきた僕を受け容れてくれる(であろう)noteというプラットフォームに再び何かを期待している。

今までもこれからも、どうぞよろしゅうに。


この記事が参加している募集

#自己紹介

230,268件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?