「GRID(グリッド)」 - 謎で満たされた世界観をあるがまま浴びる

★★★+

わりと私の初期衝動にいるのがソ・ガンジュン(「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」が大好きすぎて)。最近「天気がよければ会いにゆきます」も観て、役者としての彼の世界観の見識を改めたこともあり、話が難しいっぽい前評判は気にしつつ観始めました。確かに難しいと言うか、最初の方はひたすら刹那的に謎を並べていくので状況に追いつくのを諦めて眺める感じでスタート。

始まりは2004年です。太陽フレアによる太陽風によって人類は滅亡の危機に晒されるのですが、とある韓国人の女性が発明した「グリッド」と呼ばれるシステムによって地球が救われます。その時を知るセハとセビョクのふたりが物語の主人公。

時代は進み、2021年へ。「管理局」の捜査官になったキム・セハ(ソ・ガンジュン)は、立ち寄ったコンビニで見かけた男性の行動を不審に思い、警察に通報します。そして奥の事務室を覗いてみるとそこには店長の死体が。通報を受けてやってきた刑事のチョン・セビョク(キム・アジュン)と対面するセハ。彼は監視カメラの映像を見ながら読唇術で男たちの会話を読み取ります。

店長を殺した犯人はキム・マノク(キム・ソンギュン)という男だと突き止めるセビョク。マノクが潜んでいる廃墟となった元歯医者の建物を包囲し捕まえようとしますが、マノクは建物の外へと逃げ出します。追うセビョク。マノクの姿を見つけ銃を向けますが、そこに現れた女が邪魔をします。そして瞬間移動のように姿を消す女…。

1話、2話の導入について言えば、何も分からないなりにワクワクさせられる部分もあり、現実とそこまで乖離していない世界の中に適度にSFが入っているので見易そう、と思いました。セハとセビョクの笑顔のない感じのキャラクターも、抱えているものがこれから明かされていきそうで楽しみに。

その後も映像の質感なんかは良くて、複雑に張り巡らされる伏線もうまく回収されていくなら緻密で面白い物語になりそうだなぁと思ったのですが、全10話が終わったところで明確に明かされた事実の少ないこと少ないこと!後半は時空の移動が頻繁に挟まるので、ますます「今どの世界線」が複雑になり、とりあえず未来を守りたい人と変えたい人のいろいろな思惑がぶつかり合っているのは分かります。終盤になって新たな登場人物もいたりするので、続きがあるのだろうなということに期待をしますが、とにもかくにも10話まで来てみてストーリーとしては風呂敷を広げられたままという状態です。

ソ・ガンジュンの存在感は好きでした。物腰、話し方、時折見せる感情など、セハという人物の気性がよく伝わってくるようで、仕上がったキャラクターという印象(ラストシーンもとりあえずかっこよかった)。なので私としては、あえて理解をしようとせず、ありのままこの世界観を眺めるというのが現時点で一番合う見方でしたが、何せ謎の上に謎を積み上げてる感じなので考察が好きな方は無限に楽しめるかもしれません。果たして続編はあるのか。いや続編ないは考えにくいな。


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喜怒哀楽ドラマ沼暮らし

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