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Z世代っぽさって何だろう

Z世代の企画屋「ぼくわた」に入社してから3ヶ月が経過した。結構怒涛の毎日で、いつの間にか会議回数も増え、それなりに忙しい日々を送っている。
これまでジョインしていた会社は調査系の仕事がだいぶ減っていることもあり、低稼働状態が続いている。気付けば「ぼくわた」が自分の本業になりつつある。

時々クライアントから求められるのが、「Z世代(若者)っぽい価値観を知りたい」というオーダーだ。Z世代が確実に消費の主人公になりつつあることの証左だと思うが、Z世代っぽさ、Z世代ならではの価値観としてどのようなものが考えられるだろうか。

よく言われるのがコスパ・タイパという考え方だ。投下コスト(例えばお金)に対して十分納得のいく何かが得られることが「コスパが良い」であり、それは価格と品質のバランスが良いということに他ならない。
タイパであれば投下コストは時間であり、時間をかけずに最大限のインプットが得られること(例えばテレビ・映画の倍速再生など)に重きを置くという考え方が支配的だ。

ただこのコスパ・タイパを重視するという基本姿勢は、Z世代に限らずあらゆる世代に一定の共感を生む価値観とも言えそうだ。録画番組の倍速再生なんて今や誰でもやっているし、低コストで満足・納得が得られる商品やサービスを選ぶのは消費行動をする者共通の考え方だと思う。

そうすると、Z世代っぽさ、Z世代ならではの価値観やインサイトって、結局どんなことだろうという疑問が生じる。SNSを始めとする情報感度が高い、呼吸をするようにSNSをする、そんな人は実際自分の周りのX世代にもY世代にもいる。Z世代に限った特筆事項なんてあるのだろうか、という根本的な問いも生まれてくる。

Z世代に受けるものは、いずれYにもXにも受ける要素があるのではないか、という観点に立つと、何もZ世代を特別視する理由はなくなる。ただ情報爆発社会の中で、それを自然なこととして受け容れる情報感度の高さという点が際立っている特徴があるという点ぐらいだろうか。

もちろん、そう単純ではないハズだ。
きちんと調査してインサイトを抽出すれば世代間の差違は見つかる。その前提がないとリサーチャーである自分の存在意義もない

ただ、クライアントがよく口にする「Z世代っぽさ」を見たいんです!というオーダーの期待値が確実に調査で満足させられるとは限らないということだけは最低限伝えておきたい。

実際、この部分はジレンマだ。
Z世代の企画屋さんにジョインしている以上、Z世代のインサイトをきちんと出してあげたい。Z世代の調査からZ世代の企画へ。その連携を破綻させるわけにはいかない。一般的な調査会社のリサーチャーには実現できないことをしようとしているわけなので、ジレンマでもあり、チャレンジでもある。

リサーチャーとしての経験は長いのかもしれないが、自分にとっては目の前の案件が全てチャレンジングな試み。企画屋さんの発想やライターさんの力量なども勘案しながら調査からのアウトプットを展開しなければならない。実に難しい。でも面白い。やりがいの宝庫だ。

メンバーとしてジョインした今、改めてアウトプットの価値向上を目指すチャレンジをしていくことになる。Z世代並みの柔軟性と新鮮な感性が必要とされそうだ。「Z世代っぽさ」が求められるのは、実はX世代である僕自身、なのかもしれない。


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