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「クリミナル・マインド:KOREA」 - 人間味と安定感のある王道サスペンス

★★★★

日本でも小栗旬の「CRISIS」のようなドラマはありますが、重苦しい犯罪とキレのあるアクションを織り交ぜた硬派なクライムサスペンスは韓国ドラマによくハマるイメージがあります。

これはもちろんあのアメリカの「クリミナル・マインド」のリメイク版なのですが、韓国を舞台にうまい具合に翻案されているのか、独立したドラマとしてきちんと楽しめるものになっていた気がします(なおオリジナル版はちゃんとは観たことがありません…)。

イ・ジュンギをはじめとした国家特殊犯罪捜査局(NCI)の面々が、各々の過去や困難を乗り越えながらひとつずつ犯罪を解決していく非常に正統派な進行なので、1話ずつのテンポもよく「早く次が観たい」と思える作品。

全体を通したラスボス的存在もいるおかげで終盤にかけては徐々に盛り上がりのスピード感が上がり、観終わったときは「走りきった!」という気分になりました。

イ・ジュンギ演じるヒョンジュンやその上長であるカンチーム長はそれぞれ心に傷を負っているのですが、そこまでその辺りがヘヴィに掘り下げられるわけではないので少々それが物足りないようには思いつつ、チームのメンバーの信頼と絆がベースにあるので、どちらかと言えばその安心感が勝る感じです。

情報化要員のナナ・ファンがややコミカルなキャラクター(喜怒哀楽が激しくて見た目も若干奇抜)なのがなんとなく物語の締まりを挫いている部分があり、シーンによってはもちろん息抜き的存在として活きるものの個人的にはモヤっとポイントなのですが、このテの設定の作品だとハッカーや情報担当の登場人物ってなぜかそういうテンプレキャラのことが多いですね(アニメ「サイコパス」の志恩さんしかり、刑事7人の片岡愛之助なんかも浮かびました)。

とにもかくにも一貫して主人公のヒョンジュンはかっこよく、冷静ながら人間味もあって文武両道。変にキラキラしないところがまた物語によく引き込んでくれる、味わいあるキャラクターです。カンチーム長は途中で悲劇に襲われることもあって時折不安な様相を見せることもあるのですが、常に部下を信じ全体を見渡している理想的な上司。ムン・チェウォン演じるハ・ソヌもまたヒョンジュンの同僚としてクールに職責をまっとうしつつ、周囲への配慮も処処に覗かせる強い女性。その他の登場人物もそれぞれの存在感で物語を構成し、チーム内に裏切りが生まれる場面が基本的にないので、あっても話は深まるかもしれませんが、嫌なハラハラがなくて純粋に応援できて好きでした。

ちょうど並行してイ・ジュンギ×ムン・チェウォンの「悪の花」を観ているので、似て非なるふたりの成り行きの対比がまた面白かったです(「悪の華」ではふたりは夫婦でイ・ジュンギは明かせない秘密を抱えてる)。

いかんせん犯罪や犯罪者の昏い過去の描写が巧いので(幼少期に虐待を受けていたケースが殆どではあるものの)、全体にクオリティ高く安定感のある王道サスペンスです。血が苦手だと少々厳しいかもしれませんが、決定的箇所はモザイクがかかるので大丈夫。一旦真正面から完走したので、次は人物間の因縁に注視してもう一度観てみようかなと思っているところです。


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